柏神社を出て、柏銀座通りをそのまま直進する。かなりイカれた風情の雑居ビルが場所柄を物語っている。スナックやバーに混じってフィリピンパブなんかもあり、常磐線感をことごとく放っている。
しかしその一方で不況なのか知らぬが街の地盤沈下の象徴であるコインパーキングと化した土地が点在している。目の前の蔦まみれの建物がひと際インパクトが強い。
さらに商店街の近くにはこのようなホテルまであり、完全にダークサイド寄りの商店街である事がわかる。
「柏銀座」というくらいの商店街だから、さぞかし昔は街で一番繁盛していたものであろうと思われるが、かれこれ50年以上もの歴史がある商店街だそうだ。しかし駅前デパートの進出などで街の中心がシフトしてしまい古い商店が次々撤退、代わりに怪しげな夜の店が立ち並ぶ今の姿になった。
もっとも駅から遠ざかるにつれて、怪しい街並みから昔ながらの普通の商店が続く風景に変わっていく。柏銀座通りを中程まで進んだ辺りで車道が交差するが、この先はおおむね普通の住宅街へと変わる。
一方で廃墟同然で残る古い飲食街の建物も残っている。それはちょうどホワイト餃子柏店の真向かいに鎮座している。色あせた「白鶴」の文字の周囲には営業しているのかどうかも定かでない小料理屋の名前が数店舗書かれていた。しかし見事にシャッターが降りたままで、見るからに廃墟である。
古びた飲食街の建物に足を踏み入れてみると、路地は袋小路になっていて、突き当たりには細々と頼りない螺旋階段が屋上まで伸びている。
屋根付きの狭い路地の上にいくつものスナックや小料理屋の看板がひしめいている。戦後のドサクサで出来た住居兼店舗の一種だろうか。
最も奥にある2軒の小料理屋だけが、現在も辛うじて営業を続けているような感じだ。気になる螺旋階段は2階建ての屋上部分にそのまま通じているようだが、錆び付いていて壊れそうな状態だ。
手前の店舗は飲食店ではなく、かつて下着専門店か何かだったような趣きを残している。一体いつの時代の看板なのか。
グンゼは現存する有名な下着ブランドだが、ベビー用品のジョーカークラウンというのは聞いた事がない。独特のフォントに貫禄を感じてしまう。恐らく昭和30年代のものだろうか。
そんな下着専門店と思しき店舗のシャッターには酔っ払いに向けて「おしっこはだめ!!」と怒りの注意書き。さぞかしこんな場所だとゲロや小便の標的になりやすいのだろうな。
向かいのホワイト餃子店は昼間からでも行列待ちが出来る程の繁盛ぶり。千葉県野田市に本拠地があり地元民に絶大な支持を得ているチバラギ民のソウルフード、それがホワイト餃子店である。東京西部住民には殆ど馴染みがないが、東京北東部の貧民街を中心に勢力を伸ばしている。
ちなみに裏側に回るとこんな建物だった。幸い裏が駐車場になっていたため眺めが良かったわけだが、両側をマンションに囲まれて肩身が狭そうである。
今度は柏銀座通りを外れて車道を南西方向に歩くと、やけにアジアンチックな雑居ビルが密集する場所がある。
この付近にあるカラオケ居酒屋は揃いも揃って韓国系。柏にも地味にコリアタウンと呼べそうな一画があったのだ。
韓国居酒屋「冬ソナ」、韓国料理「キムチ」…もうこれ以上ないくらいベタなネーミングで吹き出してしまう。この界隈に限って見てみるとかなりインパクトがある。
カラオケ居酒屋に限らず焼肉屋なども充実しまくっている。韓国人街となっているのは本当にこの一画だけなので非常にわかりづらいが、ここまで揃えられてしまうとむしろ清々しい。
ちなみに柏市には韓国民団の東葛支部があるが、ここからかなり離れた場所だ。
さらに向かいの雑居ビルも韓国パブだらけで容赦がない。
コリアタウンと言うにも夜の街と言うにも規模的には中途半端さが否めない柏の歓楽街。ガチな大人の遊び場は車で郊外に出るか上野に出るかのどちらかで、柏駅前はDQN中高生の溜まり場止まりとなっている模様である。