【ギャンブル飯】揚げ物・モツ・炭水化物!「川口オートレース場」で新年早々食い散らかしてきた

川口市

全国各地にある公営ギャンブル場の中でもとりわけ存在感が薄い「オートレース場」。日本全国探してもたったの6ヶ所しか残っておらず、そのうち3ヶ所は関東近県(船橋、川口、伊勢崎)に集中している。だがその中でもオートレース発祥の地である船橋オートレース場は2016年3月末での廃止が決まっていて、業界全体の存続も今後はどうなる事やら…といった状態。

川口市 西川口

しかしそんなオートレース場の中でも元SMAPの森且行選手が注目を浴びるなどした埼玉県川口市の「川口オートレース場」(以下、川口オート)は正月2日からレース開催中、全国最多の来場者数を誇る業界最大のレース場である。我々も新年早々から「ギャンブル飯」食いたさに正月のめでたい気分もへったくれもないダウナー感漂う貧民運搬列車もとい京浜東北線に乗り西川口駅前まで足を運んできた。

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やはり正月でも全然浮かれた気分のしない西川口駅に降り立つ。川口オート直通の無料送迎バスは東口から出ているが、まずはその前に一発景気付けにぶちかましたくなりましたので正月早々フル営業中な西川口の土着立ち飲み「やきとり次郎西口店」に闖入。東口にも同様の店があるが、店が賑やかなのはやはり西口店の方。そりゃもう、西川口名物のお風呂屋さん街の目の前ですからね。「飲む打つ買う」が三拍子揃っている街なのです。

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「やきとり次郎」の店内は正月行事や帰省ラッシュやおせち料理には何の縁も無さそうな土着オヤジ達の溜まり場になっていた。店の壁の真っ黒な染みは長年焼き鳥を焼き続けてきた証、その壁には川口オートのカレンダーと「大声を出す人●●●入店禁止」の注意書き。ガムテープで塞がれた伏せ字部分が気になる。以前はフィリピン人の姉ちゃんが店番をしていたが、この日の店番は日本人のおばちゃん2名だった。

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焼き鳥類は一本オール100円、ホッピーは最初から焼酎割りの状態で出されるが、店のおばちゃんが焼酎の入ったダンボール箱を豪快に傾けて蛇口からドブドブ注ぐアルコール度数高めなホッピー、ほぼ焼酎しか入ってないのかと思う程に濃ゆい。早速いい感じに酔いが廻ってきたのでオートレース場行きのバスに乗ることにする。

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無料送迎バスに揺られて川口オートへ。昭和27(1952)年開設、全レース場中入場者数・売上共に不動の一位を誇り「オートのメッカ」と呼ばれる場所。「キューポラのある街」鋳物工場が立ち並ぶインダストリアルタウン川口において地場産業が衰退気味の中でも今なお川口市の有力な税源として専ら活躍中である。

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オートレース場の周囲にもギャンブラーオヤジ御用達の大衆酒場がそこかしこに点在しアルコール度数も上昇気味。「大衆酒場当り屋」なる安直なネーミングに笑いが漏れる。治安の悪い川口だけあって別の意味の「当り屋」に気をつけたいもんですけどね。

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「当たり」もあれば「外れ」もあるのが人生の厳しさというもの。オートレースでスッて財布がすっからかんになって弱った人々に向けたブラック金融の広告が電柱や標識の柱にもベッタリ貼り付けられている。飲む打つ買うの街・川口は弱肉強食の街でもある。

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正月には帰省ラッシュであれだけ人だらけの首都圏も人がまばらになる稀有な時期だが、川口オートレース場はそんな社会情勢には何ら関係もなく来場者の姿でごった返している。地味な色のコートを着たオジサンが9割方といったところか。まあ殆ど男の世界ですわね。

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来場者数ナンバーワンを誇る川口オートには食堂・屋台料理店がかなりの数(20軒近く)存在しており、一日中真剣勝負を挑むオジサマ方の栄養供給源として機能している。特にオートピア棟一階正面に「内田屋」「みます」「もりのや」「以蕎」といった屋台料理屋が一同に集結しており、見た目にも圧巻。

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勿論、きちんと店内飲食できるタイプの食堂も揃ってはいるのだが、真剣勝負のギャンブラーオヤジ達にとっては食事も手早く済ませられる方が良いに決まっている。置いてあるメニューは大体串に刺さったフライか何か、もしくはおにぎり、煮込み、おでん、けんちん汁、焼きそばといったものが多い。

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これらの屋台料理店はオートレース場の各レース毎の合間の時間に一斉に混み始めるのが特徴。そしてレースが始まると一斉に客が引く。この「静と動」の忙しないリズムが何とも公営競技場ならではだ。店員のオッチャンオバチャンの売り文句もアメ横顔負け。「安いよ安いよ安いよ百円百円百円、全部百円、なんでこんなに旨いんだろう」矢継ぎ早に出されるダミ声に圧倒されそうになる。

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一日の終盤にあたる9レース目あたりに差し掛かると屋台料理屋はそれぞれの出し物の料理を小分けにした上で在庫処分だと言わんばかりの「値下げレース」に突入する。おにぎりもおでんも焼きそばも全部百円均一。これは安い。お金にシビアなギャンブラーオヤジ軍団が群がり飛ぶように食い物が売れていく。

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なお、レース終盤に近づけば近づく程値下げ対象の品目も値下げ幅も増えていく。スーパーの「半額惣菜ハンター」を生業とする貧乏人各氏は必見のオートレース場、それが川口オートなのである。結局一番高いメニューは生ビール(600円)というオチ。

で、川口オートで何を食ったのかというと、以下の通り。

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「もりのや」のおにぎりと唐揚げのセット(100円)。優しい家庭料理的な味付け。

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「内田屋」の牛モツ串(150円)。モツは「フワ」(牛肺)と呼ばれる部位である。かなりソウルフード臭きつい一品だが柔らかくて旨い。

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同じく「内田屋」のアジフライ(100円)。串に刺さった状態で売られている。ソース、マヨネーズ、辛子を下品に塗りたくって豪快に頬張れば口の中が大阪新世界にトリップ。

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「以蕎」の焼きそば(100円)。青のり、紅しょうが乗せ放題。ほぼ一口サイズだが埼玉ローカルスーパー「ロヂャース」の惣菜コーナーにある99円焼きそばと良い勝負だ。

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「もりのや」で「川口オート名物」と銘打って売られているゲソフライ(150円)。元々は200円だが時間とともに値下がりする。冷めてはいるがソースをぶっかけて食えばどうせ口の中で一緒だ。非常に腹持ちが良い一品。

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同じく「もりのや」のけんちん汁(100円)。今回唯一の汁物来ました。適度に身体が温まるコスパ最強メニュー。
さて、合わせて食事代は…700円?!
安っ…しかし揚げ物と炭水化物の摂り過ぎで胃袋が苦しい。

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だが、腹持ち良すぎ高カロリー気味なギャンブル飯各種にうつつを抜かしていると頭上にはおこぼれ目当ての鳥類どもが元気に飛び回っているので、餌を取られるばかりか糞まで落っことされるので常に気をつけなければならない。レース場の外でも生き物同士の勝負が繰り広げられているのだ。

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食い物を除く清涼飲料水及び乳製品一式は社協飲料水売店でも取り扱っている。甘酒や生ビールも売られていて、さしずめ「アルコールも置いてる御徒町のミルクスタンド」的なノリ。ここでコーヒー牛乳を一杯呑んだが、なぜか瓶に入ったコーヒーを紙コップに注ぎ直した上で手渡された。やっぱり場所柄だけに客に瓶を持たせたくない理由でもあるんでしょうねえ。

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…ギャンブル好きでも無ければなかなか足を運ぶ機会がないオートレース場、山谷や寿町と客層が被るので入りづらいイメージがあるが一度行ってしまえば独特の情緒が楽しめる場所でもある。

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ところで川口オートで活躍している元SMAPの森且行選手は居ないか探したんですが…ここにいましたね。


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