全長1200メートル、徒歩15分!日本最長の「歩いて渡れる海底トンネル」が川崎港にある件

川崎市川崎区

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川崎市 川崎港

いよいよ「歩いて渡れる海底トンネル」へ足を踏み入れる。自動車で通る場合も同じだが、通行料は必要なく、24時間出入り自由となっている。しかし場所が場所であまりに辺鄙なので、昼間でも往来する人の姿は居ない。

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しばらく下り階段を降りていくと、トンネルの内圧を制御するために置かれている自動ドアを潜る事になる。普段は締め切られていて、歩道内の気圧を上げて車道からの排気ガスの侵入を防いでいるらしいが、これが開きっぱなしになっていた。いいのかよこれ。

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さすがに海上を大型船やら何やらが通行するような場所を潜っている海底トンネルだけの事はあるので、結構深い所まで潜っていく。安治川トンネルや関門トンネル人道みたいにエレベーターで降りるアプローチは無く、使えるのは自転車用のスロープがついたこの階段だけ。

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さらに階段を降りていくと、やがて気分は洞窟探検モードに。ジメジメヒンヤリとした通路は頭上から水が漏れる箇所が所々にある。一応、出来てから35年が経過している代物だ。それなりにボロが来ていて、2008年にはトンネル内に雨水(海水ではない)が染み出し浸水するトラブルも起きている。

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で、階段を降り切るとあとは一直線に通路が伸びるだけという…しかしこれがアホみたいに長いのである。通路部分だけで1000メートル、前後の階段を合わせると1200メートルにもなる。まともに歩いて渡ったとしても片道15分は海底空間から出られない事になる。

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時折等間隔に置かれた「避難扉」はもしもの時以外には使う事はできない。この扉を潜るとすぐ隣が車道となっていて、頻繁に車の通行と共にガッタンバッタンでかい音が鳴るので地味に怖い。本来この人道は、事故や災害でやむを得ず車道側から逃げてきた人々の為の避難道だったものだ。

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ひたすら無人の通路を延々と1キロ超歩く訳で、霊感がどうとか治安がどうとかあんまり気にしない人種でも結構精神的には来るものがある。途中で変質者が出没したらとかは別にどうでもいいが、地震か何かの勢いで浸水したらどうなるか…いや、考えない方がいいですね。日本の土木技術をもっと信頼しましょう。

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あくまで避難道として整備された歩道は道幅3メートルしかなく、自転車を漕いだままの通行は危険だとして「ここは歩行者専用道路です。自転車は降りて通行して下さい」との自動音声が定期的にエンドレスで流される。無人の空間でひたすらその声ばかりを聞くというのも、かなりシュールで非日常感に溢れている。

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そんな自動音声も誰も聞いてはいないとばかりに、時折すれ違う方々もみんな自転車に乗ったままスイスイ通り過ぎて行く。まあ、そうなるわな…ちなみにこの歩道が一般通行可能になったのはつい10年前、2004年の事だ。理由は東扇島における就業人口増加の為、通勤手段としてこの通路の開放が必要になったからだ。なお車道側の一般開放は1992年に行われていて、それ以前は一般人が通行できるトンネルでは無かった。

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もう結構歩いた気がしたが、ふと目についた避難扉に書かれた出口までの距離を見ると、東扇島側、千鳥町側のどちらも500メートル近くあるのには焦る。閉所恐怖症にはキツそうですね。

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普段あまり意識しないがトンネル内での一酸化炭素中毒の発生を防ぐ為の検出装置なんかも置かれていたり色々とリアルでございますね。皆様の安全は日本の優秀な土木技術で守られているのです。はいはい。

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老朽化が進む川崎港海底トンネルも随時補修工事が行われているようで、メンテナンスもさぞかし大変そうだが、このトンネルが無ければ東扇島に仕事に行けない人々が沢山いる。

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そうこう言ってるうちに東扇島側の出口に辿り着いた。小島新田駅から徒歩で5キロ以上…やっぱり、市バスかチャリンコで来た方がいいと思いますよこれ…

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地上へ上がるとそこは神奈川県最大の物流拠点「東扇島」。川崎名物のコンビナート地帯が拝める東扇島東公園や、ホームレスが生息する北公園や西公園など、本来無人地帯ながらもなかなかのワンダーランドとなっていて面白い。海底トンネルを歩いて渡って、一度は来てみようよ東扇島。


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