【現存せず】存在自体が都市伝説!時代遅れのゴージャスラブホテル!吉祥寺「ホテル井の頭」

武蔵野市

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武蔵野市 吉祥寺

ホテル井の頭は夜になるとその怪しさが倍増する。エントランスの壁、闇夜に浮かび上がる文字は「最髙設備と景観」…「髙」という文字もよく見れば「はしご高」である。いったいいつの時代の最高設備と景観なのだろうか、それは平成の世を生きる我々には想像しがたい。

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ホテル入口にある装飾付きの立て看板も古び具合がたまらない。文字がかすれた「HOTEL」に漂う昭和の哀愁。休憩3500円から、宿泊5000円からというのは首都圏なのに有り得ない安さだ。

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目の前のクルマ用スロープを降りてホテルに入っても良いが、歩いてここまで来たのであれば、カップルのムードを盛り上げるであろう豪華絢爛で意味不明なショーウィンドウを眺めていく事にしよう。

ショーウィンドウには「舶来雑貨と貴宝石 貴金属」と書かれている。これがラブホテルとどう関係あるのだろうか。細かい事はケンチャナヨである。むしろ力の入れ方がよくわからない謎のゴージャスっぷりを笑う他あるまい。

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所謂舶来雑貨の数々はホテル所有者の趣味の品々であろうか。謎の西洋人形、壺、ババシャツ、猫の置物と、さっぱり統一感がない。しかも「商品御希望の方はホテル入口の坂を降りて左側のドアにお入り下さい」とある。一体誰が買うのだろうか。

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そんな謎のショーウィンドウの間から魅惑の世界への門が口を開けている。しかし正面ドアは倉庫となっており閉ざされている。右後ろの階段を下って先に進むのが正解のようだ。

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階段を降りるとそこには埃に塗れたミロのヴィーナスが来訪者を出迎える。泥臭い昭和のゴージャスが満載である。このベタなセンスにはとても太刀打ちできない。地下通路を抜けると、結局先程の坂の下のホテル入口へ辿り着く。

外観も内装も完全にラブホテルだが、ホテルのフロントに入るやいなや、お馴染みの部屋選択パネルは一切存在せず、唐突に管理人のおばちゃんが真正面に現れて「いらっしゃいませお泊りですか?」とニヤニヤしながらやってくる。これはヤバイ。ドラクエの宿屋並みの応対で腹筋崩壊。

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現金手渡しにて宿泊料金6000円を支払うとおばちゃん自ら茶菓子を手に持って部屋まで案内してくれる、物凄く親切で有難迷惑なシステムだ。ソファーとテーブル、冷蔵庫などがある部屋とベッドがある客室は同じ部屋を改装しているのか細かく仕切られていて別々の2つの部屋と廊下になっている。何がやりたいのか意味不明な間取りだが広いっちゃ広い。

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部屋は管理人室の真隣だった。ここは銭湯なのかと思う程の鏡張りの洋室に通される。手元には宿泊者にサービスの茶菓子。近所のおばちゃんのおすそ分けみたいなノリだ。

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客室はシンプルにテレビとベッド、照明器具だけが置かれている。タバコのヤニだらけで真黄色に変色した謎の子猫の置物がテレビの上にあった。管理人室が隣にあるので、管理人のおばちゃんのくしゃみやテレビの音がBGMで常時流れている。他の部屋によってはギシアン音が聞けるかも知れないがそれも時の運だ。なにせ客側に部屋は選べず勝手に案内されてしまうからだ。

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そして最も笑ってしまったのが広々とした浴室である。無駄に鏡張りまくりの浴室奥には悪趣味な黄金色の浴槽がお出迎え。もはや妖怪屋敷スタイルである。ひび割れたコンクリート壁がさらにムードを盛り上げてくれることだろう。

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さらに極めつけに湯桶が「ケロリン」ときた。もはや銭湯モード突入である。変態精鋭の当取材班にとって、ホテル井の頭は確かに「最高設備と景観」だった。あれ?景観は?…と、そんな細かいツッコミは無しだ。

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ちなみにホテル井の頭の系列店として近所に「Kエリザベス(旧・一休)」というホテルと、他にも宝石販売業、不動産業を経営しているようだが、洗面台の鏡に書かれた情報が古いままなのでいつの話なのか分からない。

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このホテル井の頭、当取材班が訪問したのが2010年で、その翌年2011年に廃業してしまい、同年度中に建物は解体されていて現存しない。恐らく東日本大震災の影響もあったのではないかと思われる。


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