熊谷市・埼玉愛犬家連続殺人事件の舞台「アフリカケンネル」を訪ねる 

先日「冷たい熱帯魚」(園子温監督)という映画を見て唐突に行きたくなった場所がある。

その前にこの映画の簡単な説明をしなければならないが、熱帯魚屋の主人が稀代の殺人鬼で、金のトラブルで揉めた客を次々殺して徹底的に解体してしまうというような内容で描写が凄まじいので当然R-18指定されている訳だが、この映画のモデルになった実在する事件が埼玉県熊谷市であった愛犬家連続殺人事件である。

実際には熱帯魚屋ではなく犬のブリーダーなのだが、主犯であるペットショップ「アフリカケンネル」の主人はこの業界ではかなりの成功者として名を馳せていた人物だ。

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逮捕から16年余り経った事もあり人々の記憶からも薄れつつあるが、当時はマスメディアが一斉に犯人宅に押しかけ報道が過熱していた。しかしそれも逮捕直後に発生した阪神大震災とその後のオウム騒動によってすっかり置き去りにされ、事件のスケールのでかさの割には知名度が薄い。

そのペットショップの犬舎兼オフィスとして使われていた建物がまだ残っているらしく、それを確かめる為にわざわざ高崎線熊谷駅まで出てきた。現場まではそこからさらに路線バスに乗って立正大学方面に向かわなければならない。

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熊谷駅から南西に約4キロ、路線バスに揺られて終点まで行くとそこには立正大学の熊谷キャンパスが広がっている。途中、荒川を跨いで結構な距離を走るが、立正大学に通う生徒や関係者の多くが「アフリカケンネル」の建物を目にしているという。バスが走る道路から実際に建物が見えるのだ。

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ひとまず周辺の雰囲気を確かめるために、立正大学前から現場まで歩いて行く事になる。とは言っても停留所2つほどバスの通り道を遡るだけだ。住所は熊谷市万吉(まげち)という地名になっているが、当時は大里郡江南町といった。市町村合併で2007年に熊谷市に編入されている。

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大学周辺はまさしく郊外の退屈な風景しかなく見るものも大してないが、所々こうした広告看板が建っているのを見ると、やはり大学の存在が大きいのが分かる。学生ローンの看板だけどな。熊谷みたいな場所でも業者の住所は高田馬場。あのド派手な黄色いネオン看板でお馴染みの業者だった。

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続いて学生向けマンション・アパートの広告看板。まかりなりにも学生街的な匂いが漂う。熊谷だったら家賃もバカ安だろうが、カッペが花の上京生活だとか浮かれるにはかなり場違いな感じがする。都心まで1時間掛かるし。

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立正大学前から800メートル程手前の位置まで戻ってきた。丘陵地帯を抜けて荒川沿いに広がる沖積平野となり風景が一変する。道沿いに古い民家が何軒か固まって出てくる。

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何の気なしにその民家の建物の前を通り過ぎようとしたが、ふと目に入ったのが建物の足元に置かれたアフリカケンネルの看板だった。元は道沿いに貼り出されていたものだろうか、2つ並べて打ち捨てられている。看板の文字の剥げ方や錆具合に年月を感じさせる。

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この建物自体も生活感が全くしないので気になって裏側に回ってみた。どうも廃屋になっているようだ。

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ほぼ一周してみると脇の所に店の玄関口が残っていた。「割烹 梅駒」と書かれた看板もそのままに、小料理屋の玄関はびっしりと板張りで封印されていた。いつから店が潰れたのかも分からない。

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あまつさえ小料理屋の窓ガラスも壊されていて荒れるに任せるといった状態。

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割れた窓ガラスの隙間から小料理屋の中が見えた。埃とカビにまみれた店内、冷蔵庫や備品類の多くは残されたままになっている。

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隣のキッチンの窓ガラスも割られていて中がよく見えた。立つ鳥跡を濁しまくりといった感じ。アフリカケンネルの経営者は夫妻ともども逮捕されて拘置所の中だが、この小料理屋の主人はどこへ消えたのだろう。此処まで来ると目的地はすぐそこである。

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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