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熊谷市・埼玉愛犬家連続殺人事件の舞台「アフリカケンネル」を訪ねる 

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1995年1月に犯人が逮捕されてから事件の全貌が次第に明らかになるにつれ、戦後最悪の殺人とまで言われたにも関わらず、直後の阪神大震災やオウム騒動で報道がピタっと止んでしまい存在感が薄い「埼玉愛犬家連続殺人事件」の舞台、ペットショップ「アフリカケンネル」。その現場を見たいが為にわざわざ高崎線に揺られて1時間、熊谷まで脚を運んで来た奇特な我々取材班を待ち受けていたのが、今も現場近くに残る「犬・猫・狼 アフリカケンネル」と書かれた店舗の看板だった。

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犬舎兼オフィスとして使われていた建物は16年余りが過ぎた現在も熊谷市万吉の田園地帯の中に佇んでいる。一見すると何の変哲もない郊外の風景でしかないが、事件を知る者にとっては身震いせずにはいられない。立正大学と熊谷駅南口を結ぶ路線バスの車内からもこの風景が見られる。

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主犯であるブリーダー被告はヤクザな風貌とは裏腹のひょうきんさと巧みな話術で客の心を掴み、輸入犬の繁殖話を持ちかけ犬を法外な価格で売りつけては生まれた仔犬には難癖を付けて安く買い取り、その仔犬をまた高値を付けて別の客に売り捌くなど、あくどい商売を続けていた。

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田んぼの向こうから、かつての狂気の舞台が顔をのぞかせている。ログハウス風のオフィスの上に立つ巨大な看板は骨組みだけを残していたがほぼ原型は留めていた。「犬・猫・狼」とどでかい文字で書かれた黄色い看板だったそうだ。

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「狼」と書かれている時点で異様さを感じるが、一時期主人は「宣伝のためなら」と積極的にテレビ出演をしていた時期もあって、かつて「狼に魅せられた男」という題で、作家で現在東京都副知事になっている猪瀬直樹氏と対談している。その答弁も多くは虚言に満ちていた。海外を放浪しながら狼を追っていたなどと言うのだ。

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アフリカケンネルの犬舎前までやってきた。主人が逮捕前まで普段こもっていたオフィスはこの場所である。もっと人里離れた場所をイメージしていたが、三方を田んぼに囲まれながらもすぐ隣には普通に民家もあるし、殆ど集落の中にある。

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道を隔てた向かい側はかつてアフリカケンネルの駐車場だったらしく主人の高級車がこれ見よがしに止められていたというが、現在は建設会社の資材置き場兼駐車場になっていて、これ見よがしなDQN臭漂うVIPカーが止まっている。

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一部には「既に解体されている」などと書かれている所もあったのだが、どっこい建物はほぼ残されていた。道路側にあるログハウス風の建物がオフィスで、左隣の赤い屋根と黄色い壁のトタン葺きの小屋が犬舎だったはずだ。

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道路沿いにアフリカケンネルの敷地を見ていく。完全に封鎖されているので外側から眺めるくらいの事しか出来ないが、廃墟となって相当年数が建っているので異様さに拍車が掛かっている。

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アフリカケンネルの役員として主犯のブリーダー被告に付き添って運転手や犯行の幇助を続け、共犯として逮捕されて懲役実刑3年を食らって出所した山崎永幸氏による告白本(単行本「共犯者」)によると、この事件では計4人の殺人のみ立件されているが、実際にはもっと沢山の犠牲者がいるという。
「ボディを透明にする」という独特の言い回しで、徹底した事後処理を行い完全犯罪を目論んだ末の事なので物証となる遺体が出てこないのだ。

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この場所は犬舎兼オフィスだったが、実際の販売店舗は熊谷市の中心部、八木橋百貨店の斜向かいにあったらしい。
山崎氏の本によるとアフリカケンネルの主人はバブル期の勢いで、当時は珍しい輸入犬種を法外な値段で多くの人間に売りつけていた。濡れ手に粟で儲け倒した金で店を拡大しつつ、従業員には身寄りのない家出少女などを囲って住み込みで働かせて、その少女達に殆ど手を出していたという。

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壊れた鉄格子の扉の中から中が見える。ログハウス風のオフィスのドアが開いたままになっていた。中はがらんどうになっているようだが、地元の不良どもの肝試しに使われているのか落書きが目立つようだ。かつては誇らしげにドッグショーか何かのトロフィーやら表彰状やらが沢山飾られていたとか。

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逮捕から20年もの年月が経って敷地内は草ボーボーになりつつも殆どそのままの姿を留めているようだった。そして逮捕され拘置所にいる主犯の夫婦もまた、ともに死刑が確定しながらも刑の執行を受けておらず、小菅の東京拘置所の中でまだ生きている。

<追記>関根元死刑囚が2017年3月27日朝に東京拘置所内で病死したとの報道が。一体何のための死刑制度なんでしょうね。


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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