総武線幕張本郷駅を降りて、京葉道路幕張インター近くまでやってきた。住所は千葉市花見川区だが、地理的には千葉市の中心地よりもかなり離れていて、津田沼のすぐ隣だ。
幕張インターの近くはホテル街になっている。ホテル街とは言ってもシティホテルとラブホテルが半々に混じっている場所で、同じ千葉市でも栄町のようなあからさまな雰囲気もない。場所柄、幕張新都心に用事のあるビジネスマンや幕張メッセでのイベント開催時にやってくる遠方の客がこの辺に宿に取る事が多い。
幕張本郷駅前から続く道路沿いに何軒かラブホテルが見えるのだが、そのうちの一軒が凄まじく奇抜な外観をしている。建物自体が未確認飛行物体UFOである。そしてホテルの名前もそのまんま「UFO」。
ちなみに昼間はこんな感じとなる。幕張インターに降り立った未確認飛行物体。銀色一色の円盤型の建物にかなり古臭さを感じてしまう。
屋上のホテルUFOの看板も、某有名カップ焼きそばのロゴを彷彿とさせるデザインで笑えてしまう。商標登録的に大丈夫かよ?個人的には青春ストレート麺などと意味不明な改悪をせずにジャンクで縮れた麺で臭いソース焼きそばだった昔の姿に戻って欲しいのだが。
夜になると不気味なネオンサインを光らせ幕張インターで存在感を放つ謎のホテル。非日常の世界を楽しむのがラブホテルという場の醍醐味なのだが、あまりにテーマが突拍子過ぎて、ファンタジーどころかオカルト的な存在になっている所が面白い。
明るくもなく暗くもない中途半端な灯りがポワーンと浮かび上がるホテルUFOの怪しさを体感するならやはり夜の方が良いだろう。
そのまま記憶の宇宙のかなたに飛び去って消えてしまう前に、このホテルに泊まってみる事にした。休憩時間のサービスタイムは3800円から、宿泊は6800円からだった(たぶん)
やはり郊外の高速道路のインター脇にあるという土地柄だけに、あくまで車の利用を前提とした作りになっている。裏側から車専用の入口があるが、徒歩で訪れた客も車と同じ入口からアプローチする必要がある。
UFO型の建物は、内部に入るとその仕組みのオーソドックスさに納得がいくことだろう。放射状に並ぶ駐車場と各部屋への入口へ続く階段があり、それぞれ空室もしくは満室が一目で判断出来る。システム的にはモーテルみたいなものだ。
我々はホテルUFOの222号室に潜入する事にした。まさしく未知との遭遇が待ち受けている。しかし部屋に至る階段室はいたって普通。
中に入るなりいきなり時代遅れのキンキラキンなネオンと全面鏡張りの部屋が来訪者を出迎える。どんな宇宙船かと思ったらタイムスリップした昭和のキャバレーだった。
料金は昔懐かしい「エアーシューター」の筒に現金を入れて発射するシステムだった。
ガラス張りの客室に円形のベッドがあるという典型的なホテルだった訳だが、やはり宇宙船という特質もあって部屋は全体的に狭い。この部屋に限っては外観に対して中身はそれほど個性的でもなかった。
幕張インターの地に降り立った未確認飛行物体は、昭和58(1983)年の航空写真を見た所、既に存在していた。かれこれ30年近く経過している事になり、子供の夢の国ディズニーランドと双璧を成す大人の夢の国だ。
しかし宇宙船は古臭くなり過ぎて飛ぶに飛べなさそうな気配である。この地にいつまで宇宙船が残っているのだろう。幕張インター付近を通りがかった時は、是非とも確認頂きたい。