ホームレスの溜まり場だったのにいつの間にか意識高い系仕様に生まれ変わった「南池袋公園」

豊島区

渋谷、新宿と並ぶ山の手三大副都心の一つの数えられるはずの場所なのに「埼玉の植民地」だの「中国の植民地」だの言われてイマイチ洗練された感じのない、豊島区の「池袋」。最近になっても暴走車が突っ込んで通行人が巻き添えを食らって死ぬ事故が起きたり色々と物騒な話題に事欠かない訳だが、そんな池袋もいつまでも負のイメージを引きずっていられないとばかりに、シャレオツにリニューアルされた公園をオープンさせていた。

豊島区 池袋

それが池袋駅東口からも程近い場所にある「豊島区立南池袋公園」。2016年4月2日にリニューアルオープンしており昔とは全く雰囲気が変わってしまい、場所柄に合わずイマドキな意識高めの作りになっている。

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この南池袋公園、リニューアル以前はホームレスの溜まり場になっていて、頻繁に支援団体の炊き出しが行われていた公園だったが、2009年9月に公園整備工事と変電所建設を理由に長期閉鎖されていた。6年半もの間閉鎖され続けた末に再オープンした公園は、夜10時から朝8時まで閉鎖され、寝泊まりするホームレスや繁華街が隣接する故に多い酔客、良からぬ「薬売り」や街娼、チンピラご一同の立ち入りを拒んでいる。

池袋東口の一等地に「意識高い系」スポット爆誕

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公園内に一歩足を踏み入れると、そこには一面綺麗に刈り込まれた芝生が広がっていて周囲をビルに遮られる事なく青空を眺める事ができる。目の前には再開発の末に移転した豊島区役所などが入居する複合施設もある49階建てタワーマンションがそびえ、街の移り変わりを実感する事ができよう。

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この公園に身を置いている限りは、まさかここが池袋のど真ん中であるとは思えず、アメリカ西海岸の高級住宅地にいるような気分にさせてくれる…訳がない。

公園の隅の一画には池袋を溜まり場とするどこぞの下品な大学生がだらしない格好で大勢座り込んでは大声で意味のない馬鹿話に興じている。知性とかセンスという言葉はこの街には似合わない。昔も今もジュンク堂書店池袋本店だけがこの街の良心だ。三流学生はこんな所に溜まらずにそのへんのラーメン屋に行列でもしてろ。

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一方で大きな芝生広場を挟んだ反対側に猫の額ほどしかないキッズスペースがあって、足元にはなにやらウッドチップなんぞ撒いて気取っている訳なんですが、芝生広場が養生の為に立入禁止になってしまっているせいで、子供連れのパパママご一同がこぞってこの場所に窮屈そうに密集している。園内の配置バランス、ちと悪くないか。

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据え付けタイプの卓球台なんぞも置いてあるんですが、どちらかと言うと溜まってるだけの中高生や大学生の方が多い印象です。ちなみに南池袋公園の地下は駐輪場にもなっている。3時間未満の利用はタダ、それ以上でも1日停めても100円とやけにお安いのは池袋という場所柄だけあっての放置自転車対策を兼ねているのかも知れませんね。

池袋なのに凄く意識高い系の公園内ダイニングカフェ

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そんな南池袋公園が一際「意識高い系仕様」になっているのは、公園内にアメリカ西海岸的なシャレオツ空気を巻き起こしている感があるこちらのカフェのせいだ。その名も「ラシーヌ・ファーム・トゥー・パーク(Racines FARM to PARK)」ですよ。近所の南池袋東通りにある有名シャレオツダイニングカフェ「ラシーヌ」がこの場所に二店舗目を進出した形となる。

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店内に一歩足を踏み入れるとそこはもう「西海岸で飲む、いつもの味」的世界が広がっている。一面ガラス張りの窓越しに芝生広場を見渡しながら優雅にオーガニックランチが味わえる、これまた意識高い系の鉄板仕様。そもそも店員の挨拶が「いらっしゃいませ」じゃなくて「こんにちは」なのが、スターバックス以降の日本のシャレオツカフェの接客マニュアルの王道。

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メニュー表も日本語より英語を先に大きく書いている所が「意識高い系仕様」。ランチメニューはサンドイッチ・ホットドッグが800円、オーガニックサラダとローストチキンが880円にセットドリンクを付けると余裕で千円オーバーになるのがデフォ。カフェオレではなく「カフェ・コン・レチェ」とわざわざスペイン語にする所が良いですね。

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「ラシーヌ・ファーム・トゥー・パーク」のオープン記念チラシも貰って来ましたが、元々ホームレスの溜まり場でしかなかっただけの公園で何の「感性を高める!」のか知りませんが生粋の日本人であるはずの我々のオツムでもさっぱり理解できない内容の耳触りの良さげな文章が書かれていて笑うしかない。

「南池袋公園」の土の下には空襲の犠牲者が眠っている

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シャレオツカフェが「感性を高める!」とおっしゃっていても霊感の強い人が感性を高めるにはいささか不都合がありそうなお土地柄がのがこちら南池袋公園です。この公園一帯はかつて「根津山」と呼ばれた林が広がり、戦時中の空襲で一面が焼け野原となった末、この南池袋公園の一角で犠牲者が埋葬されたという悲惨な過去を語る豊島区の案内板が公園内に建っている。

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さらに南池袋公園のすぐ隣には元和4(1618)年に開かれた本立寺という寺院があり、境内にはこのような共同墓地も広がっている。池袋東口のビル群と超高層ビル「サンシャイン60」に挟まれ、今の時代に残る池袋の街の生き字引。

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南池袋公園の近くにそびえる49階建てのタワーマンションは人気の為に完売し、この池袋があろうことか「住みたい街ランキング」の上位に名を連ねるまでになった今の時代、これまで街を覆っていた暗雲、もとい暗い歴史の数々が拭い去れるのだろうかが試されている。


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