【田園都市線とは何なのか】金妻マダムとその旦那が子犬を連れてお買い物する「南町田」のグランベリーモールとその周辺

町田市

渋谷から二子玉川、溝の口を経て多摩田園都市と呼ばれる東急グループが開発したニュータウンが延々と点在する区間を抜けて終点の中央林間までの間を結ぶ「東急田園都市線」。特にたまプラーザやあざみ野、青葉台といった地域に住まうアッパーミドルな世帯はかつて放送されたTBSのテレビドラマ「金曜日の妻たちへ」に影響され、憧れて移り住んできた団塊世代が中心である。

終点の中央林間から2つ手前にある「南町田駅」。ここもまた田園都市線沿線住民が週末になるとわらわらと押し寄せる一大アウトレットモールを中心とした駅前風景が広がり、いかにも東急沿線的なコマーシャリズム全開のノリが見られる街である。

渋谷から急行電車(休日のみ停車)で最速でも36分という通勤にはいささかツラそうな距離感のある南町田駅。同じ町田市でも小田急線町田駅からは4キロほど離れていて東名高速横浜町田ICに程近い。市域全体が神奈川県にめり込んでいる町田市の中でも南町田駅は最も南にあり、すなわち東京都最南端の駅でもある。

これまで南町田駅前にあった大型アウトレットモール「グランベリーモール」が2000年の開業以降、2017年2月12日まで営業を続けていた。田園都市線住民が休日になるとこのモールに押し寄せてはお買い物を楽しむという日常風景が見られたが、現在は東急と町田市による再開発事業が着手し、モールは長期休業となっている。

駅南口は「グランベリーモール口」という名称だったが、モールの閉鎖を受けて今では「正面口」に名称変更されている。駅前にあった東急ストアや郵便局などは全てモール外の近隣で移転営業中である。しかしどうですか、この一切モール以外何もない人工的過ぎる駅前風景は。これも「東急マジック」の為せる業か。

北総線の某ガラガラモールと田園都市線のグランベリーモール…どうして差がついたのか

そもそも東急田園都市線自体が東急グループによって作られた人工的なニュータウンばかりであるという特徴がある中で、この「グランベリーモール」もまた東急によって作られたアウトレットモールだ。わざわざ急行電車を土日限定で停めているのも来場者の利便性を計っている上、東名高速横浜町田ICに近く、国道16号、国道246号が交差し、車でのアクセスには絶好の立地を押さえている。

このモールは2000年の開業以来、どこぞの千葉の北総線の奥地にあるようなガラガラモールとは異なり今まで陳腐化したり失敗することなくやってこられたのは、田園都市線沿線独自の購買力の強い「金妻マダム」とその世帯によって支えられてきた、それが主な理由であろう。

グランベリーモールも当初は10年程度の暫定利用を想定していた施設だったが、業績好調だったのか何だか知らんが17年近くも続いてきて、そろそろ建て替えましょう、ということになったらしい。北総線と田園都市線、どうして差がついたのか…慢心、環境の違い、ですか?

さらに2006年には「109シネマズ」などが入居する「オアシススクエア」がオープンするなど、お客を飽きさせないための投資も怠らない東急グループの商売の上手さも天晴である。しかしこれらの施設もモールの閉鎖とともに営業休止している。

グランベリーモールの跡地は町田市と東急による「南町田駅周辺再開発」事業によって大型モールを中心とした商業施設に生まれ変わる予定で、2019年の街開きを目指している。総事業費はなんと約600億円、モールは建て替え後には売場面積も駐車場もほぼ倍増するらしい。

完成予想図が掲載されたサイトがあるので見てみたんですが、駅舎もたまプラーザ並みの超豪華仕様に生まれ変わるようで「うへぇ…」としか声が出ません。東急グループって、本当にやること大胆ですよね(棒読み)

「グランベリーモール」に見られた田園都市線犬連れアッパーミドル層の生態

そんなグランベリーモールを一巡すると、そちらこちらに犬を連れた買い物客がたむろしているのを目にする。それも小型犬を多頭飼いしている飼い主ばかりである。恐らくは奥様のお買い物が終わるのを待ちぼうけている旦那様だったりするのだろうが、とにかく犬連れが多いったらありゃしない。下手すりゃ子供連れよりも全然多いんですが。

このモール、元々からペット関連ショップが多かったわけでもなかったが、ペット同伴可能なテラス席のある飲食店が多いなど「犬連れフレンドリー仕様」だという噂が広まりいつの間にかこういう光景が当たり前になったということらしい。皆様アッパーミドル感漂っております。オシャレな田都マダムが大勢おられます。

しかし小型犬くらいなら別にどうってことはないが、ごくまれにヤバそうな大型犬を連れているチンピラみたいな親父がいるのが町田クオリティである。あんまり犬連れフレンドリーなのも賛否両論あるのでは。案の定、モールの至る所の柱が犬のションベンまみれで臭いしさ。

そんなわけでモール内にはやけに売り場のでかいペット用品店が入居していたり、経済の論理は実にシンプルに働くわけでして…2019年の建て替え後にはどうなっているか分かりませんが、やっぱり田園都市線沿線のアッパーぶりを象徴するモールなのでした。

グランベリーモール以外の南町田は排ガスだらけの幹線道路とインター付近のラブホ街が有名です

田都マダム御一同の華やかなお買い物の場であるグランベリーモールとは反対側の「北口」で降りるとどうなるか…まさしくこっちは「何もない」としか言えない寂寥感漂う駅前風景となっている。一応この南町田駅、昭和51(1976)年に開業しているのだが、まさか40年以上こんなんだったわけ?

しかし一応ながら駅前ロータリーが建設中になっていて、こちらも再開発エリアの対象になっているらしい。合わせて地下駐輪場や路線バス乗り場も整備されている。この再開発が終わってモールが巨大化する頃には駅前にもっと大量のマンションが建てられて利用者も増えて、そして田園都市線名物の「お客様混雑」がもっと酷くなるのだろう。

既に駅徒歩圏内には築年数の新しい大型マンション群がいくつも建ち始めている。車さえあれば交通便はすこぶる良い場所のはずだが、いくら駅前でも交通量も非常に多く渋滞も激しい幹線道路沿いのマンションの住み心地は如何でしょうか。

悪名高い横浜町田IC付近の渋滞緩和を目的に建設された総延長2.1キロの「町田立体」が国道16号保土ヶ谷バイパスの真上を走っている。国道246号の平面交差を回避できるのが効果的なようだが、この区間は常々「渋滞が酷いにも保土ヶ谷バイパス」とよく言われている箇所だ。

そして横浜町田インター付近にある東京都最南端のラブホ街も地味な南町田名物である。とりわけ豪華客船型ホテル「シークルーズ」はすぐそばの東名高速を走る車の窓からも見えてドライバーの失笑を買っている。

この通り、グーグルマップの航空写真を3Dで見るとなかなかシュールな光景となっている。(※最近リニューアルオープンして「シーストーク」という別のホテルになっているようです)


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