武蔵小山界隈は空襲の被害に遭って焼け野原になったそうだが、戦後に区画整理が行われいち早く商店街が復旧し、古くから繁華街として賑わったそうだ。この胡散臭い横丁も他と同じく戦後のドサクサで建てられたものがそのまま残っているのではないかと考えられるが、詳しい経緯は不明。
引き続き東急目黒線武蔵小山駅前の路地裏酒場の探索をしていこう。昼間っからでも雰囲気はバリバリ怪しいが、住民もひっきりなしに往来しているし治安の問題は感じさせない。
朗惺寺境内に隣り合って連なる横丁も同じように個人経営の小さなスナックが寄り集まり、独特の光景を見せている。もしや赤線跡?と思ったりもしたが、赤線で有名だったのは隣の西小山の三業地で、武蔵小山にそのような場所があったかどうかはわからない。
この通りに並んでいるスナック群は一見さんにはちょっと入りづらい趣きの店舗が目立つ。このへんはどこか新宿ゴールデン街に近いノリを感じる。
この界隈も狭苦しいながらも区画が碁盤の目状に区切られている訳だが、微妙に街路がくねっていたり、昔ながらのテキトーな街づくりの名残りのような雰囲気がわずかに残っている。
これが東京東側の小岩とか北側の赤羽や北千住あたりだったら夜な夜な怪しい中華小姐が立ちんぼしていて「マッサージどう?」と声を掛けて来られそうな場所だが武蔵小山にそんな店はあるのだろうか。
一通り路地裏横丁を見てきたものの普通な感じのスナックやバーが大半を占めていて明らかにヤバそうな店は見当たらなかった。やっぱり東急沿線って健全なんですかねえ。
だが、ごくわずかな一画に限ってはやたら国際色豊かなホットスポットが見られるのが武蔵小山の特徴。それは純喫茶アモールから少しパルム商店街寄りの位置にある。
突如現れる一軒のフィリピンレストラン。物凄く街に溶け込んだ外観をしていて、フィリピン国旗の絵柄が掲げられていなかったら思わず素通りしてしまいそうになる。
さらに真向かいにはやたら珍しいチュニジアレストランの店舗もございます。この一画だけが妙に国際化しまくっている訳だ。品川区ってそんなに外人多かったのかしら。
普通に日本的な居酒屋に紛れて店を構えるフィリピンレストラン「クシーナ」。日が暮れてから晩飯を食らいに潜入してみた。
やたら家庭的な趣きの店内はフィリピンレストランのくせに眞露のボトルキープがやたら置かれていたりとあまりフィリピンらしくない。
客の半数は日本人であとはフィリピン人らしい。店員だけど一人でテーブルでおつまみを食いながらテレビを見ていたやたら話好きで日本語の達者なフィリピン人女性があれこれ話してくれた。毎週日曜日はバイキング形式になっていてフィリピン料理が安上がりで食べ放題にもなる。
店員のお勧めでオーダーしたフィリピン風焼きビーフン。普通に旨いけどあんまりフィリピンらしくない。ただボリュームだけはあるのでこれ一つで腹が膨れそうだ。
あとは最もフィリピンらしいDEEPなソウルフードはないかと聞いてオーダーしたディヌグアンという豚の血と臓物をイカスミと酢で煮込んだ料理。酢がやたら効いてて酸味のきつい味付けだった。
フィリピン人と言えば錦糸町とか小岩あたりをイメージしちゃう所だが、どっこい武蔵小山にもこんな店があるもんですね。
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