東武東上線で東京の最果てにある板橋のベッドタウン「成増」を歩く (2010年)

板橋区

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東京23区の北西端、都立赤塚城址公園に程近い住宅街の一角に「東京大仏」が祀られている乗蓮寺がある。

東京の寺と言えば観光地にもなっている浅草寺や増上寺など、豊富には存在するものの、大仏が建立されている場所で知られている乗蓮寺は最寄りの成増駅や高島平駅からも遠く、そう気軽に来れるような場所ではない。

ふらふら散歩していたらそのうち着くだろうと思っていたがかなり見つけるのに手間取った。区立郷土資料館や赤塚城址公園を目印に来ると良いであろう。

乗蓮寺自体は14世紀頃に創建されたと言われる古い寺院で、浄土宗に属する。昭和48年に今の場所に移転してきており、毎年の初詣には周辺に高島平団地辺りから多くの参拝客が訪問するが、場所が不便なので観光客の姿は皆無だ。

東京というメジャーな大都会の一角に佇む非常にマイナーな大仏のお姿は乗蓮寺の山門を潜ったすぐ右側に鎮座している。比較的新しく昭和52年に建立された大仏だ。

仏像の大きさは日本の大仏では奈良・鎌倉に次いで3番目だと言われる。東京大仏以外では大阪の石切大仏が「日本で3番目」を自称していた。大仏界において奈良と鎌倉は不動の存在として、3番目というのはどうも「自称」のものが多いように思える。

大仏の他にもお地蔵さんが数多く奉られていて、地元民の信仰の深さを垣間見る事ができる。

しかしなぜか境内には三途の川の「奪衣婆」の石像もひょっこり置かれている。極楽と地獄は紙一重。他にも閻魔大王像などもありちょっとした「地獄巡り」も楽しめる。

地獄には鬼もいるものだが、何でも耐えるがまんの鬼だそうだ。鬼の癖に謙虚な奴である。こうした変な石像がちらほら。創作意欲旺盛な彫刻家がいたのであろうか。

大きな池がある日本庭園も境内の見所の一つ。コンパクトだが美しくまとめられている寺で、場所は不便だが一度は訪問する価値がある。ちなみに乗蓮寺の墓地には板橋区在住だった探検家の植村直己氏の墓も存在している。本人は遭難したまま遺体も収容されていないが、墓のみが置かれているのだ。

乗蓮寺を離れて成増駅方面に帰る途中に見つけた物件。東京大仏のそばにあるから「大仏そば」とはこれまたベタなオヤジギャグだが生憎店を畳んで廃墟になってしまっている。

昔はこの界隈も大仏詣に訪れる参拝客でもっと賑わっていたのかも知れない。

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