戦前に花街があったという東急目黒線西小山駅周辺を引き続きぶらぶらと目的もなく歩いて行く事にする。
先にも言ったが東急目黒線の地下化工事の影響で西小山の駅周辺も駅舎や駅前あたりが小奇麗になっていたり若干の変化が見られる訳だが、線路跡が遊歩道にもなっていて興味深い。
不動前駅の先から洗足駅の手前までが全部地下化していて、その跡が長い遊歩道として整備された。その道沿いからオンボロ駅前ドサクサ建築の裏側を見て回れるので、意外に面白かったりする。
アーケード街とは逆方向の駅西側の通りを歩いてみる。こっちも共通するのは物凄く貧乏臭い駅前風景だ。パチンコ屋に漫画喫茶、さらには業務スーパーと貧民御用達な店がピンポイントで連なっている。東急目黒線の線路沿いをおおよその境に北側は目黒区、南側が品川区になっている。こっち側の住所は品川区小山ではなく、目黒区原町。
貧乏臭い通りを抜けていくとこれまた貧乏臭いオンボロコンクリートの建物に不動産屋が入っていたりして場末感が酷い。小料理屋が同じビルに入っている所も微妙にツボである。
挙句の果てにはどこの業者だろうかダンボールの切れ端にアパート入居者募集の旨を伝える広告を駅前の自転車放置禁止の看板の上にベタっと貼りつけているのだ。
どう見ても怪しすぎるのだが「人気最高アパート家賃1万円台」という触れ込みは住みたくないにしても一度内覧だけでもしてみたい気分にさせてくれる。この東京でも家賃1万円台で住める家があるなんて底知れぬロマンを感じさせる。
駅前から東側の路地にも庶民派な居酒屋が古い建物もそのままに建ち並んでいる。もつ焼、焼鳥、ホッピー、戦後のドサクサゾーンのお決まりですよ。庶民派酒場は東京東側だけの文化ではないのだ。
ただ駅前東側一帯に限っては中途半端に開発が始まっているのか放置されているのか知らんがバラック同然のボロボロ家屋に囲まれた空き地にコインパーキングが目立つという、ちょっと淋しげな土地にもなっている。
そのコインパーキングとなっている空き地から、かつて路地裏だったはずの横丁が片面だけ見えている。既に営業している店がない。もうじき取り壊される運命だろうか。
軒並み廃墟化したような飲食店ビル。スナック「ブーメラン」の看板とレトロな縦縞模様のテント屋根がカーブを描いているのが素敵。ブーメランは投げたら戻ってくるが古い路地裏は壊されたらもう戻る事はない。
シャッター街の一部は地元ヤンキーの自己表現の場に使われていた。狂走連盟帝国荏原(笑)品川区のヤンキー軍団か。依然昭和の時代を引きずっているかのようだ。東京のど真ん中なのに、珍走団がバリバリ現役な街なんですね。
駅前店舗ビルの裏手もいい感じの汚なさですねえ。雑然とし過ぎた西小山の駅前。戦前から流れてきたこの街の下町としての系譜が開発で途切れようとしているような風に思えた。もう一つ隣の洗足駅あたりなんか、微妙にお上品な感じで雰囲気がもう違うし。
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