【チンチン】横浜・野毛名物電波系中華料理店「三陽」の下ネタ三昧料理【チョメチョメ】

横浜市中区

JR桜木町駅からすぐ、横浜下町の居酒屋密集地「野毛」に来れば、超個性的な飲食店が次々貴方を出迎えてくれる。お気に入りの一軒をゆっくり探すもよし、そんなわけで野毛界隈をふらふら散歩していた。馬鹿鍋やら福音喫茶も非常に気になる存在だが、まず野毛に来たら忘れずに食べて帰りたい名物店がある。

桜木町駅側に近い野毛小路沿いにポツンと立つ、黄色い看板が目印の怪しいバラック建ての中華料理屋。店の前には料理とビールを手に酔っ払いが好き勝手に酒盛りしている。なんだ、ここだけ闇市が残っているではないか(笑)

だが異様なのがこの中華料理屋が表に掲げる電波全開のキャッチコピーが書き込まれた看板の存在だ。


毛沢東もビックリの 餃子
周恩来も驚く ラーメン
楊貴妃も腰抜かす ギャルのアイドル チンチン麺
ジンギスハーンもいきり立つ ぼくちゃんのアイドル チョメチョメ麺
男のロマン ボーボー麺

…上の二行はまだギャグで通るは下の三行は一体なんやねんと。この店こそが野毛界隈で最強の中華料理屋ともっぱら評判の「三陽」なのである。

餃子の名店である「三陽」の前では表で酒盛りに興じる集団客が6名ほど、奥のカウンターとテーブルで10名ほど、わずか5坪という「三陽大陸」と呼ばれる中国本土同様の人口密度の店内から発する凄まじい熱気と臭気でむせかえる。

たった5坪の野毛町における中国大陸。もちろん品物を運ぶ店員は全員中国人だ!

「ギョーザ一人前!」
「生ビールおかわり!」

そこでは荒々しく怪しげな片言の日本語が飛び交う。

店内の壮絶な風景に圧倒されるもひとまず空き席が出るまで店の前で待機。待ち時間中には店先に掲げられている電波で意味不明な「毛沢東語録」を読もう。決してこの店は客を退屈させてくれない。突っ込みどころが多すぎる。

チンチンだとかコンニャクだとか金の玉だとかいちいち卑猥な毛沢東語録。もはやセクハラとか言ってられるレベルではない。

10分程表で待ってから中に通されると、三陽大陸の「シルクロード」と呼ばれる凄まじく狭いあまりカニ歩きでしか進めない通路を通りようやくカウンター席に腰を下ろす。ちなみに壁側のテーブル2席は「ロイヤルボックス」、店の表に出された団体の席は「三陽の御用邸」、そして店の一番奥のトイレは「チベット」と呼ばれている。

店内では客と店員が常に満員御礼状態で身体をこすり合わせながら食事や酒に浸っている。まさしく戦場とも言える状態だが、男女二人連れで入店すると厨房にいるスタッフから否応なく発せられる開口一番の言葉が「お客さん、ビールと餃子2人前とネギトリのラブラブセットね!!」

黙っていると勝手に客のメニューを「ラブラブセット」に決めてしまう強引な店である。ここは強気に自分の好きなメニューを注文したいが、餃子とビールは外せないだろう。

しかし後で皆うまそうに食ってる「ネギトリ」も外せないと思って急遽追加注文。結局ラブラブセットと一緒やんけ!ビールを注文するともれなくお通しに「バクダン」こと焦がしにんにくの味噌和えのようなおつまみが出てくる。これがヤバイくらいにうまい。

狭い店だがそれなりに工夫はされていて、カウンター席には手の届く場所に回転寿司屋よろしく給水口が置かれている。三陽のメニューのキャッチフレーズもいちいち物凄いハイクオリティである。

もう一つの三陽名物「チンチンラーメン」を頼むと、2人組で1杯だけ頼んだ場合は小分けにして出してくれる。何故にチンチンなのかは全く不明。食って見たら普通のにんにく臭い塩味のあっさりタンメンだった。(後で調べると店主は愛知県三河地方の出身で、愛知の方言で「チンチン」は「とても熱い」の意味で、店名の「三」も三河から取ったということ。なるほど。)

すっかり「三陽大陸」の住民になった常連客なんぞは平然とこなれた様子で中国人店員にこう注文するのだ。

客「チンチンチョメチョメで」
店員「チンチョメ入ります!!」

文章だけ見てると完全に怪しいセクキャバの会話みたいで滑稽である。

他にも三陽オリジナルTシャツ(店員が着ているのと同じデザインのやつ)も絶賛販売中。とにかく突っ込みどころが多すぎてここでは書ききれません。ともかくこれが横浜野毛の中華クオリティ。三陽を知らずに横浜の中華は語れない。中華街なんかでぼったくられてる場合じゃねえ。

<追記>「三陽」は場所を変えて営業しています(三陽御用亭)。取材当時の建物は既に解体されて存在しません。悪しからず。


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