王子・飛鳥山 (3) 戦後闇市系横丁「さくら新道」

JR王子駅のホームから飛鳥山公園の方向を見ると、緑地にへばりつくように並ぶ、奇妙で古めかしい木造長屋の姿が確認できる。
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通りの反対側は飛鳥山公園の森が迫る。緑が溢れる裏長屋というロケーションの飲み屋街は都心でもそうそうお目には出来ない。
100メートルも続かない短い区間だが、まるで昭和初期の長屋のようなボロい建物が並んでいる。これが「さくら新道」。十数軒ほどの居酒屋、バーが並ぶ乙な呑み屋街がこんな所に。昼間訪れるとどこの店も閉まっている。


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さくら新道の入口から最初に見える民家もこれまた変なセンスをしており思わず目が留まってしまう。「飛鳥山観世音 聖徳院」という寺だそうだが詳細は「珍寺大道場」サイトの記述以外は一切不明。玄関前の謎の石像といい、パラダイス状態。これが大阪だったら探偵ナイトスクープの桂小枝探偵に依頼して調査してもらいたいところだ(笑)
家の主が自分でコンクリートを固めて作ったであろう変な造形物も見える。しかしその多くが敷地の奥に隠れており、よく見えない。
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謎の寺院の前には、謎のお地蔵様が。
お地蔵様の割には全然大事にされてないモード全開ですがw
これも謎の民家の主が作ったコンクリート造形作品なのか?
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やけに公明党のポスターが多いさくら新道の長屋。二階部分が前にせり出した格好になっている。
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建物の隙間から見える生活空間は、ここが未だに「戦後」の時代の東京の日常が続いているような佇まいを見せる。
これ見よがしな駅前オンボロ長屋は、またいつもの「戦後のドサクサ」かと考えそうになるが、やはりこの「さくら新道」の歴史も終戦後の焼け野原から始まっている。
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このさくら新道から駅を挟んだ向かいに「柳小路」という飲み屋街もあるが、この二つの飲み屋街は兄弟の関係にあるという。終戦直後にバラック建ての「柳小路」が出来て、その後昭和27年に木造建築に建て替えようとした時にどうしても敷地に入りきれない店があり、くじ引きで選ばれた店が「さくら新道」側に移転したんだとか。(→詳細
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長屋を通り過ぎると目の前に視界が広がる。そこにはJRの線路が眼前に迫っているのだ。
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貨物列車や湘南新宿ラインの車両が目と鼻の先でひっきりなしに通りがかる度に轟音が鳴り響く。建物ギリギリを通るので余計に迫力がある。撮り鉄にもロケーション的には魅力的なのだろう、いつも誰かが三脚を据えて鉄道写真を撮る姿を見る事ができる。
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「さくら新道」という名前があるからには、桜の開花時期には桜の名所であることは言うまでも無いのだが、梅雨時にやってくると今度は紫陽花の名所になるということでも知られている。
さくら新道からJRの線路沿いに300メートル程の道が「飛鳥の小径」という名前で呼ばれている。詳しくは次のページで。

東京都北区
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