大井町駅前をまっすぐ東へ向けて歩くと、道は突然下り坂に変わる。仙台藩伊達陸奥守の下屋敷があったこと、それから坂の上に仙台味噌の醸造工場があることから「仙台坂」と呼ばれている坂の上に立つ形となる。
仙台坂の上から見えるのは東京湾ではなく「品川シーサイド」の超高層マンション。やはり東京の海はどこまで行っても人工建造物しか見えない。かつては目の前に海岸が広がっていたであろう。
仙台坂を降りて道を振り返ると結構な高低差があることを実感する。目の前は交通量の激しい第一京浜(国道15号)と京浜急行の高架線が走っている。
南品川三丁目交差点から京浜急行の高架を見るとどちら側にも駅があるという奇妙な場所であることが分かる。北側には青物横丁駅、南側には鮫洲駅だ。
ひとまず鮫洲駅を目指す事にした。
各駅停車しか止まらない京浜急行鮫洲駅。京急と言えば快特停車駅と各駅停車しか止まらない駅の扱いの差がとても激しい事で知られている。よって各駅停車しか停まらない駅の利用者が極端に少ない特徴があるのだが、鮫洲駅も例に漏れず。
とても駅前とは思えない寂れた風情を見せているのだ。
鮫洲駅前で店らしい店と言えばこのパチンコ屋と、駅そば屋の「ゆで太郎」しかない(笑)
もはや東京23区というよりは地方の寂れた駅前の風景に近いテンションを見せる凄まじい状態だ。
そんな鮫洲にも一応駅前商店街らしきものは存在するのだが「鮫洲商店街」と書かれたアーチ状の看板のレトロ具合といったら半端ないぜ。
そもそもシャッターを開けている店が全然ないし、すこぶる寂れている。どこが商店街やねん!
しかし「鮫洲」という街には警視庁の鮫洲運転免許試験場があり、主に西側の東京23区で自動車免許を取りに来る人間なら必ず立ち寄る事になる場所だ。
鮫洲商店街から免許試験場に続く道すがら、いくつもの「免許取得」関連の業者を見かける事ができる。写真撮影、試験対策云々。しかし休日になるとご覧の有様だ。
鮫洲に限らず全国の「試験場タウン」に言える事だが、総じて活気がない街にあり、総じて親方日の丸の殿様商売で無愛想という共通点がある。鮫洲もやはりそんな街なのだろうか。
たまに開いている店も、決まって中華料理屋ばかりだ。
免許試験所に近づくにつれ、これ見よがしな試験対策用学習塾の存在を見つける。所謂「裏講」という業者だ。学科試験が苦手な人種でもこういう塾に入っておけば大丈夫、というやつである。
こういう性質の試験対策屋なのでテレビや新聞でも宣伝することは決してない部類の業者であるがゆえにあまり知られていない。テレビにおいてはフジの「笑っていいとも!」で松浦亜弥が裏講を利用した話をタモリに振って、タモリ本人も裏講の存在を知らなかったと言う程だからな(→詳細)
そんなこんなで、鮫洲駅から試験場までは10分近い距離があった。隣には「品川ナンバー」を発行する東京運輸支局の建物もある。