中目黒に「河内名物かすうどん」が食べられる店がある

下町と貧民街が大好きな東京DEEP案内取材班だが、とあるファンを名乗る方からこんな注文があった。「貧乏臭い所ばっかり行かずにたまには金持ちが多い所にも行け」と。
すいませんでした。ワタクシ自身の出身がアレなのでつい…着眼点が甘かったです…というのは冗談として確かにハイソなエリアだからこそ見られる変な風景もあるにはある。
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で、従来式のDEEP探検では鼻にも引っかからない自称おハイソ路線たる東急東横線の中目黒駅にやってきたわけである。しかし中目黒なら東京メトロ日比谷線で来れる。貧乏旅行者なら御用達の東京メトロ一日乗車券だけで辿りついた。


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恵比寿だの広尾だの六本木だのといった高級エリアがひしめく日比谷線の西側であるが中目黒もそんなハイソ文化圏に位置するためご覧のような戦後ドサクサ系物件はひたすらマイノリティ。
昼間のランチもだいたい900円以上ぼったくりであり、豚丼やラーメンなんぞに素材がどうたらこうたら薀蓄を垂れる店が軒を連ねる状況。我がDEEP案内のアンテナにはこれっぽっちも反応しない店ばかりで嘆かわしいばかりだ。
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中目黒においても、少し駅を離れると丘陵地帯に高級マンションや住宅街が並び、貧乏人なら思わず窒息してしまいそうなほどの街並みが広がる。
だいたい目黒区自体が芸能人の家が最も多い区であり(→詳細)金持ち過ぎると仕事や娯楽が忙しいのかして全国最低の出生率を誇るある意味異常な区だとも言える(→詳細)。
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駅から離れるとまるでどこかの山にでも来たかのような風情を見せる中目黒駅北側一帯。
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車のすれ違いもできない程細い崖沿いの道を歩くと、崖下に突如お稲荷さんが出現する。烏森稲荷という地元の鎮守である。今のような高級住宅地になる前の景色はどんなものだったのだろう。
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その烏森稲荷神社のすぐ真ん前、コンクリート壁にぽっかり穴が開いたような謎めいた入口。人の家の勝手口ということでもないがよく見ると「藤巻激城」と書かれたプレートがある。
以前ニュースで見たことがある、一杯3000円のタイ風トムヤムラーメンを出す完全予約制の店。ここだったのか。私はラーメンは庶民の食い物だと思うが藤巻激城みたいなのもアリだという人もいるだろう。その価値判断は人それぞれだ。しかしここまで来るともはや宗教だと思うが(笑)
ハイソエリアの中目黒だからこそこういう商売ができるのかなぁと感心するも今回の目的の店ではないのでそのままスルーである。
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今回中目黒を訪れたのは、河内名物かすうどんが東京でも食べられるという情報を耳にしてのことだ。目黒区役所に程近い駒沢通りに面したマンションの1階に目当ての店があった。「かすうどん田中」だ。おおよそB級フードを食わせる店には程遠いオシャレな外観は場所が中目黒だからか。
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「かすうどん」の「かす」とは大阪名物とか書かれているものの当の大阪人にも全然知られていない謎のソウルフードである。端折って説明すると、牛の小腸を揚げたもの。大阪でもとりわけ南河内地方の食肉業に従事するごく一部の家庭でしか食されてこなかった食材という、特殊な歴史がある。
詳しくは以前に大阪DEEP案内で取り上げた藤井寺の「加寿屋」のレポートを見ていただけると分かる。
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店内に入ると食券で注文する「かすうどん」(750円)は、無料でうどんの玉を1~3玉で調整できる。かなりコシが強く太い独特の手打ち麺で、所謂大阪によくある「腰抜けうどん」の類ではない。こんなに太くて硬いと、むしろ「ざる」で食う方がうまいかも知れない。
残念ながらダシも関西人が好む「昆布」が若干抜けている感がある。肝心の「かす」は大き目に切られているが極めて少量。かすの大盛りは200円増しとなる。まあ場所が中目黒だからしょうがないよね。
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食後は無料でご飯と梅干もしくはキムチを追加して丼の中に放り込んでお茶漬け風に「二度おいしい」が出来るのが特徴。後はお好みで柚子胡椒とにんにくをトッピングできる。
それでもやはり私個人的には藤井寺の加寿屋に軍配が上がってしまうが。まあここ東京だし。

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