総武線に乗って津田沼へ (3) ヤギのビリー伝説

津田沼最大の公団住宅群「袖ヶ浦団地」の脇には三和名店街という地味な商店街が隣接している。鷺沼温泉に行こうとして何気なく通り過ぎようとしていただけだったが、こういう古びた商店街を見るとついつい足が止まってしまう。
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しなびた団地にしなびた商店街。もはや半分店じまいをしたような状態の店も多く商店街と呼べるかどうかすら微妙な状況ではあるが。


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「いらっしゃいませ」と言われる気配すら漂わない商店街の入口。中はUの字型の袋小路になっていて、一回りしてくる形になる。
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飲食店らしい店はこの蕎麦屋くらいしかない。しかも結構玄関前も所帯じみていてなかなか風情がある。隣は完全に住宅が並んでいるし、やはり商店街とは言い難い。
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もう一軒、微妙に昭和臭漂うポップなイラストの豚さんがトレードマークのラーメン屋があるがこちらは営業していなかった。
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ほとんど開店休業状態の文具屋の前にはいつの時代のものなのかわからない謎のパチンコ台のようなゲーム機が置かれている。よく見るとパチンコ台ではなく「10円玉ゲーム」と言われるタイプの昔懐かしのゲーム機だ。10円玉がそのまま「パチンコ玉」になる。
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しかし見た目にはほとんど故障しているようにしか見えないオンボロゲーム機だ。よく見ると「まわっていないけどゲームできるよ」と書かれていて脱力。
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しかも結構口やかましく注意書きが書かれていて萎え萎えである。
「10円玉2ヶいれるとつまります つまらせた人は修理代50円です」
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「このゲームは一回10円です 一円、五円でやった人 一〇〇円いただきます」
…次々書かれる注意書きの文章を見るにつれかなりがめつい店主であることが伺える。
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で、そこが当たりなんですね…
こんなにワクワク感のないゲーム機は異常。
あなたも袖ヶ浦団地の近くに来た時は是非プレイしてみてね。
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あまりに寂れすぎていて萎え萎えの商店街だが一軒だけ客の入りの良い豆腐屋があるので、喉も渇いた事だし1杯100円の豆乳を頂く事にした。他にも豆腐ドーナツなどメニューが盛りだくさん。
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愛知県知多半島の先端、日間賀島出身のご主人が何故津田沼で豆腐屋をやっているのか謎だが、日間賀島産のところてんなど地元の物産品もさりげなく置いてある。知多は尾張の国だけど「三河屋豆腐店」という素敵な下町のお豆腐屋さんでした。
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袖ヶ浦団地を抜けて再び国道14号千葉街道に戻ると、鷺沼一丁目交差点のそばに津田沼ではよく知られる有名な山羊の夫婦が住んでいたという謎の空き地が現れる。
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この空き地にはビリーという老齢の山羊が暮らしていたそうで、さぞかし地元の子供や大人には可愛がられていたということだが肝心の山羊は居ない。看板が掛かっていて「お医者さんから言われているので餌をあげないでね」云々書かれた看板が色褪せていた。
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残念ながら山羊のビリーは最近死んでしまったらしい。人間の年齢だと80~90歳だというので大往生といったところか。
ビリーとウイリーの2頭がいたそうだが向かいのセブンイレブンの店主が近くペットショップで買った山羊だったそうだ。山羊を売るペットショップってどんなんやねんと思いつつ、後にする。
もうすっかり最初の目的を忘れていたが、激レトロ銭湯「鷺沼温泉」はもうすぐだ。

千葉県習志野市
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