埼京線「十条」界隈 (1) 十条銀座商店街

埼京線の十条という駅で降りた。
赤羽以外はさっぱり存在感の薄い北区の街の中にあって十条という所では「十条銀座商店街」という大規模アーケードつき商店街が駅前にドーンと建っていて、のっけからモロに下町全開である。
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池袋から赤羽までを結ぶ「赤羽線」だった埼京線の十条駅。いつの間にか埼玉都民と痴漢野郎を運搬する通勤路線として使われ始めるが、十条と板橋になぜ快速や通勤快速を止めるのかという不満が漏れることで有名。駅前こそ地味だがこの街には立派な商店街がある。


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そんな「十条銀座商店街」の入口。埼京線の線路と平行するように南北に走る本通りを中心に500メートル近い区間、なんとも下町臭い店がぎっしり並んでいる。
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商店街の店構えの傾向を両極に分けると、東京の西側に多い、吉祥寺「サンロード」などのチェーン店ばかりで占められる味気ないショッピングモール型と、東京の東側に多い墨田区京島の「キラキラ橘」のような個人商店ばかりの超下町型とがある。ここ十条銀座は、中間型だ。そして結構個性的な店が多い。
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十条銀座に買い物に来る住民には自転車の利用者がとても多い。こちらは赤羽同様、完全に下町的な光景が見られる。
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それはいいが、駐輪や運転など少し自転車のマナーが悪い。銀行ATMの入口をシャットアウトしそうな置き方。商店街のど真ん中でチャリンコ走らせるオッサンも多いし、大阪の商店街みたいやなあ。
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本通りから埼京線が走る線路方向に外れると、やたら地元民が行列しまくる店が一軒ある。鶏肉専門店「鳥大」の店の前だった。
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「鳥大」は十条民の台所・十条銀座商店街で欠かす事のできない店の一つ。から揚げやら何やら色々と鶏肉を中心としたお惣菜がずらりと並べられている。とりわけ行列するほどこの店が人気を博しているのが、1個10円という激安価格の定番惣菜「チキンボール」である。
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チキンボールの正体は一口サイズの鶏肉団子をフライしたもの。
鶏もも肉ミンチに玉葱、それに「おから」が入っている。
なるほど、道理で1個10円で売れる訳なのだ。しかし下町十条庶民にとっては財布にもお腹にも優しい食卓の名脇役としてたいそう有難がられている。10個買っても100円!子供のおやつにもなるが、さすがにこれ10個に加えてから揚げまで食ったら胸焼けしそうになる。
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みんながチキンボールやから揚げなど鶏肉惣菜を行列して買っているすぐ横で小鳥の専門店あり。食べるも良し!育てるも良し!それが十条クオリティ。
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「鳥大」の行列に驚くばかりでは済まない。十条銀座も駅から遠くなるとだんだんと泥臭い光景を拝む事になる。十条銀座に数店舗構えている激安衣料「みどりや」ではオバハン大戦争勃発中。まるでサバンナの肉食獣の食事風景を見ているかのようだ。
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北区はとりわけマイナーエリアのはずだが十条銀座に限っては常に買い物客で賑わっている。上京の際、東京のどこに引っ越すかで山の手vs下町で揉めるパターンが多いが、そのどちらでもない微妙な存在の十条界隈。意外に穴場かも知れんぞ。
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十条銀座のアーケードが途切れた先にもさらに「富士見銀座」という商店街が続く。富士山をかたどった商店街のゲートが昭和チックだが、その下の青と黄色と赤のラインはもしやアレなのかと勘繰ってしまいそうになるが、北区はもともとそういう土地柄だと聞いているので、やっぱりそうなのかと思いつつ商店街を後にした。

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