同じ東京都内なのに関わらず、東京都の外にある横浜や大宮あたりよりも遠く離れた場所に存在する都市もある。東京西部最大の街「八王子市」である。
先日この街を訪れる機会があったので、駅周辺を散策してみることにした。
中央線で新宿から40分かかるJR八王子駅を降りると電車の発車メロディが「夕焼け小焼け」。
来る前はどんなに田舎なのかと勝手に妄想していたのだが、実に人口57万を数える大都市のターミナルだけあって人通りも多く、都内の駅と変わらない勢いだ。
八王子駅からは町田や横浜に行けるJR横浜線と、拝島を経て埼玉県に入り高麗川、川越に向かう八高線が走っている。
中央線は高尾から先、神奈川県の奥座敷、相模湖を経て山梨県に入って上野原、大月、富士急行方面に続く。
しかし駅を降りると巨大なパチンコ屋があるあたりはさすがに八王子クオリティ。
駅前の雑居ビルにも夥しい数のサラ金が入居している。駅前の風景は池袋を歩いているのとさほど違いはない。
北口の駅ビルにはデパートの「そごう」と「八王子ナウ」が入っていてそれなりの規模を見せている。対して開発の遅れた南口は本当に何もないが、現在駅ビルや巨大マンションが建設予定で、目下すこぶる再開発中。
八王子駅北口周辺は大規模な市街地になっているが、最も人の往来が激しいのが「ユーロード」と呼ばれる、正式名称「西放射線通り商店街」。まるでレントゲンみたいな名前だが、駅から放射状に北西方向に伸びる見た目そのまんまな商店街だ。
ユーロード商店街には「これが八王子名物」と市民に言われる程の銘菓「都まんじゅう」を売る「つるや製菓」の店舗が。目の前でおばちゃん従業員によるまんじゅう製作工程を見る事ができる。
一口サイズの焼きたて「都まんじゅう」は白あんが詰まっており、後に残らない程よい甘さがいい。1個30円というのも良心的だ。しかし八王子市民が「八王子名物」だと誰もが思っているらしいが、実は日本全国に同じ「都まんじゅう」を売る店があるそうだ(→詳細)
さらに八王子と同じ「つるや製菓」の店が平塚と沼津にもあり、しかも同様に平塚や沼津の市民にも自分の街の名物だと思われているという、奇妙な存在だ。
駅北口からずっと斜めに延びていく西放射線通り。さっき買ったばかりの都まんじゅうはいつの間にか平らげてしまっていた。
商店街のメインストリートでは「八王子古本まつり」が開催中。駅前はDQN臭が強いが、八王子市には大学のキャンパスも数多くあり、学生もまずまず多い。文教都市とまではいかないが、それなりに知識層も多い街である。
西放射線通りから少し外れると、人通りが途端に途切れる。やはりノリとしては都内の繁華街よりも地方都市の趣きが強い。北側を通る国道20号甲州街道沿いに続く横山町、八日町に入ると、旧市街の昭和全開な商店街に変わる。
東京も至る所でチャイナタウン化が進行しまくっているのだが、東京の外れであるここ八王子にも中国人向けショップの存在があった。場所柄、労働者よりも留学生が多いように思うが…