勝どきドキドキ探検隊 (5) 都営住宅と超高層マンション

新月島川に架かる浜前橋から、勝どきエリアの最も沖合いに位置する勝どき五丁目と六丁目に入る。

隅田川に面した敷地にかなり古い消防署の建物が残っている。東京消防庁臨港消防署である。最近までこの場所で消防艇がスタンバイしていたのだが、見ての通り老朽化が激しく、さらに周辺の高層マンションだらけの開発の波の影響で、庁舎を取り壊して晴海に移転と言う事になった。現在は晴海に仮庁舎を建てており、既に使われていない。



かつてはこの辺が東京湾に最も近い場所だったはずだが、豊洲やお台場の埋め立てで東京湾がどんどんと沖に遠ざかっている。やはり勝どきらしく、跡地はおそらくタワーマンションなのだろうか。

そして、ここから先は容赦なく超高層マンションの嵐である。再開発計画進行中と言う事もあって、今残っている空き地も全てマンションに変わってしまう。

新月島川沿いには古い会社の事務所らしき建物も残っているが、下町臭さが残る風景はもはやここでは少数派。

清澄通りを隔てた南側には地上58階建てという凄まじい規模のタワーマンションが2棟もそびえている。勝どき六丁目の再開発計画で建てられた「ザ・トーキョータワーズ」などといういかにもなネーミングのマンションで、2800戸の世帯が入居できる作りになっている。

現状では日本最大のタワーマンションで、勝どきにおける超高層マンション街のシンボル的な存在であると言っても良い。これだけの規模のマンションでも、莫大な広告費用を掛けて売り出した事もあって2800戸近い部屋は「完売」ということらしい。銭のあるところにはあるもんやな。

しかしそんな超高層マンションの手前には古臭い都営住宅の建物がずらりと並んでいる。新旧の対比が凄まじいギャップな訳だが、奥の58階建てに比べると5階建ての高さですらオモチャにしか思えなくなってくる。

この都営住宅は「都営月島アパート」。もともと勝どきはこうした住宅かオンボロ長屋か公明党のポスターしかないような冴えない街だった訳だが、そんな古臭い街の名残りが急速に消えていこうとしているかのように、このアパートも老朽化のため解体されるという。

既に全戸が空き家となった月島アパートの背後にも巨大な高層マンションがそびえ立っている。

かつては子供が遊んでいたりしていたであろう団地の共同庭も、手入れがなくなると途端に荒れてしまうもの。
当初は風呂なし物件だったからだろうか、ベランダ据え置き型のユニットバスを備えていた世帯がちらほら見受けられる。

建物に面して階段が横向きになった特徴的な構造。いまどき5階建てでエレベーターが無い住宅なんてあり得ないなどと言われるが…

すっかり古びて錆だらけになった団地の看板が歴史を物語っている。東京は街の新陳代謝が非常に激しい。もしこれが大阪だったら全然現役バリバリで使われてそうなレベルの団地なのだが、それでも惜しげもなくぶっ壊す程、この地区には住宅需要が溢れているのか?

都営月島アパートの住民はほぼ立ち退きが終わっている。住民は近所に建設される「勝どき五丁目第2団地」に引っ越す事となるそうだが、この都営住宅を取り壊した跡地にも54階建てのタワーマンションが建設される予定になっているのだそうで。

しかしこの新旧の対比、他では見られない。
これだけ立派なタワーマンションだと勝どきに住んでいる事を鼻に掛けたくもなるのも、無理はなさそうな気もするが。ちなみに「ザ・トーキョータワーズ」の平均価格帯はおおよそ4000万円近いんだそうだ。
今後も勝どきの高級住宅街化は加速していくのだろう。街を歩いている人間が親子連れか犬連ればかりだもん。人口一極集中な東京でしかあり得ない発展の仕方をしている、変わった街だ。

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