水泳・北島康介選手の実家の肉屋に程近い、西日暮里の路地の一角。
そこに、長い間放置され続けている、とある廃屋がある。
そのほったらかし具合が半端なかったので、思わず写真に収めてきてしまった。
廃屋をまるごと包み込んでしまった樹木達。いかに大都会東京のど真ん中においても、自然の力は衰える事はない。主を失った人家など自然の前では太刀打ちできないのだと植物自身が語りかけてきているかのごとく。
この家屋の主が消えてからどれだけの年数が過ぎたのだろうか、庭の森はとうに家の敷地を通り越して丸ごと緑のトンネルとなって目の前の道の上にまで覆いかぶさっている。
さらに、建物の西側は全て蔦に覆われ、元の家屋の外壁や構造すら読み取ることはできない。もはや完全に植物と一体化している状態だ。
未だに玄関前には看板が掛かっており、この建物が歯科医院だったことを語っている。
そしてその玄関の扉は何者かに破られており、中から大量のゴミが顔を覗かせていたのだった。あまりのゴミの量に、内部は完全に視界を奪われた状態。見るからに異様である。
しかも、玄関扉の付近に蠢く影を見つけてしまった。
…中でホームレスのオッサンが居眠りをこいていたのだ。
家屋の主が居ないのをいい事に、オッサンのパラダイスと化している模様。ということは中の大量のゴミも、オッサンが貯め続けているものだろうか?
東京の至る所に放置されたままの廃屋が存在しているが、良くも悪くも都会ならではで、「よそもの」同士が干渉することなく暮らしを営む裏側で、誰にも見取られず何十年も放置され続ける異様な光景を拝むことができる。
それも東京という都市のひとつの側面として、見過ごしてはならないと感じた。
西日暮里といえばこれ
西日暮里ブルース