今度は北里通りの北里研究所病院前から聖心女子学院の西側に広がる高台の高級住宅街を目指して歩く事にする。
聖心女子学院は美智子皇后や皇族を卒業生として輩出する日本一のお嬢様学校だけあって、その存在感が違う。煉瓦塀を跨いで広大な敷地が続いているのを見ても分かるだろう。東大医科研などと並んで、白金の街の中央に広大な文教地区を形成している。
200メートル程度続く長い坂道を登る。その間も聖心女子学院の煉瓦塀は途切れる事がない。
坂を登りきっても煉瓦塀が左に折れてまだまだ続いている。そのまま塀に沿って進むと一周して先程の白金四丁目の高級住宅街に戻る事になるので、塀とは反対側の白金六丁目の住宅地へと進む。
こちら側は四丁目のようなあからさまな超高級物件は無く、平凡な大人しい住宅地だ。
住宅地に入ると、突如開けた空き地の向こうに六本木ヒルズの建物が見える眺めのいい場所が現れる。
この付近は何故だか知らぬが不自然に広大な空き地が残されているのが目に付く。高級住宅街ならではの現象だろうか。目の前には大きな不動産屋の看板。
既に跡形も無くなってしまったかつての住居の玄関だけが寒々しく残されていた。遺産相続によるトラブルなのか、それとも…一体何があってこの土地を手放したのだろうか。こんなセレブタウンに立派な御殿を建てても、所詮は砂上の楼閣に過ぎないのか。
その隣にも豪快に土地が開けていてびっくりした。ちょっとした草野球ぐらい出来そうな広さがある。しかも敷地にはクローバーの葉がまるで緑の絨毯のごとくびっしりと覆い茂っていたのだ。
大量のクローバー畑の向こうに東京タワー。こんなロケーションで東京タワーを見た事なんて無い。白金という街の風景の多様さに改めて驚く。
…で、ここもかつての住人の表札とポストだけがかすかに残されたまま。完全に壊してしまわないのは何故なんだろう。ある意味、まるで墓標のようにも見える。
それを過ぎると、白金六丁目の住宅街を南北に抜ける明治坂。坂の西側はすっかり高級マンションしかなくなっている。北へ坂を降りると北里通りに沿った下町が現れ、南に坂を降りるとプラチナ通りだ。
プラチナ通り方面に降りるとかなりの急坂である。白金界隈は本当に坂だらけの街で、歩き回るのもなかなか大変だ。