江戸川橋界隈 (5) 江戸川公園・神田上水

再び江戸川橋駅前に戻り、今度は神田川に沿って歩いて行く事にする。

江戸川橋駅前から神田川の上に掛かる橋を渡ると、そこが「江戸川橋」という事に気付くのだ。神田川中流域を昔は「江戸川」と呼んでいた名残りで、決して東京の東の果てにある江戸川区の事ではないのである。



江戸川橋から神田川沿いに西側一帯に掛けて「江戸川公園」が整備されていて文京区民の憩いの場となっているわけだが、その公園の入口には河川改修事業で尽力した大井玄洞翁の銅像が設置されている。しかしこの爺さんよりもっぱら知られているのが、300年前に神田上水の河川改修事業を手掛けたとされる若き日の松尾芭蕉の存在だ。
神田川沿いに「関口芭蕉庵」という、松尾芭蕉が4年余り暮らしていたという家が復元されて残っている。

しかしそんな歴史を誇る公園も、頭上に雨宿りができる首都高の高架があるせいか、やたらホームレスのオッサンが居座っていて雰囲気が異様なのである。晴れた日には江戸川公園全体がホームレスの憩いの場と化す。

江戸川公園は神田川に沿って1キロに渡って続いている。殆どが遊歩道のようなものだが、神田川の反対側は関口台の崖線が続いていて、鬱蒼とした森が連なっている。

場所によってはかなり本格的に自然に還ってしまっている場所もあるので、見た目には東京の都心にある光景とは思えない場所もある。松尾芭蕉が神田上水の治水事業に関わっていた時の大洗堰が復元されて置かれている。

傍らには昭和13年3月、東京市と刻まれた神田上水の由来碑がある。そこにもやっぱり芭蕉の名前が記されているのが見える。

この森がちょうど良い木陰となり絶好のお昼寝スポットと化す訳なのだ。ここぞとばかりに眠りこけるホームレスのオッサン軍団。生きる為に必死である。

江戸川公園の中央部分に来ると、崖を利用した滑り台など子供の遊び場がそれなりに整備されているわけだが、昼間にやってきても周辺のベンチはホームレスだらけであんまり子供が遊んでいるような雰囲気の場所ではない。

これでも桜の名所らしく、開花時期には花見客が殺到するようだ。
児童公園の上は長い階段が続いているが、そこを登ると関口台・目白台方面の高級住宅街ゾーンに抜けられる。

この付近でもう一つよく知られているのが「椿山荘」という結婚式場、宴会施設兼シティホテル。目黒雅叙園、八芳園とともに東京の三大結婚式場の一つらしい。

椿山荘の敷地の一部が江戸川公園に沿って建っている。塀越しに立派な料亭建築が並んでいるのが見えるが、おおよそ庶民の近づくような場所でもないのでさりげなくスルーである。

椿山荘と連なるように芭蕉庵の敷地が続いている、眼前の神田川を眺めると、大雨の後だったのか知らぬが川の水が濁りまくってやけに汚い。深いコンクリート護岸の底を流れる神田川は東京の地形ならではの風景。人が立ち入れないのを良い事に、亀や鯉が我が物顔で泳いでいる。

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