零細町工場密集地帯・大森南「森ヶ崎」 (1) 前の浦商店会

大森駅東口から「森ヶ崎」という聞き慣れない地名の行き先が書かれた京急バスの路線がある。
現在の住所は大田区大森南、戦前は森ヶ崎鉱泉という温泉地と海水浴場があった保養地で、羽田穴守町の海水浴場と並ぶレジャー拠点だったそうだ。
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今では「森ヶ崎」で調べると某教団の歌が出てくる所がなんともトホホな訳なのだが、京急梅屋敷駅から徒歩でとぼとぼと歩いて20分以上、旧呑川緑道を過ぎた先に「前の浦商店会」というこれまた聞き慣れない商店街が現れる。


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寂れた感じは否めないがちゃんと商店街らしい風情は留めている。森ヶ崎ではここ前の浦商店会と森ヶ崎本通が街のお買い物拠点。商店街に沿ってかなり古い木造家屋が残っている。
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前の浦商店会のメインストリート。最寄りに駅がなく殆ど生活圏が独立した「都会の田舎」と呼べる下町風景…東京も実に広い。まだまだ地元民以外に存在を知られていない商店街って多いのかも知れない。
やはり洒落たカフェやチェーン系の店舗は全く見かけない。
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商店街から浦守稲荷神社に至るY字路に「旧羽田道」の道標が建っている。
ちょうど浦守稲荷神社で例大祭が行われている最中だった。にわかに雰囲気が賑やかになっている。
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羽田は穴守稲荷だが、森ヶ崎は浦守稲荷、神社の名前にも何らかの関連性がありそうな感じがしなくもない浦守稲荷神社。
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既に神社の前には沢山の屋台が並べられていた。焼きそばとかタコ焼きとかを見かけるとつい大阪臭さを感じてしまうが、屋台料理の粉物率の高さは全国共通。
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神社境内にも所狭しと屋台が密集していた。別に狙っていた訳でもないのに年に一度の例大祭の時にやってくるとは奇遇な話だ。
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小さな街の神社の非常にローカルな祭りとしか言いようがない訳だが、浦守稲荷神社も江戸時代から続く歴史の長い神社で、浦を守るという神社の名前も、大森がかつて漁師町だった名残りである。
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傍らのスペースに神社の神輿と山車が置かれている。神社と同様、いたってコンパクトサイズ。
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休業した歯科医の入る建物がオンボロトタン葺きのアパートの1階だったりする所もなかなか珍しい。森ヶ崎界隈の下町には当たり前のようにこういった建物が残っているので、そのうち驚かなくなってくる。
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中には家が傾いて地震が来たら一発でアウトだろ、と思うようなバラック家屋もちらほら見かけられる。ある意味東京の最果てのような場所だけに、路地裏にはまだまだ隠し玉が残っている可能性は高い。

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