渋谷爆発 (1) 松濤温泉シエスパ

なんだか知らんが渋谷はよく爆発している。
ハチ公前交差点もいつも人口爆発しているし、渋谷マークシティの中には「芸術は爆発だ」と有名なセリフを残した岡本太郎の巨大な壁画が飾られている。ゲームのネタとしても「街~運命の交差点~」では渋谷が大爆発するバッドエンドシーンもあり、なんにしても渋谷はよく爆発するのだ。
ということで、「渋谷爆発」シリーズと銘打って、渋谷区内でいろんな意味で爆発しちゃっているところを巡るとしよう。
あの麻生太郎首相の邸宅もあり、日本有数の高級住宅街として名を馳せる、松濤・神山町エリア。渋谷駅から西へ10分程歩いた場所にある。
とても我々一般庶民には手の届かない世界が広がっております。
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現地をうろついてみると、これ見よがしな大邸宅が嫌味なくらいズラリと軒を連ねている松濤・神山町の住宅街。麻生太郎邸の周辺には多くの警察官が見張りをしているのが見える。というのも、去年大勢のデモ隊が麻生邸の前まで抗議デモに訪れようとしたこと(→詳細)があり、なおさら警備体制を強化させている。


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渋谷駅から西へ歩き、東急百貨店と文化村を過ぎると差し掛かる松濤エリアへの入口にドドーンと突っ立っているビル。
「松濤温泉」と書かれたその建物の入口は堅く閉ざされており、利用されている形跡がない。まだ新しいめの建物なのだが、早くも廃墟と化しているのには理由がある。
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この建物はかつて「松濤温泉シエスパ」として、セレブで有閑マダムな高級住宅街住民の客を当て込んで作られた、女性専用のスパリゾート店舗であった。
現地の地下1200メートルを掘削して汲み上げた温泉を利用して、セレブ客を取り込もうとしていた訳だが、開店から1年半近く経った2007年6月19日の昼下がり、突如として大規模な爆発事故(→詳細)が発生した。

建物の別棟が従業員の休憩所とロッカールームになっていたのだが、この場所に温泉を汲み上げるポンプ設備が置かれていた。最初はボイラーの爆発かと思われたのだが、調査の結果、汲み上げた温泉から発生した天然ガスが施設内に充満し、何らかのきっかけで引火した末での爆発ではないかという見方がされている。
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そして現在も爆発の元になった別棟は痛々しく骨組みだけを残したまま、事故から2年が経とうとしている今でもその姿を留めている。
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ボードで遮られた別棟の正面には花が手向けられている。
従業員3名が死亡した他、通行人にも怪我人多数、周辺の窓ガラスや建物自体にも多くの損傷が生じた。
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隣はコインパーキングになっているが事故当時は民家があった。つまり事故で建物がぶっ壊れたのでやむなく解体したということか。
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コインパーキングの敷地から、無残に変わった建物の骨組みだけが姿を晒している。爆発の影響で折れ曲がった鉄骨が生々しく、身震いしてしまう。
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この温泉施設を運営していたユニマットグループの子会社も、施設閉鎖の金銭的営業と社会的責任も相まって、翌年にはスパリゾート事業からは撤退している。
実はこの施設が出来上がる時も周辺住民からは天然ガス云々の懸念から大反対されていたそうで、それを強行して営業を始めた結果がこの惨状だという話だ。
行き過ぎた銭儲け主義も、もうちょっと是正されるべきだよね。


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