総武線沿線が外国人だらけの街でヤバイというのが我々東京DEEP案内取材班の認識であるが、錦糸町や小岩の凄まじさに負けないアジアンカオスゾーンが亀戸駅南口に存在している。(※注意:便宜上「亀戸駅南口」の表記を使っているが、JR亀戸駅の改札は北口と東口しかない。実際のルートは北口改札を出てから総武線の高架を越えて南側に出る形になる)
まず亀戸駅を降りて南側の京葉道路を跨ぐ歩道橋を登っていこう。のっけから現れる怪しげな質屋兼ディスカウントショップの「七福セールズ」のケバケバしい建物が目印だ。
「50年の歴史」と看板に書かれている通りかなりの老舗のようだが、上野御徒町あたりで見かけるものとは別の怪しさを感じる。
京葉道路の歩道橋から見える七福セールズの建物は2つある。角地に立つ1号館は紳士服、2号館には婦人服とブランド品が扱われている模様。店名が書かれたオンボロのネオンサインがたまらない。さらにその下の「となりのとなりのビル」という、やや不自由な日本語の案内も笑える。
ケバケバしい看板や手書きの張り紙が無ければ廃墟そのものに思えてしまう建物の外観も素晴らしい。本物のディスカウントショップは決して外観に銭など注ぎ込まないものなのだ。貧民街亀戸で半世紀生きてきたという風格が、そこにはある。
1号館スーツ売場の玄関口も、まるで作業服屋のごとき雑然さで、とても紳士服を扱っている雰囲気には見えない。
そんな素敵な七福セールズの建物を横目に、明治通りを大島方面に南下していく。亀戸もなかなか強烈だが南側の大島も大規模公団住宅が貧民街と化しておりなかなか香ばしいと聞く。
明治通りと京葉道路の交差点から南東側の一帯に随分細かい碁盤の目状に区画が割られている地区がある。亀戸六丁目、東側は亀戸緑道公園とサンストリート亀戸、南側は首都高小松川線に囲まれている。
この付近は亀戸駅からもかなり近い場所にあるが、古ぼけた廃墟同然の飲食店が残っていて雰囲気がどこか殺伐としている。亀戸駅北口のホルモン屋だらけの路地裏は活気が溢れていて明るいが、それとは真逆の空気が漂っているのだ。
この一帯には明らかに一見客を相手にしていなさそうな古いスナックが密集している。道行く人の姿も少なく、ひたすら陰気臭い。
だが、そんな薄暗い路地でやたら目立っているのは、やはり韓国系店舗の存在だった。亀戸も錦糸町と同じくコリアタウンが形成されていて、韓国人の姿はかなり多い。
あまつさえハナ信用組合まであるのだから間違いない。同じ江東区では枝川一丁目が歴史的に有名だが、どっこい亀戸も負けてはいない。
だがコリアタウン以上に目立つ超絶物件が亀戸六丁目には存在した。
その名もそのまんま「九龍城」。
老舗の「国際サウナ」の一画がそのまま中華街化した建物だ。ネオンサインが強烈である。
1階に中華レストラン「東京大排档」、レストランの店員はもちろん客の半数以上が中国人という店内では999円の中華バイキングランチをやっているとか。しかし、いつの間に亀戸に九龍城が出来てしまっていたのだ。恐るべし爆食中国。