東京23区の最南端にある大田区六郷地区。都心からも相当離れており、地理的にも新宿や東京駅に出るよりもむしろ横浜の方が近いのだが、すぐ近くに工業都市である川崎がひかえており、街の雰囲気はやっぱりブルーカラーなのでした。
京浜急行に乗って京急川崎駅の一つ手前「六郷土手駅」で降りる。駅名に土手が付いているなんて萌え萌えなのだが、駅ホームの一部が本当に多摩川の土手に張り出していたり、まさに23区の最果てを象徴するかのような場所である。
高架駅の周辺は住宅密集地になっていて、時折京浜急行の快特電車が豪速で走り抜けていく度に大きな音を立てる。京急の快特は最高時速120キロ運転で品川~横浜間を爆走する、鉄道マニア垂涎の電車なのである。しかし快特が通過する六郷土手駅を降りるとそこは凄まじくスローリーな空間。
六郷土手駅は東京都23区内ではあるが文化圏で言うと完全に川崎エリアに入る。川崎と言えば工業都市であり多くの労働者を受け入れてきた街。麻生区とか多摩区のような山奥は知らんが海側の川崎は完全に大阪のベイエリアや尼崎界隈を彷彿とさせる。
で、この六郷土手駅前にも労働者の町を象徴するかのようなドヤもとい安宿がズラリと軒を連ねる一画がある。
表向きはみんな「旅館」と書いているが部屋を見れば生活臭満点なのですぐに分かる。長期滞在者用の安宿である。この手の簡易宿泊所は山谷ばかりではなく川崎や横浜にも数多くある。
駅前の細い路地に数軒安宿が並んでいるだけで、ひっそり佇んでいる。
一方、川崎側に行くと川崎駅と八丁畷駅の間にある日進町あたりがドヤ街になっている。
「ながら館」やら「第一岐阜館」やら、屋号を見るとここの経営者って岐阜出身なのか?と思ってしまいますた。
六郷土手駅からすぐに多摩川河川敷に出ることができる。国道15号第一京浜の六郷橋の下にある宮本台緑地という公園の中にも大勢のホームレスのおっさんが暇そうに過ごしていました。
公園の周囲にもたくさんのホームレステントを見ることが出来る。物凄くワイルドな暮らしっぷりです。第一京浜から下道に降りるスロープがあるためその下が雨風をしのげる場所になっておりちょうど良いらしい。
このへんのホームレスさんはみな大きなアルミ缶の詰まった袋を自転車に積み込んでリサイクル稼業で飯を食っている模様。
公園の隣にはしっかりトイレも据え付けられているのだがかなり狭苦しい。おまけに近所には蒲田名物天然黒湯温泉に入れる銭湯「六郷温泉」もあるのでかなりホームレス暮らしには優しい街である。
なかなか香ばしさの漂う六郷土手駅周辺だが、まだまだ本領発揮はこれからである。目指すは多摩川河川敷。この場所に東京ホームレス事情を物語る超一級の現場が控えているのだ。