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【県境萌え】群馬・栃木・埼玉三県境スクランブル地帯・加須市北川辺町柳生駅周辺を歩く

「県境」、それは明治維新後の廃藩置県の時代からある都道府県制度が150年近く続いた現在もほとんど変わらずに残り続けている境界線。県境は時として文化や風習、方言の壁ともなっている事があるが、日本中探せばなんでこんな所に県境があるのか意味不明過ぎ、とツッコミを入れたくなる場所も存在する。「県境マニア」という人種も、そうした疑問から生まれるものかも知れない。

北川辺町

そして我々がやってきたのは東武日光線の柳生駅。東京都心からも電車で1時間ちょっとの場所だ。この駅の近くに3つの県の境界線が一点集中している珍しい「三県境」があるというので、一度お目にかかりたかったのだ。単に三県境と言うだけであれば日本中あちこちに存在するのだが、人里離れた山中や踏破不能な水面上、または高山地帯にあるケースも多く、平地にあってお気軽に三県境を踏破できるのはここしかない。

北川辺町

この柳生駅というのもローカル過ぎて存在自体知らなかったのだが、駅近くには足尾鉱毒事件で作られた渡良瀬遊水地が広がっている。特に谷中湖畔には強制廃村となった谷中村跡もあって、産業革命期における戦前日本の暗部がお勉強出来る一大フィールドワークゾーンとなっているのだ。これはこれで見に来たかったので、そのついでに来たというのが厳密な理由。

北川辺町

柳生駅があるのは一応ながら埼玉県加須市にあたる。最近合併するまでは旧北川辺町だった一帯で、利根川左岸(北側)にあるのにここだけ唯一「なぜか埼玉」な場所だ。隠れキリシタン伝説もあったりして謎めいた町なのだが、駅前にコンビニの一つもないし田園地帯に民家がぽつぽつあるだけでどうにも最果て感が強い土地だ。ちなみに東武日光線も柳生駅、板倉東洋大前駅、藤岡駅と続くが、それぞれ埼玉、群馬、栃木と別の県に属している。これもかなり珍しい。

北川辺町

そんな退屈な田園地帯を10分程度とぼとぼ歩いていると、畑のど真ん中に申し訳程度に立て看板がぶっ刺さっているのが見える。あれが我々が探していた「三県境」だ。

北川辺町

通常、県境というのは川など分かりやすい場所が境目になっていたりするものだが、ここは畑のど真ん中の用水路が境目になっている。しかし全国的にも珍しい三県境なのに、アピールしているものがこのしょぼい立て看板一つというのが笑える。やる気ねーな。

北川辺町

立て看板の写真に、用水路を挟んだそれぞれの畑が何県にあたるのか表記してある。県境はT字状の用水路上に配されていて、北側が群馬県板倉町、南側が埼玉県加須市(旧北川辺町)、東側が栃木県栃木市(旧藤岡町)とそれぞれ別れている。よく県境を足で跨いで半分○○県だとはしゃいでいる観光客がいるが、ここなら前屈姿勢なりで両手をついて三県跨ぎという技も可能だ。やらないけど。

北川辺町

畑に打ち付けられた古めかしい「基点」の石杭。このへんを航空地図などで見ても、恐らく大昔の川の流れがそのまま県境として残っているものと思われるが、すぐ近くにある渡良瀬遊水地の存在も気になる。あそこは本来自然の遊水地でもなんでもなくて、足尾鉱山から流れる鉱毒を沈殿させるためにこしらえた人工湿地な訳ですから。当時は補償関係であれこれ揉めたに違いない。

北川辺町

日本中にはもっとしょーもない事柄で町おこししている自治体が腐る程あるのに、ここはそういう事をする気が全くないようで、まあ昔ながらの土地で住んでいる方々も三県境が珍しいとも何とも思ってないんでしょうな。ちなみに我々は冬場に来たので気にならなかったが、夏場は雑草だらけになって近づくのも躊躇うような状態になる。

北川辺町

ひとまず県境スクランブル地帯の実態をより把握するために、県道9号沿いにある「道の駅きたかわべ」にやってきた。なんという事もない田舎にある道の駅の一つだが、渡良瀬遊水地に近くレンタサイクルなどもやっている。

北川辺町

道の駅きたかわべの前を走る県道9号線は「県道佐野古河線」。茨城県古河市と栃木県佐野市の間を通る主要道路の一つになっているが、同じ県道で茨城・埼玉・群馬・栃木の4県を跨いでいるものは全国でもここだけである。

北川辺町

特に道の駅きたかわべがある辺りは県境が複雑に入り乱れていて、県境越えを案内する機能のついたカーナビでこの県道9号を走ると何度も「○○県に入りました」の自動音声が鳴り響くという珍現象が発生する。

北川辺町

んで、道端に建てられた自治体名案内看板もその都度見かける。笑える。しかしなんで県境がこんなグッチャグチャになってしまったのか原因がよくわからないのだが、やはり足尾鉱毒事件の対策で作られた渡良瀬遊水地があるせいなのかと勘繰りたくなる。

北川辺町

古河方面から県道9号沿いを走っていくと「茨城→埼玉→栃木→群馬→埼玉→群馬→栃木」と6回も県境を跨ぐ事になる。数キロ程度走ったくらいで4県走破が可能なのは全国でもここだけ!道の駅きたかわべの展望デッキでも三県境の存在を地味にアピールしていたりする。

北川辺町

展望デッキから見る渡良瀬遊水地。その広大な面積の大部分を栃木県が占めているものの、ここにも茨城と群馬と埼玉が僅かに入り込んでいる。はじめは足尾鉱山からの鉱毒を沈殿させる目的で作られたものだが現在では治水対策としての役割が大きい。野鳥の楽園で、ラムサール条約にも登録されている。都会の生活に息苦しさを感じたら、癒されに来ると良いかも知れない。


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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