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【川崎市麻生区】川崎なのにおセレブ志向?小田急線「新百合ヶ丘」はどんな街なのか

当方、個人的には「割と物騒な事件が多い」と感じてしまう「小田急線沿線」。言わずと知れたDQNと都落ちヤクザの溜まり場である「町田」、この間無差別殺傷事件が起きた「登戸」、2017年に起きたおぞましい「座間アパート9遺体事件」があった「相武台前」、そしてつい最近では厚木市の小田急の踏切でDQNが転がしていたアルファードが線路上で立ち往生して電車に激突、車は大破、電車は脱線し、多数の小田急線ユーザーが通勤難民と化し泣きを見た。

そんな地雷臭漂う小田急線沿線でも、いわゆる高級住宅街扱いされているエリアがあるにはある。有名なのは世田谷区の成城学園前と、こちら川崎市麻生区に属する「新百合ヶ丘」…通称“しんゆり”。新宿から快速急行で片道20分少々だが、東京都心からしてみれば結構距離感がある。

川崎市最北端に位置する麻生区の行政中心でもある新百合ヶ丘地域。昭和50年代、既にニュータウンとして開発されていた隣の百合ヶ丘に加えて山が切り開かれて作られた街である。小田急多摩線との分岐点でもあり、将来的には横浜市営地下鉄ブルーラインの延伸計画で川崎市内ながらも駅が開業する話もある。「2030年」の予定ですが…

さて、この新百合ヶ丘という街、川崎市の一部ではあるが、川崎の中心市街地からは20キロ以上も離れていて、車でも電車でも片道1時間も掛かる土地柄。駅自体は昭和49(1974)年に開業してはいるが、駅前の区画整理事業が終わったのは昭和59(1984)年、さらに今のように商業施設が立ち並ぶようになったのは平成に入ってからの話だ。

アザミネーゼに次ぐ「シンユリーゼ」な街

この新百合ヶ丘駅の南口、麻生区上麻生の一部を成す「山口台地区」は結構ご立派な戸建住宅がずらりと立ち並び、いわゆる「高級住宅街」扱いされている。こうした地域にお住まいのマダムな方々を指して、あざみ野のアザミネーゼに次いで「シンユリーゼ」などと呼ぶ向きもある。

山口台地区や駅北口の「新百合山手」地区には独自の環境保全協定まであり、駅周辺もパチンコ・風俗店の規制が敷かれているため、パチンコ屋は北口の一店舗しかない。本当はこの一軒ですら排除したいのが街の意向なのだろうが、ここだけ“川崎市”のくせに無理しすぎている感がある。

で、駅前ロータリーに何の気なしにあるようなイオンの店舗なんぞを見ても、首都圏ではガチ高級エリアにしか展開していない、おフランスから上陸した意識高いめなオーガニック食品ストア「ビオセボン」なんぞを出店しているというのが新百合ヶ丘という街。都内だと青山とか麻布十番とか中目黒にあるような店ですよ?

駅南口のペデストリアンデッキで直結しているイオン(当初はサティ)やオーパ、エルミロードといった商業施設も90年代後半になってから開業したもので、そう考えると「金妻タウン」田園都市線沿線の街よりもずっと新しい。田都沿線のニュータウンの中心層が60~70代なら、ここは40~50代といったところか。ここだけは同じ川崎市なのに登戸やら溝の口あたりと比べても俗っぽい街並みとは無縁だ。

しかし同じ駅前でも麻生区役所や唯一のパチンコ屋がある北口となると少し上品さに欠けてくる。こちらは2000年代に「万福寺土地区画整理事業」が実施され「新百合山手地区」として2007年に街開きするまでは商業施設も乏しかった。

しかしこちら側もよくよく見れば、やたらとご立派な大型マンションがここぞとばかりに連なっていたり、スーパーは小田急系列の高級スーパー「Odakyu OX」だったりで、どことなく“鼻に付く”感がキッツイ。結局普段遣いが厳しいので、北口住民でも南口のイオンとかで買い物するのだ。

ここいら「新百合山手地区」の駅チカ物件を見ると、ファミリー向けの3LDK物件なんかは中古でも6000万円台とかふざけた相場なので、生半可な給与所得者では手が届かない。世田谷区でその値段ならまだしも、川崎の外れの山ん中を切り開いただけですぜ?土地バブルが酷すぎ。

小田急線の快速急行やロマンスカーで20分台で新宿に行ける強みもあって、そこそこ裕福なサラリーマン層のベッドタウンとしてそれなりに成功を収めた感のある新百合ヶ丘。確かに街を行き交う“シンユリーゼ”なマダムはお上品な方々ばかりで、ここが川崎市であることをつい忘れてしまう。

新百合ヶ丘は良くとも麻生区全体で見ればどうなのよ

しかし足元を見れば毎日毎日満員電車でぎゅうぎゅう詰めになりながら都心に通い続ける社畜企業戦士のお父様方が頑張っているお陰で、シンユリーゼと持て囃されるこの地域の主婦達が“ちょっとリッチ”な生活を維持できるのだ。でも、北口の階段には必死でオレオレ詐欺への注意を呼びかける「麻生警察署」のPRなんかがあるのを見ると、住民の“心の余裕のなさ”が垣間見えるのね。

それでもって、北口には新百合ヶ丘駅開業直後にはここくらいしか建物が無かったんとちゃうか?というくらいに古めかしい佇まいの「麻生区役所」が鎮座しておりまして、人口約16.8万の川崎北部民の生活に寄り添っております。登戸で無差別殺傷事件を起こして自害した岩崎隆一も、パリ人肉事件の佐川一政もこちらに住民登録しているのです。新百合ヶ丘自体は生活環境が良いのは確かなんだろうが、周りの地域はアレな所が多いんだから、麻生区そのものを過大評価しないように。

でも、ごく最近になってそんなおセレブ様志向の新百合ヶ丘駅前の風向きが変わりつつあるらしい。特に麻生区役所向かいから駅北口に直結する一等地に建ったこちらの商業ビル「シティモール新百合ヶ丘」…何の意識もしなければ素通りしてしまうだけの味気ない外観なのだが…

ちょっと今までの新百合ヶ丘だとまず地元のおセレブ様志向の住民に毛嫌いされて速攻で塩を撒かれかねないようなチープなチェーン店がここぞとばかりに入居しまくっているのだ。鳥貴族、はま寿司、そして“サイゼリヤ”…!!今まで「しんゆり」の志向とは真逆のラインナップだが、よく見りゃ麻生区民の平均的志向に非常に沿ったものではあるまいか?!

なぜか大阪・福島発祥の「上等カレー」の店舗までありますねんけど、田都沿線と同じ、新百合ヶ丘界隈も関西系出張族がそれなりに多い証左なのであろうか。分かりませんけども…あまり派手派手しく店の看板を掲げると景観を害して即クレームとなりかねない土地なので、このような形になったのだろう。

新百合ヶ丘在住十年という読者の方からのお便りでは「最近吉野家が駅前に出来て、すごく助かっています!やっと新百合ヶ丘が“普通の街”に変わりそうです!」との話である。新百合ヶ丘に大勢住んでいるはずの、金はあるけど時間の余裕がないサラリーマンのお父さんが一番欲しかった「安い早い旨い」系の食い物屋、今まで牛丼屋の一軒すら無かったというのは“異常”である。…というわけで、案外グダグダーっとした街に落ち着くかも知れませんよ、今後の「しんゆり」は。

<おまけ>新百合ヶ丘イオン地下駐輪場にある麻生警察署からのお知らせ。怖いんですけど。


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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