【祝!アド街で放送】山手線住みたくない街不動の一位を誇る「鶯谷」には何があるのか

台東区

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台東区 鶯谷

道なりに路地を進むと線路沿いに鶯谷駅北口方面に抜けられる。そしてこちらも怒涛のオヤジゾーン。土着臭キッツイ大衆居酒屋のオンパレードである。オヤジの三大快楽「飲む打つ買う」のうちの二つの要素はこの狭い空間で満たせるようになっている。世の中上手く出来てますね。

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そのうちこちらの24時間営業の酒呑み食堂「信濃路」は鉄板中の鉄板である。同じオヤジゾーンである大田区の平和島や蒲田にもある系列店。ゲスな街が大好きなNHK「ドキュメント72時間」にも登場した事がある筋金入りの酒場である。

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「信濃路」などが立ち並ぶ酒場の真上をよく見ると、あろうことか神社の屋根が見える。店の裏手に出ると建物の上に神社の玉垣がずらりと並んでいる奇妙な光景も見られる。東京でも指折りの俗っぽさを放つ神社ではなかろうか。

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その神社の名は「元三島神社」。鎌倉時代、元寇の弘安の役で伊予国(現在の愛媛県)の武将・河野通有が伊予国一宮・大三島の大山祇神社から分霊を勧請して創建されたと言い伝えがあり、旧金杉村と呼ばれていた当地の鎮守でもある非常に歴史の深い神社だそうですが、そんな聖地の真下に24時間呑んだくれのオヤジ達が屯するパラダイスがあるのだ。

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元三島神社の前を抜けて言問通りに出る。「鶯谷中央商店会」という商店街になっているが、飲食店に紛れてお馴染みの18禁マークの無料案内所や相変わらず精力剤の品揃えが豊富な薬局が軒を連ねている。

鶯谷駅前の怪しい店構えの中華料理屋で食べましょう

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全体的に怪しさ満点な言問通り沿いに一軒のマンションがあり、その一階に「東瀛」(とうえい)という中華料理屋がある。ここも信濃路同様朝っぱらから呑める下町オヤジの溜まり場になっているという。24時間営業ではないが、朝7時から夜12時までの超ロングタイム営業である。

「瀛」という日本人が殆ど使う機会のない漢字が気になるが、「大海原」を指す漢字で、中華圏の方々が「日本」を指してこの「東瀛」という言葉を使うのだそうです。勉強になりました。

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まあそれはいいんですが…このビルの入口付近にはやたらめったらと極太筆字で書かれたマンション管理組合からの「警告」張り紙がベタベタ貼り付けられまくっていて見るからに異様である。

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「ゴミ置場で火災が発生した」という理由で共同のゴミポストも使用禁止になってしまっている。容易に住民の質の悪さが伺えるが、ここが鶯谷という土地柄だと頭に入れておけば別に驚くようなものでもない。ここの住民がゴミを捨てる為には朝8時までの表の道路にゴミ出ししなければならないらしい。一部の不心得者もせいで皆様色々大変っすねえ。

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で、これが「東瀛」の入口ですか…超入りづらい感じがするものの、扉に見慣れた「食べログ話題のお店」のステッカーが貼ってあるのを見つけると、急激に気が抜けてきた。入るか。

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いざ店内にお邪魔すると、店の片側は小上がりの座敷席、もう片側にテーブルやカウンター席、厨房が配されている。典型的な下町中華料理店のそれだが、客層を見ると全員オッサン一人客しかいない。カウンターの隅に女性が座っているが、これは中国人の店員。厨房のスタッフも全員中国語喋ってますね。こりゃガチだった。

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「東瀛」の強みはそのメニューの品揃えがあまりに豊富な事。カウンター席の並びに掲げられたメニュー一覧には所々下手くそな日本語で書かれているが、空芯菜炒めやら八宝菜やら羊肉串等いかにも中華っぽいものもあれば何故か島根県浜田市のローカル食材「赤天」なんぞも置いていて意外に侮れない。しかも全品500円以下と超割安で、100円台、200円台のものも多い。お値段異常。

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つい色々欲張ってオーダーしてしまいましたが…これだけ食っても1人1500円とかで済むんだもの、普段遣いしているような下町オヤジには懐も胃袋もピッタリといった所か。大体何を食っても外れがない所がいい。

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島根の「浜田名物赤天焼」をつまみに〆る。後で知ったが、東瀛のオーナーは元々「信濃路」で働いていて、そこから独立した人らしい。道理で雰囲気が近いと思っていましたが、なるほど。それで日本のおかず類も豊富にあるのか。鶯谷ヘビーユーザーのオッチャン達は食べたいものや気分に応じて「信濃路」と「東瀛」を巧みに使い分けたりしているようである。

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店内には地元鶯谷のご当地新聞(内容はお察し下さい)や場所柄ならではのガイドマガジン等が置かれていて常連のオジサマ達も一勝負打つ前に一杯やりながら一読していくのだろう。ああ、手羽先餃子も旨そうっすね…ああ…

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裏口からも出られますが、こっちはこっちでそのへんに一杯あるラブホのような佇まいで別の意味で怪しげである。腹ごしらえした後にそのまま帰るのか、それとも鶯谷のどこかの店へ「行く」のか、知りませんけどね。

東瀛

営業時間 07:00-24:00 年中無休
東京都台東区根岸1-6-12
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今はこんな街ですが昔は…文人・正岡子規ゆかりの地「根岸の里」

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何かの待ち合わせをしている意味深な男女が屯する鶯谷駅北口改札前を横切って駅前ホテル街の北側の路地に足を踏み入れると、線路沿いにはどう見ても子供向けには思えない特殊なガチャガチャが置いてあるアレな薬局とかもあるし高収入を謳う特殊産業の求人誌、ソッチ系の幟広告なんかもびっしり並んでいる。

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路地の中には一軒だけ昔の連れ込み旅館風味の古風さ溢れる店構えの「万上旅館」もございましてよ。90分2980円から、宿泊は5500円から利用可能なリーズナブルな価格設定もあって鶯谷ユーザーの皆様には好評。

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ちなみに、つい最近までホテル街北側の線路沿いにそびえていた超年代物の旅館(の成れの果て)「志ほ原」が孤高の存在感を放っていた。恐らく随分前から廃業していたものと思われるが建物だけはずっと残っていたのだが、2015年6月初旬に解体されている。

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「お休息 一〇〇〇円より お宿泊 二〇〇〇円より」という価格設定は果たしていつの時代のものだろうか。

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そんな如何わしさ全開の場所に明治の文人・正岡子規が晩年暮らしていた「子規庵」の建物も戦災で焼失しているもののほぼ復元されて当時の趣きを残しているんですが、この界隈が「根岸の里」と称する文人ゆかりの地であるという事も、鶯谷という街が持つキョーレツな負のイメージに飲み込まれてさぞかし肩身の狭さを感じる。

あと根岸三丁目あたりにかつて花街だった「根岸三業地」があったんですが、あまりレポが長くなりすぎるのも良くないので次の機会に。

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むしろ子規庵というより「ギシアン」の方が激しそうですねこの界隈…


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