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板橋の軍艦島か?外界から隔絶された昭和の巨大団地!「都営西台アパート」を見る

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エレベーターを降りて、これまた後付け的な長いスロープを経て都営西台アパート6・7号棟の間の広場に出る。団地の建設当時は住民の高齢化でスロープやエレベーターが必要になるというシミュレーションが出来てなかったのだろう。半世紀という時間の重みは住民が皆高齢者ばかりなのを見るだけでも理解できる。

バリアフリー?なにそれ的な前時代的設計の数々

ちなみに先程のエレベーターとスロープを経由しなければ、団地の外に出られる動線はこうした階段のみの歩道橋か、団地内を通る車道くらいしかない。現地を見れば、この団地が外部から隔絶された空間であることがお分かり頂けるだろう。

連絡通路の横にある「高島平第二公衆便所」もまたデザインの古臭さが際立っている。充分なスペースがあるはずなのになぜか十段ほどの階段を登った先に入口を取り付けている謎の高床式公衆便所である。半世紀前の設計者がいかにバリアフリーの視点が皆無だったかというところがツッコミポイントだ。

4棟のツインコリダー型14階建て高層棟が一堂に立ち並ぶ「都営西台アパート」。合計約1500世帯もの大規模団地であるが、最盛期と比べても人口は減少し、現在は高齢者や独居世帯が住民の中心となっている。ちなみに足元にある都営三田線の車庫が1階扱いになっているので、いま立っている場所が2階ということになる。つまり厳密には14ではなく13階建て…紛らわしいっすね…

それにしても気になったのはなぜ「5~8号棟」という番号が振られているのかという点。1~4はどこにあるのだという話だが、これは団地北側の東京都交通局志村車両検修場を隔てた向こうの都交通局志村寮に1~4号棟の通し番号が振られていることに由来する。4号棟のみ耐震性に問題アリという理由で解体され、現在は1~3号棟までしかない。

なお、5~8号棟のうち一番東側にある5号棟だけが都営住宅ではなく東京都住宅供給公社が管理する「西台住宅」となっている。住宅困窮者、低所得者、ナマポ貧民が住まうのが都営住宅というものだが、公社住宅というものはきちんと所得に応じた入居基準があるのが両者の相違点。

5号棟共用エレベーター前には夥しい数の郵便ポストが連なっている。公社西台住宅はこの建物一つで400戸もの世帯が生活できる設計となっている。

一応団地内には「高島平さつき保育園」という施設もあるにはあるが、高齢化が進む団地内には子供の遊ぶ姿はほとんど見かけられない。団地自体が周囲とは隔絶された空間にあるので、他の地域の住民がわざわざこの場所にやってくることもない。まさか板橋区に長崎の「軍艦島」を彷彿とさせる閉じた生活空間があったとは思いもしなかった。

住民の高齢化が激しくとも生活の足に自転車が欠かせないのがこの地域の特徴である。団地住民の駐輪場はフロア毎に決められ整然と並べられている。相当な数の自転車だ。やはり大阪のド下町と印象が被るんですけど、大阪ではお馴染みの前カゴ用のひったくり防止ネットの装着率は低い。そして「さすべえ」の装着車は皆無。

団地の共用部分に布団を干す行為を禁止する旨が書かれたJKK東京による張り紙。団地住民の質はお察しの通りである。

さらには団地内に不法投棄されていた、バラバラに解体されたバイクの残骸も昭和の荒んだ団地ならではのイリーガル感を漂わせている。この地域では盗んだバイクで走り出したり夜の校舎窓ガラス壊して回ったりと未だに尾崎豊ワールドが繰り広げられているのだろうか。

板橋区にあった陸の孤島団地、唯一の食料品店が高齢者住民のライフライン

最も駅から遠い西側にある8号棟の2階部分には、団地内で唯一となる食料品店が営業している。くたびれた老夫婦が細々と営む、屋号すら分からぬ超地元密着店。この食料品店が周囲から隔絶された団地内の貴重なライフラインとなっているのだ。むしろ沖縄あたりの離島にあるような共同売店的な佇まいである。

その隣にあるのが団地内唯一のカフェと言っても良いであろう「3時カフェ サンジュ」なる店舗。実は板橋区が設置する障害者福祉施設「高島平福祉園」が経営している喫茶店で、知的障害者雇用の受け皿として焼き菓子やパンの製造を行っている作業所を併設している。コーヒー一杯100円と激安すぎるが営業時間は平日の12時から3時までという超短時間ぶり。毎週木曜日にはパンの販売も行われる。

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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