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レストラン聚楽台、上野松竹デパート、変造テレカの思い出…今は亡き「上野百貨店」を偲ぶ(2009年)

東北や上信越から数多の出稼ぎ労働者が辿り着いた東京の北の玄関上野。その歴史と移住者達の思い出の数は計り知れない。

東北・上越新幹線は現在全て東京駅に乗り入れており、かつての玄関口という位置付けでは弱まった感があるが、こうして碑が掲げられているのを見ると、やっぱり上野が玄関なのだなという思いがする。

20年くらい前までは、東北や上信越から上京してきた人々が上野駅前に降り立つと、この建物を眺める事になる。「上野百貨店」と名前のついた、古い建物。その上部は、上野公園と一体化している。

百貨店と名乗っているがどこが百貨店なのか今の世代は誰も知らなかったりする謎多き建物だ。その中の2階に「元祖ファミレス」とも言える「聚楽台」が入っている。

上野百貨店の建物は2008年の時点で解体工事が始まる事になっていた。既に1階の店舗は撤退済みであり、下半分が廃墟のような状態になっている。

そしてレストラン「聚楽台」も2008年4月21日をもって閉店。上野と浅草ではファミレスと言えば「じゅらく」であり、この「聚楽台」はレストランじゅらくの代表的店舗だった。ちなみに運営元の株式会社聚楽は首都圏および上信越・東北で多くのホテル・レストランを経営している会社である。

レストラン「聚楽台」はファミレスという名称すらなかった1959(昭和34)年にオープンして以来50年近くこの場所で営業を続けてきた。

2階に上がるとこんな感じでメニューが並べられたディスプレーが視覚的に楽しませてくれる。昔のデパートの屋上とかによくあったレストランみたいな店構えだが、今ではすっかり無くなった風情である。

50年の年季が入った和洋折衷な店内は趣き深く、もっと写真を撮っておくべきだったと後悔する(苦笑)

色んな所に年季が入ってるなあと思ったら応対する店員さんがみんな中年以上だった。レジの後ろの富士山も素晴らしい。

そして名物西郷丼(924円)を食らう。言うまでもなく、このレストランの真上にそびえる西郷隆盛像にちなんで、とりあえず薩摩(鹿児島)の名物らしきものを節操なく載せまくった丼だ。さつま揚げ、サツマイモの天ぷら、明太子、豚角煮、鳥そぼろ、ほうれん草、温泉卵…手当たり次第ぶちこんでみましたという感じです。

建物東側は「上野松竹デパート」と書かれているがこちらも古すぎてどこがどうデパートなのかよくわからない状態だ。ただ凄まじく古いと言うことだけは確かだ。この建物も残念ながら取り壊される事になっている。

1階には辛うじて100円ショップや薬局などが入っているのだが、このへんももうじき無くなりそう。

建物西側にも色々と古めかしくDEEPな店舗が軒を連ねていたがこっち側は完全に店じまいされ、今では白い防音壁に囲まれてしまっている。

「上野松竹デパート」の3階には囲碁センター。この上では平日の昼間っから定年退職後のオヤジが熱い勝負を繰り広げている。だがここも同様に閉鎖されるのは時間の問題。

天井付近をよく見てみると「警告」と書かれた看板がぶら下がっているので何事かと思ったら「変造テレホンカードを購入して使用すると罰せられます 上野警察署長」と書かれていた。

そうだ、まだ携帯電話がなかった時代の話だ。ここ上野公園界隈ではイラン人を中心とする外国人ブローカーによる変造テレカの販売が横行していた。一時期上野公園と言えばイラン人が変造テレカを売っている場所だと言われるまでに有名で「十枚千円、十枚千円!」と片言で叫びまくるイラン人の姿が目立っていた。

そんな怪しげな上野駅前「上野百貨店」の建物も取り壊し寸前で内部はまるで虫の息のような状態になってしまっている。

レストラン聚楽台のある2階からさらに階段を上まで登ると…

その正面には誰もが知る西郷隆盛の立派な銅像が鎮座しているのだ。

教科書に出てくるくらい有名な銅像だが、その周辺はホームレスのオッサンの憩いの場と化している。

一時期は変造テレカを売るイラン人ばかりがいたそうだが今の上野公園は都内有数のホームレスの楽園である。人口もかなり多いのだが路上カラオケをやったり聖書を読んでいたりホームレス同士が結婚するなどかなりバラエティに富んでいるのが特徴だ。

相次ぐ「派遣切り」で新参ホームレスが増加している中、新旧双方で生活ルールに関して揉め事になる事も多いと聞く。

先ほど登ってきた階段は、実は駅への近道だったのだ。レストラン聚楽台が閉鎖してしまってからはこの近道も封鎖されていて現在は使う事ができない。

デパートの屋上というのは開放的でどこか取り残されたような空間が広がっているのだが、この場所も上野公園の敷地でありながら「上野百貨店」の屋上にあたる不思議なゾーンだ。その上から目の前の景色を眺めると、アメ横をはじめ上野の駅前の風景が一面に広がっているのだ。


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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