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江戸の出合茶屋の文化が受け継がれる「上野公園・不忍池」の不穏な空気 (2009年)

前回のレポに引き続き「上野恩賜公園」の様子をお伝えしよう。本来ならサラリーマンが出払って閑散としているはずの平日朝の公園の風景も、ここ上野公園に限っては違う客層が公園を占拠している。

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それがホームレスの皆様方だ。とはいえホームレスという言葉を使うのも憚られるほど、身なりのきっちりした人々が多いのが特徴である。持て余した時間をただ過ごすだけなのは確かであるが、「仲間」とチューハイ片手に語り合ってる余裕があるのが上野公園に住むホームレスだ。

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他のホームレス街と比べて違うのは、見れば分かる事だが女性のホームレスがやけに多いことだ。昨今の大不況とやらで上野公園のホームレス村には「新参者」の加入が相次いでいるという。その中には、中年とまでいかない、20代や30代の人間も少なくないとか。

ここに流れてくる前は、山谷のドヤ住まいだったのか、それとも蒲田とかにあるネットカフェに住んでいたのか、それは分からないが、世の中は残酷で、知識や知恵のない者からうまく金を巻き上げる仕組みが働いているため、貧民は貧民のまま。彼らが立ち上がれる機会は極めて少ない。

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上野公園が完全に「ホームレス村」として機能していることを示す「福祉コインロッカー」の存在。1日200円から預ける事ができる。山谷のいろは会商店街にも同様のロッカーがある。こういうものを見ると、つい蒲田や池袋のネットカフェを思い起こしてしまう。

上野公園の入口付近もなかなか凄いが、それでも天下の貧民都市である大阪・天王寺公園前と比べると屁のツッパリでもないということは一言付け加えておこう。

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上野公園の西側には「不忍池」がある。周囲が2kmもある、都心にしてはかなり大きな規模の池なのだが、この周辺にも例外なくホームレスの皆さんが休憩しておられます。上野公園の入口から不忍池へ行こうとすると、この成人映画専門「上野オークラ劇場」の横の道を通っていくのが近道になる。

オークラ劇場は埼玉の大宮駅東口にもあったが、客足が遠のいたために2008年2月に閉鎖されてしまっている。それを最後に埼玉からは成人映画館は絶滅。残る東京も、この上野オークラ劇場と浅草六区、池袋などに残るごく一部のみ。つまり「ピンク映画」は絶滅危惧種なのだ。

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オークラ劇場は地上と地下に分かれていて、地下にある「上野地下特選劇場」ではオールナイト500円で成人映画を見られるということで上野公園周辺に住むホームレスのオッサンなどの仮眠場所でありマスかき場所として利用されているのかと思いきや、ゲイのハッテン場として使われている事が多いようで、ノンケのホームレスには耐え難いコアな場所のようだ。

ちなみにオークラ劇場の近くにある「上野スタームービー」も2010年を目処に建替え工事が進められており現在閉館中。

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猥雑極まりない「オークラ劇場」の脇道から、不忍池が見える公園の中へと入る。ひたすら広がり続ける蓮池の姿を見て、ここが都心だとは思えない錯覚に陥るのだ。蓮の花が咲くシーズンにはさぞ美しい姿に変わることだろう。不忍池の向かいは東大キャンパスなどもある文京区本郷。

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それにしてもさっきから「アオーン、アオーン」とうるさいと思ったら、昼間っから草葉の陰で事に及んでいたのは公園住みの野良猫のカップルだった。不忍池で人目を忍ばずセクース中かよ。おめでてーな。

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ミャー!フミャー!フギー!

メス猫の息が荒い。オークラ劇場から流れる人の精気に絡め取られているのか、野獣と化す二人もとい二匹。

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事を済ませた後もどこかよそよそしい猫のカップルを見つつ、不忍池の周辺で一日を過ごすホームレスのオッサンオバハンの姿が目に付く。この場所では猫も人も平等なのか。

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変な場所ばかり案内しているが、まともな場所もあるのでついでに(笑)

蓮池のほとりには「蓮見茶屋」が新しく出来ていた。どうも見慣れない店だと思いきや、2008年からのオープンで、それも夏季限定営業。上野観光連盟という団体が運営している。蓮見茶屋というその名の通りのロケーションで、蓮の花を見ながら甘味とお茶をいただく事ができる。

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「蓮見茶屋」は江戸時代の不忍池にあった茶屋を再現したものだそうだが、かつての不忍池に軒を連ねていたのは普通の茶屋ではなく「出会茶屋」と呼ばれる怪しげな茶屋だった。それは今で言う所のラブホテル。人目を忍んで男女が出会う密会の場だったそうな。

思えば「不忍池」という名称も、いわくありげな感じがしてきます。もちろん現在に再現された「蓮見茶屋」はごく健全な茶屋ですが。。。

あと、不忍池には他にも「台東区立下町風俗資料館」もあるので、見逃さずに。


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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