ワラビスタンと呼ばれる亡命クルド人第二の故郷「蕨」で行われる新年祭・ネウロズに行ってきた(2014年)

蕨市

蕨市 ワラビスタン国旗

埼玉県蕨市が亡命クルド人集住地になっていて「ワラビスタン」と呼ばれている事を以前お伝えした。クルド人と言えばトルコやイランなどの山岳地帯に住む国を持たない民族で、1990年代以降、迫害を受けた末に亡命し日本に流れ住み着いた人々がいる。日本政府は親日国であるトルコとの国交関係上、亡命クルド人問題を表面化できず、蕨周辺に300~400人程居るとされる亡命クルド人の立場は不法滞在者のままという不安定な状況が続いているという話だ。

蕨市 塚越

JR京浜東北線蕨駅東口から徒歩10分強の所にある「蕨市民公園」が今回の目的地だ。毎年3月21日、春分の日で祝日となるが、この日に蕨市民公園にやってくると面白いもんが見られるというので来たのだ。クルド人の伝統行事、「ネウロズ」(ネブロス/newroz)と呼ばれる新年祭がここで開催されるという。

蕨市 塚越

早速公園の入口から異国情緒豊かなBGMが大音響で掛かっているので何事かと思って公園内のバーベキュー広場にやってくると、そこには大勢の人々が輪になってBGMに合わせて踊りまくっているという光景が広がっていた。

蕨市 塚越

恐らく数百人単位で集まっていると思われる人々は殆どが亡命クルド人やその子として育った二世ばかりだ。蕨駅東口一番街あたりのコンビニで若いクルド人二世がたむろっているのをちらりと見たが、改めて出くわすとかなりのインパクトがある。

ついでなので動画でご覧頂きたい。音楽が完全に中東系なテクノミュージックであり、それに合わせてひたすら輪になって踊りまくるクルド人の男女。もうここ日本じゃないですね。でもバーベキュー広場なんで、隣のグループには普通に日本人な方々が来られていたりします。花見には少し早い時期ですがね。

蕨市 塚越

目鼻立ちの整った彫りの深い、いかにも中東系な顔立ちのクルド人二世の若者達もずっと踊りっぱなしである。イケメン揃いだと女子は喜びそうですが、どうにもみんなミスターマッスルの親戚筋にしか見えない。こっちの視力が悪いだけか…

蕨市 塚越

女性陣もここぞとばかりに華麗な民族衣装に身を包み、クルド人にとっての新年をこの日集まったクルド人同胞と共に祝うのである。

蕨市 塚越

「ネウロズ」はクルド人が昼夜の長さが同じになるこの時期を「新年」として祝う習わし。しかしよくある野外イベント系のそれとは違って、具体的なスケジュールが決められていないようで、とにかく集まって適当に踊ったりしゃべくったり飯食ったりしてるような感じ。かなりテキトーである。

蕨市 塚越

バーベキュー広場に設営されたいくつかのテントに目をやると、赤・白・緑の三色、その中央に黄色で太陽が描かれているクルドの旗がずらりと並ぶ。国家を持たない民族なので、これは国旗とは呼ばない。ちなみにイラク国内ではクルディスタン自治区というのがあり、そこの旗になっているそうだ。クルド人が住んでいる地域って、中東の紛争地域と結構被りますね…

蕨市 塚越

しかしさっきから美味そうな匂いがしてどうしようもなく腹が減ってくるのだが、ネウロズ会場ではクルド人お手製のケバブサンドも食べる事が出来る。クルド人も日本人もここでは仲良く行列しているので並んで食べますかね。

蕨市 塚越

うう…肉の焼ける匂いがたまらんのう…

蕨市 塚越

ケバブ焼きまくり行列しまくりな場所にあるテントでは女性陣が一生懸命肉の串打ち作業に勤しんでおられました。本場ではケバブの肉は羊肉である事が多いが、ここでも恐らく羊肉だろう。

蕨市 塚越

女性陣もこれまた美人揃いでクルド人もなかなか素敵。サヘル・ローズみたいなのがいっぱいいる。世界は実に広いものであると埼玉の場末の街で思い知らされるとは…クルド料理といってもトルコとかイランとあまり変わらん感じがするので、蕨に行ってもクルド料理店というのは無いんだな。トルコ料理店ならあるけど。

蕨市 塚越

ケバブサンドは一個500円で振る舞われていて肉が大量に入ってレタスやトマトと一緒にピタパンに包まれている。一個食ったら腹一杯になりましたよ。屋台のケバブなんて秋葉原や上野アメ横とかに腐る程あるとか言わない。一年に一度しか食えない味は貴重なものだ。次に食べられる機会は2015年3月です。それまで首を長くして待て!

<追記>当サイトでは既存のインターネット記事を参考に呼称を「ネブロス」と表記していましたが、開催元の表記や現地語の発音は「ネウロズ」となっているので、それに倣う事にしました。実際は地域によって言葉の揺らぎがあるようで曖昧なようなんですが、念の為対応しときます。


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