【横須賀の三大遊郭跡】小泉純一郎邸の近所にある横須賀の遊郭跡「安浦」を歩く

横須賀市

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遊郭の街にはなぜか古く艶かしい風情の残る銭湯が残っているもので、日の出湯という銭湯の玄関を見るとタイルに描かれた七福神の絵が鮮やかだ。

その日の出湯の脇に伸びる路地裏に強烈に引きつけられるかのように中に入り込んだ。

銭湯の隣の建物にもびっしりと残される小さなモザイクタイルの壁。遊郭建築にタイル張りが多用されているのは銭湯と同じで衛生面で水回りにタイル張りが推奨され、それが外壁などにも使われる事が多いからだと聞く。

銭湯脇の路地裏を抜けると少し広くなった道に怪しげな建築群と遊郭時代の名残りを留める街灯がある。私娼街だったという安浦、表向き整然としているように見えてややこしい路地裏が存在しているのは、やっぱり訳ありだからか。

普通の住宅街に変わっているが、建物や地面のコンクリートブロックなどは昔のまま。タイムスリップしたかのような風情が残る。

安浦遊郭跡地にはこうした曰く付きの路地裏がちらほらと隠れていて、散策するにつれ発見の連続である。特に遊郭らしさを見せる洋風の街灯の柱はかなりの数が現役で使われ続けている。

一見するとアパート風の建物だが2階建ての木造建築の角には褐色のタイルが全面に貼られていて、遊郭建築らしさを留める。看板を掲げていたであろう、錆び付いた骨組みが残り、蔦で覆われている。

この建物も単なる個人宅になっているが、人の家にしては広すぎるし、アパートにしては窮屈過ぎる微妙な外観が見て取れる。

裏手に回ると、張り巡らされた配管や壁に固定された錆びたハシゴなどが乱雑に残っている。まるで古い銭湯のようだ。

遊郭建築ではないが、明らかに1階部分がおかしい民家など、目を凝らして安浦の街を眺めると次々と遊郭の名残りを発見できる。

さらにもう一つ路地裏を発見する。相変わらず続く古い木造家屋に隠れて、そこにも遊郭跡の建物が残っていた。

1階の軒下全面が青いタイルと白黒ストライプのタイルで覆われた、いかにもな遊郭建築だ。これを見つけた頃には日が暮れ掛かっていて、夕闇に残る僅かな日の光で辛うじて見る事ができた。

この建物もすっかり使われていないようで、廃屋同然で残っていたが、安浦の遊郭建築としては最も完成度の高いものであると言えよう。入口が左右の扉にあって、中央の壁面は曲線を描いている。床のタイルは白とグレーブルーの市松模様。

現在も路地裏に隠れる美しい遊郭建築の存在。玉の井など既に東京都内では見る事ができない赤線跡の名残りがここ横須賀ではまだ見られる。わざわざ遠出をしてやってくる価値は十二分にある。さらに安浦遊郭の跡地を巡って路地裏を徘徊し続ける。

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