我々取材班、夏休み中に伊豆諸島の八丈島まで遠征していた。東京から南に290キロも離れているのに東京都に属する伊豆諸島の島…竹芝桟橋から「かめりあ丸」に乗って11時間、まる一晩寝て過ごせば着く場所で、まあいつでも来ようと思えば来れそうだが、いざ行くとなると遠隔離島というのは覚悟も出費も要る。八丈島と言えば江戸時代から流人の島だった訳で歴史文化に流人の存在は欠かせないこの島に何をしに来たか…その一つが廃墟見物だ。
かめりあ丸が主に入港する底土港からそれほど離れていない場所に来た。この付近の海岸は流人が「島抜け」を試みた場所で、「抜舟の場」とも呼ばれている一帯。流人による15回の脱走のうち本土に戻れた成功例は1回しかなく、唯一脱出に成功した舟に乗っていた一人に「花鳥」という吉原の遊女がいたとかそういう話がある。結局後に江戸で処刑されたんですけどね。んで、そんな抜舟の場からやけに場違いな大型建築物が見える。