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【平塚市】東海道新幹線の車窓から見える三角屋根のカラフル住宅群「湘南日向岡住宅」を見に行った

東海道新幹線に乗って出張する機会の多い一部のサラリーマンにとって、道中の新幹線の車窓から見えるお馴染みの景色と言えば富士山だったり「727化粧品」の看板だったりする訳だが、それに加えてよく知られているものがある。

これは東海道新幹線下り列車の車内からその風景を撮影したものである。新横浜駅を出て10分足らずで進行方向右手に現れる、小高い丘の上に色とりどりの外壁を持った三角屋根のメルヘンチックかよと思うような妙ちくりんな戸建住宅がびっしりとへばりつく住宅地の存在。

これは別の日に同じ住宅地を東海道新幹線の車内から撮影したものだ。青空の澄み渡る晴れた日にこの住宅地を写真に収めて、ちょっと発色を濃ゆめに変えてみるとご覧の通りの「フォトジェニック」で「インスタ映え」とか言われてしまうような風景となる。

フォトジェニックでインスタ映えな三角屋根のアノ住宅地

既にネット上ではよく知れた物件となっているようだが、今更ながら気になってしょうがなかったので、今回現地を訪れてみた。場所は神奈川県平塚市、JR平塚駅から北西方向に約4.5キロ離れた場所にある「湘南日向岡住宅」という分譲住宅地を眼前に拝める平塚市郊外の田園地帯だ。

東海道新幹線の高架線路沿いにある住宅地なのですぐに場所は分かる。頻繁に新幹線車両が行き交うので、ちゃんとした写真機材を持ってくればお好みのフォトジェニックな写真を狙う事ができるであろう。

平塚市内にはJR平塚駅以外に鉄道駅がないので、ここまで来るには路線バスか自家用車しか手段がない。バスだと平塚駅か小田急線伊勢原駅南口から出ているバスに乗って25~30分、という途方もないルートが出てくる。そもそも東京に通う人間が家を買う場所ではないように思うが、横浜に出るのすらきつそうだ。

また、少し右側に目をやると、同じように急斜面上に段々畑にように建てられた分譲マンション「コートヒルズ湘南・日向岡」も見える。1992年築と結構な中古だが「3LDK80.05㎡」が1680万円とかなりお安い。あと三角屋根の戸建住宅も中古で買うと2000万円台後半で充分手が届く。

「日向岡」は70年代の終わり頃から東急グループが主導で開発したニュータウンで、昭和62(1987)年に街開きしている。ちょうど「金妻ブーム」が同じ神奈川県の田園都市線沿線で湧き上がっていた時期で、サラリーマン世帯が都内に家が買えないくらいに土地が高騰したバブル期に出来た新興住宅地の一つとなっている。

車で日向岡住宅に入るメインストリートの上り坂を進むと、傾斜地に連なる三角屋根の邸宅群が姿を現す。それはさながら意識高い系の有難がる本場アメリカ西海岸・サンフランシスコにあるような、アメドラ「フルハウス」の舞台として世界的に知られるアラモスクエアのビクトリア建築邸宅群を彷彿とさせる光景だ。

都心からも遠い、駅からも遠い、不便であるはずなのに、普通なら好んで人が住みたがらない急傾斜地の斜面を「見せる住宅地」として開発した見事な典型例として挙がる事の多い日向岡住宅の三角屋根の邸宅群。街開き当時の分譲価格は相当お高かったそうだが、それでもこの場所を選んだ人々にとっての「こだわり」も感じられる。

普通、プライバシーの問題もあって自分の家を他人様に好んで撮られたくないと思うものだが、日向岡住宅はわざわざ新幹線沿いの斜面に示し合わせたように目立つ三角屋根の家を建ててそれぞれ派手な色を塗りたくって新幹線の乗客に向けて「見て見て」とアピールしているという変わった住宅地でもある。そういう感覚が湘南ならではのリア充的発想なんだろう。「こだわり」が無ければ湘南暮らしは成立しない。

遠目に見ると段々畑状に奥に立ち並んでいるお宅も同様に三角屋根ばかり。中にはオレンジやピンクといった眩しいほどの蛍光色の塗料を外壁にベッタリと塗りたくった奇天烈ハウスもあって見た目に面白い。そもそもこういう家に住むのが「好き」じゃなきゃ、とても住まないだろうな。

高台の上に広がる日向岡住宅の中心部分まで来ると高低差の激しさがはっきり分かるように遠くの地平線に伸びる住宅地が見えてくる。晴れた日には平塚市街地が一望できることだろう。

ただ新幹線の車窓から見えない奥の方は三角屋根ではない普通の戸建住宅ばかりなのでその点は留意頂きたい。そんな特殊なニュータウンであるゆえにドラマや映画のロケに使われる事もよくあるという。

八日目の蝉 通常版 [DVD]

日向岡住宅がロケ地になっている映画「八日目の蝉」。井上真央、永作博美主演、2011年の映画ですね…

日向岡住宅唯一のショッピングセンターがファンシー廃墟状態に

この日向岡住宅がある平塚市日向岡一、二丁目の人口は約2,600人。結構な人口があるにはあるのだが、町内にはコンビニやスーパーマーケットの類は皆無で、その変わり「ショッピングプラザ15」(フィフティーンズ)という、なんだか山梨県北杜市「清里」のファンシー廃墟を彷彿とさせる前時代的なお買物スポットがぽつんとある。

しかしこのショッピングプラザとやら、まともに買い物できる店が全然ない件。「ヒナタリカー」という酒屋が一軒だけ頑張っているものの、他は殆どシャッター通りになってしまい、もはやショッピングセンターの体を成していない。

しかし建物のデザインとか、マジで清里の「ワンハッピープラザ」あたりとクリソツ過ぎて笑えるのですが、誰もまともに買い物に来ないからといって意味もなく木彫りの等身大人形を置かれると地味に怖いんですが…

買い物にも不便極まりない感のある日向岡住宅住民、買い物は高村団地近くのAコープかしまむらストアー、もしくは少し離れた所にあるマックスバリュやロピアに行くのが日常らしい。車が無ければ生活は難しいことだけは確かだ。

「ショッピングプラザ15」の案内看板も既にボロボロで一部看板が外れてしまっている。建物の階段や看板のポールなどの金属部分もいい加減錆びまくっていて、どうにも切ないバブル時代のニュータウンの遺構と化している。

そんな廃れたショッピングセンターの真ん前にバス転回場を兼ねた神奈中バスの「湘南日向岡」バス停があり、伊勢原駅や平塚駅に出る事ができる。遠目には神奈川の秘境・丹沢山地を眺められる、海にも山にも近い風光明媚なニュータウンでもあるのだ。


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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