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【目の前は新宿】東京の重慶マンションと呼ばれた魔窟ビル…代々木二丁目「ニューステイトメナー」を見物する

先日、ひょんな事から新宿に近いとある一画を訪れる機会があった。あまたの数の高層ビルに囲まれた大都会・東京…その中でも我々が勝手に「魔窟ビル」だの「プチ九龍城砦」だとか呼んでいる部類の物件がいくつもあるが、今回紹介したいのは、新宿のお隣・代々木にあってつい最近解体工事が始まった「代々木会館」のそびえる場所にも近いところにあるこの物件。

「ニューステイトメナー」(New State Manor)と称される、かなり年季の入った大型マンションだ。住所で言うところの渋谷区代々木二丁目にあるが、駅で言えば新宿駅南口が一番近い。上野駅チカのアルベルゴ上野、高田馬場駅前のタックイレブンビルといった物件同様、建築年代も相当経過している上に独身者用のワンルーム物件を非常に多く抱えている。

新宿駅南口至近距離にもあった大型魔窟マンション

代々木と言えば代ゼミ…ということで隣接する代々木ゼミナール本校の敷地からも見えるニューステイトメナーなる物件、その外観はまさしく昭和の時代にさかのぼった古臭い佇まい、その昔タバコの不始末から起きた火事で大勢の死傷者を出して焼失した赤坂見附のホテルニュージャパンをどことなく思い起こすデザインだが、元を辿れば本来はホテルとして建てられたものらしい。

新宿駅から甲州街道を隔てた南側、マインズタワーの裏手にこの物件はある。さすがに新宿駅至近ともあれば入居テナントも多く人の出入りも活発だ。昭和51(1976)年に竣工されたもので、今年ではや築44年と、かなり「昭和の大物」的貫禄が建物全体から出始めている。

14階建ての本館に入る手前に3階建てのオフィステナントが入居する別棟が隣接している。フツーにコンビニとか運送会社とか、公認会計士や税理士の事務所とか、そういう無難なテナントが入っていて、某アル○ルゴ的な怪しい感じは一切しない。

その別棟のど真ん中をぶち抜くカマボコ型トンネル風の開口部から本館に入ることができる。トンネルの中は独特な雰囲気。本来はホテルのエントランスとして設計されたはずの箇所だからか。

で、そのトンネルを抜けると先には本来ホテルの駐車場として整備されたはずだが、結局は一般向けのコインパーキングとして使われている駐車場スペースなんかがある。平日土曜最大2,800円(9-20時)、日曜最大1,700円(同)、20分300円というのはかなりお高い価格設定のように思うが、新宿駅至近距離でこの価格以下の一時預かり駐車場を探すのは難しい。

その駐車場スペースからニューステイトメナー本館を眺めるとこの通りだ。なかなかの圧巻ぶり。当初ホテルとして建設されたものの、建設会社が途中で倒産。結局は分譲ワンルームマンションとして出されて、バブル時代に流行ったワンルーム投資家の間では話題の物件だったとか、そういう話が出ている。

わずか22平米しかないマンションの一室がバブル絶頂期には1億円もしたのがバブル崩壊後に1000万にまで値下がりしたらしい。異常な時代である。今見ると売買は2000万円前後、賃貸だと月8万とかそんな感じっすね。ちなみに14階建てのビル全体で住居は全部で892戸もある…へぇ…

ちょっとアメリカ臭いビル名でピンと来られた読者もいたかも知れないが、その倒産した会社というのがアメリカの航空会社だったパンナム(Pan Am)の通称で知られた「パンアメリカン航空」だったという話もある。同社の破産は1991年なので、時期的には違う気がするんですが、真偽の程はよくわかりません。

本館の正面玄関に続くルート上もこの通り店舗スペースが立ち並び、地味めなラインナップのテナントが連なっている。

そんな一角にある食い物屋、無農薬・自然食専門「ミルクランド」がひときわ個性を放っている。1995年より営業している同店、店内写真無断撮影禁止の張り紙があったり、初めての方は店の説明をします等など、なんとも一癖ありそうな感じ。しかしこの巨大繁華街新宿の片隅にあって意識の高いランチを千円以下で食える貴重な店らしく、Googleの口コミ欄ではかなり高評価を受けている。

「東京の重慶マンション」 という、ありがたくない異名

しかし駅チカ立地で年代物のオフィス可ワンルームなんて大抵「魔窟化」するもので、このニューステイトメナーだって例外ではないようだ。一時期は「違法民泊」が大量に営業するなど無法状態だった事もあるという。892室中の100室前後が一時期民泊だったとかで、付いたアダ名は「東京の重慶マンション」…

「重慶大厦」(チョンキンマンション)とは香港九龍半島の中心繁華街・尖沙咀地区の駅前一等地にそびえる1960年代に建てられたオンボロ高層ビルの事。東京以上に地価のバカ高い香港では奇跡的な立地かつ低価格である事からあまたの移民経営の怪しい安宿やら食い物屋が群がるカオス極まりない場所だ。これに例えられちゃ、たまったもんじゃないですかね。

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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