我々東京DEEP案内取材班、大田区と言えば蒲田だろうとばかりにアホの一つ覚えのように蒲田にばかり足を運んでいたが、そういえば「大森」にはさっぱり足を運んでいない事に気づいた。
そもそも「大田区」というのも大森区と蒲田区から来ているのだから、蒲田ばかりえこひいきにするのも片手落ちでよろしくない。
そんな訳で初めて大森の駅で電車を降りて、ホームの上から街並みを見るとかなり高密度なドサクサ横丁が駅前に広がっていて結構楽しそうなのだ。
大森駅は西口(山王口)と東口でかなり様子が異なり、東口はまあ蒲田と大差ないのだが、西口は山王という高台の高級住宅街が駅の眼前にまで迫っていて、山の手風味な街となっている。
大森駅山王口を降りると、駅前から連なる「大森駅山王口商店会」は坂道の只中にある。ロータリーを置くスペースもないほど狭苦しい駅前の光景は一見すると独特だ。
大森駅山王口の駅前を走る池上通りから八景坂を登った先は高級住宅街山王、大森貝塚歴史庭園を経て大井町方面に続いている。
ひとまず商店街の様子を見たいと思う以前に、駅前交差点の向かいにある鬱蒼とした山が気になってしょうがない。大森駅山王口に鎮座する天祖神社の森である。階段を経て奥の高台には山王の高級住宅街が広がっていて行き来する人の姿が多い。
階段を登ると右手に天祖神社へ続く石段、その脇から回り込むように山王の住宅地に抜ける事が出来る。とても駅徒歩0分とは思えない風景で、とても大田区らしくない風景。
階段の上から八景坂を見下ろす。昔はここから大森の海岸、房総の山まで一望する事が出来たという景勝地で、八景坂の名前もそこから来ている。しかし今となってはバラックのような商店街の建物が景色を塞いでいるだけだ。
そんな商店街の階段脇に香ばしい匂いを漂わせるうなぎ屋の店が一軒。
そのうなぎ屋の脇から、なんともボロボロで危うい石段が隠れている。
人の行き来もなく、途中から階段自体が左側にズレ落ちて傾斜しているというビジュアル的にそそられる廃階段である。
こんな階段があるとつい登ってみたくなるのが路地裏フェチの習性というもの。ズレた階段に足をつまずかせないよう登ってみると、その先は一軒の廃屋と、案の定通行止めの看板が置かれていた。
路地の奥に押し込められた一軒家はあまり生活の匂いが感じられない。これでも駅徒歩1分という抜群のロケーションなのだ。大森もつくづく凄い街だよな。
他にめぼしいものもなかったので、仕方なく階段を降りて商店街に戻ってきた。池上通りに沿って続く大森駅山王口商店会は非常に人通りも多く栄えたごくごく普通の商店街だった。
大森駅のホームから見える強烈なバラック建築も、表から見ると何の変哲もないごくごく普通の店でしかない。
八景坂を降りた先には、東口との間を跨ぐガードがある。JRの線路を挟んで高低差の激しい大森駅前では貴重なアクセス通路であって、車通りも激しい。
その先の池上通りにも大森柳本通り名店街という商店街が続いている訳だが、今回の探索では行かない範囲なのでまた次の機会だ。
ガードを潜ると大森駅東口とアーケードつき商店街「ミルパ」に繋がっている。大森は駅前から忙しく表情の変わる街である。もう少し細かくツッコミを入れてみたいと思う。