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【豊島区】暴走車が人を襲うブクロの呪い…「東池袋」の交通死亡事故現場と乱立するタワマン群

最近、全国的に話題となっている「小さな子供が犠牲になる交通事故」。令和の始まりには関西でも滋賀県大津市で2歳児二名が亡くなりさらに児童一名が重体となる事故が起き、平成の終わりには豊島区東池袋でも母子(30代女性と3歳児)二名が亡くなり、その他九名が重軽傷を負う事故が起きた。どちらも被害者側には何の落ち度もないにも関わらず、将来ある子供の命が悪質なドライバーに奪われた事が相次ぎ報道され、世間が再び「交通事故の恐ろしさ」というものを目の当たりにしている。

2019年4月19日午後に豊島区東池袋で起きた交通死亡事故の現場に足を運ぶ機会を得た。場所は池袋駅東口西武百貨店の真正面から伸びる「グリーン大通り」から続く幅広い車道。川越街道から護国寺・江戸川橋方面を結ぶ幹線道路で、やたらと道路の幅が広い割には渋滞するような交通量でもなく、その気になればいくらでもスピードを出せる危うさがある。

事故報道後しきりに「上級国民」なるフレーズがネット上で騒がれた、加害者である87歳の元キャリア官僚が運転するプリウスが犠牲者となった母子の乗る自転車にアクセル全開で突っ込んだ現場というのが、この「日出町第二公園」交差点である。交差点の真下には地下鉄有楽町線東池袋駅があり、その周囲にはサンシャインシティの超高層ビルに負けじと築浅のタワーマンションが続々乱立する場所になっている。

東池袋駅前と言えば、昔からこの交差点近くにあるつけ麺で有名な「東池袋大勝軒」があることくらいしかイメージがなかったんですが、いつもこの店の前で座ってお客をもてなしていた創業者の山岸一雄氏がお亡くなりになって随分経ちましたね。

我々がこの場所を訪れたのは事故後一週間が過ぎていたが、事故現場となった交差点の真ん前には献花台が設けられ、花や供物を片手に手を合わせにやってくる人々の跡が絶たなかった。87歳という高齢者が運転操作をひと度誤ったばかりに、取り返しの付かない大惨事を招いた。

安全性能を考慮し頑丈に作られているはずの有名メーカーの子供乗せ電動自転車が真っ二つに割れるなど、あまりに凄惨な事故現場の様子が報じられた後、東京都内で運転免許証を自主返納したドライバーが高齢者を中心に事故後一週間で1,200人を超えたとの報道もあった。そのくらい社会に影響を与えた事故である。

そして事故現場の様子をしばらく観察して気になったのが「やたらと小さな子連れのファミリーが多い」というこの地域の特徴。献花台の前で手を合わせる親子連れの姿も頻繁に見かけた。池袋と言えば一昔前は胡散臭い歓楽街に「IWGP」でも描かれたカラーギャングが跋扈する危なっかしい街、西口の中華街がカオス化している…といった負の要素ばかりが目につく街なはずだが、近年は東池袋駅周辺にやたらタワマンが乱立し、小金持ちファミリー層が多く移り住んでいる。

タワマン乱立するも危ない車道ばっかり!これでも池袋はファミリー向けの街と言えるのか?

まず東池袋と聞いて誰もが真っ先に思い浮かべるのが昭和の時代に生まれた超高層ビル・サンシャイン60を中心とした「サンシャインシティ」であろう。東京裁判の時にA級戦犯として裁かれた東條英機含む7名が処刑された巣鴨プリズン跡地に建てられはや40年である。土地の因縁の悪さはともかく、街のランドマークとしては充分過ぎるくらいの役目は担っている。

これまで何気なく埼玉県民と女子高生の溜まり場としか思っていなかった場所だが、よくよく見ればサンシャイン水族館、トイザらスに豊富なレストラン街、プラレール博などのイベントが行われるなど、実のところ小さなお子様のおられるファミリー層からすれば馴染み深いスポットとなっている。

休日ともなると多くの親子連れ、それも小さな子供をベビーカーに乗せて歩く通行人がサンシャインシティの前のだだっ広い車道を横切っている。87歳プリウス暴走老人も事故を起こす場所が少しでも違っていれば、もっと深刻な被害が考えられただろう。

事故現場に近いサンシャインシティ前の車道。車道が片側3~4車線あるような、“100メートル道路”で知られる交通事故多発県愛知の県庁所在地・名古屋市も顔負けの広い道路が、とりわけサンシャインシティ周辺にはガッツリ整備されている。繰り返しになるが、ここも渋滞になるほどの交通量の多さでもないので、暴走車がアクセルを蒸しっぱなしにすれば時速100キロに到達するのも容易である。埼玉の田舎ゾーンからやってくる所沢ナンバーだか川越ナンバーだかのヤンキー車が調子こいてR254川越街道をかっ飛ばして辿り着く先がこちらです。

で、そんな場所にタワーマンションがどんどん乱立しては住み着いている小金持ちファミリー層が急増中というのが近年の東池袋駅界隈である。かつてはホームレスとポン中の溜まり場だったはずなのに芝生一面のやたら綺麗な空間に生まれ変わって“意識高い系スポット”になった南池袋公園からも見える超高層タワマン「ブリリアタワー池袋」なんてその極致ですな。

高さ189メートル、地上49階建てを誇るブリリアタワー池袋。2015年に建てられ、その上層階には1億~1.5億オーバーの高級物件がゴロゴロとある。池袋なんてやさぐれた昭和のアパートに独居男性や中国人がしがなく暮らす、地面に這いつくばったような下町住宅地ばかりかと思っていたが全くもって古い認識だった。低層階でも普通のサラリーマンの給料では到底住めないので、年収400~500万円台の世帯ならもれなく東武東上線の陰気臭い電車に揺られて埼玉の片田舎から遠距離通勤するしかない。

このタワマンの真下に堂々と引っ越してきたのが、かつてはボロ汚い昭和全開の庁舎だったはずの「豊島区役所」。様々な関係機関が入って「としまエコミューゼタウン」という、ゆとりネーミング満載な施設として稼働している。東京都豊島区と言えば以前「都心唯一の消滅可能性都市」として、少子化の進行によって街が消滅するかも知れないと槍玉に挙げられた自治体でもある。それゆえか最近は区役所のリニューアルに、区の顔でもある池袋の街の美化に常に余念が無いご様子だ。最近では40年ぶりに区の人口が29万人を超えたと喜んでいる。

近年の東池袋界隈のタワマン乱立も、子育て世帯の定住が少ないという行政側の危機感が追い風になっているのかも知れないと邪推したくもなる。サンシャインシティの南隣にも52階建ての「アウルタワー」が2011年に、さらにその隣にも42階建ての「エアライズタワー」が2007年に、少し離れた所に38階建ての「ヴァンガードタワー」が2007年に完成している。

暴走車が人を襲う「ブクロの呪い」を忘れるな

しかし我々から見れば池袋という土地自体、江戸時代から“追い剥ぎ辻斬りが絶えない”物騒な土地であり、悪い因縁が時代を超えて渦巻いている土地なのだということを、この街で何度も起きる悲惨な交通事故を通じて思い知らされるばかりなのである。喉元過ぎれば熱さを忘れる日本人の性か、皆はもう「ブクロの呪い」を忘れたのか。

2015年8月16日には池袋駅東口で50代の医師の男が運転する車が突っ込んで歩道の通行人を次々はね、40代女性一名が死亡、 四名が重軽傷を負う事故が起きた。事故車両は直前に「池袋東口公共地下駐車場」のこちらの出口から出てきたところ、てんかんの発作が起きて車の操縦が効かず、本来転回すべき進路をそのまま直進して正面のZARAの店舗に突っ込んだ。

さらに2014年6月24日には池袋駅西口みずき通り、三菱東京UFJ銀行(当時)池袋西口支店前の歩道にお薬でラリった30代男運転手のRV車が突っ込み、歩行者の中国人女性一名が死亡、六名が重軽傷を負う事故が起きた。これ以後「危険ドラッグ」の名称が生まれ、規制強化にも繋がった契機となった事故である。今もそうかも知れないが、この当時、池袋駅西口に多数ある怪しげな雑居ビルなどではこうした非合法的なブツを取引している店舗が非常に多かったのだ。

様々な人種がひしめき合う大都会・東京。何も池袋ばかりが危険だとは言うつもりも毛頭ないが、これだけ悲惨な事故が何度も起きるような土地は一体何なのだろうかと思わずにはいられない。


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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