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【多国籍社会の現場】ベトナムの新年祭“テト”が開催される越谷市のベトナム寺院「南和寺」を見に行った

ますます加速の一途をきわめる多国籍社会の到来…近年は中国・韓国以上に急激な人口増加を見せているのがネパールとベトナムの二カ国の人々である。特に最近はコンビニやチェーン系飲食店に用事があって足を向ければ、応対する店員がみんなベトナム人だったりする。なんだか凄い勢いだ。

度々多国籍社会の現場を訪れている我々取材班、今回訪ねたのは埼玉県越谷市の外れに位置する、関東屈指のベトナム寺院「南和寺」(Chùa Nam Hoà)である。ここは既に一度訪問している場所で、2010年12月の時点で当サイトでも記事にしたためているが、この寺では毎年ベトナムの旧正月「テト」の時期に盛大に新年祭が開催され、首都圏一円の在日ベトナム人が集まるのだ。

埼玉県越谷市のとある一角がベトナム一色に染まる日

旧正月に近い2月のとある日曜日、しらこばと水上公園の隣にある南和寺にやってくると既に多くの人だかりができている。新年祭の開催告知は南和寺のサイトで行われているが、ベトナム語でしか案内されておらず、その場にいるのはたまたま隣接する公園にやってきた日本人を除けば、殆どベトナム人しかいない。

境内各所に色々と書かれた看板とか案内の張り紙とかもあるんですが、全部ベトナム語でしか書かれていないため、生粋の日本人は理解不能である。ちょっとくらいベトナム語を勉強してから来た方が楽しめるかと思います。

頭上にはお祭り会場の撮影のためかなぜかドローンまで旋回しているという、謎の盛り上がりっぷり。すぐに木の枝にぶつけて墜落しちゃいましたけどね。何かと規制のうるさい都内じゃこうはいかない。ここは埼玉ですからね。

南和寺の境内からはみ出るくらいに参拝者の行列が出来ている。もちろんこれもベトナム人ばかり。普段は町外れにあって人の姿もない寂しいロケーションだが、この日ばかりは人の熱気でムンムンしている。こういう光景を見ていると日本の初詣とそう変わらないようにも思えます。

その傍らでは、参拝者向けに振る舞われるベトナムの麺料理「フォー」をせっせと作りまくる方々の姿も。巨大な寸胴鍋に入れられた具材の旨味が染みたスープが沸騰し湯気を立て、のっけから食欲をそそるいい匂いが辺り一面に漂ってくる。食い物が出てくると俄然テンションが上がるのは言うまでもない。

この振る舞い酒ならぬ“振る舞いフォー”、別にベトナム人でなければ受け取れないとか、参拝者以外はダメとか、そういう決まりもない。その場に居合わせた人間なら誰でも無料でもらえる。まさに大盤振る舞いである。ありがたく頂きましょう。

プラスチック容器のどんぶりにしこたま盛られた野菜たっぷりのフォー。さすがに大量に振る舞うためか具材にはパクチー等が無く、人参やら油揚げ、もやし等、入手が容易ないたって日本的なものが入っている。それでも素晴らしい。見た目にもヘルシー感漂うのがベトナム料理の特徴だ。

フォーを食らって胃袋がいい塩梅にほかほかになったところで、境内の広場では新年祭のメインイベントの準備が進んできた。そこを取り囲むベトナム人たち、みんなどこから来たのだろうと思うくらいに多い。ここ数年でメチャクチャ増えてきたわけだが、同じ埼玉のワラビスタンのクルド人新年祭「ネウロズ」同様、この会場も年々盛り上がりが激しくなってはいないだろうか。

そうこうしているうちに天井に吊り下げられた爆竹の束が点火され、大量の白煙と共にパパパパーンと乾いた炸裂音が鳴り響く。やっぱりベトナムって中国が隣にあるからか、こういうところに中華圏の影響を感じる。

程なく、ベトナム人参拝客が見守る広場の中を二匹のベトナミーズ獅子舞が踊り狂う。その様子を熱心に携帯カメラで撮影しまくる人々。その場の熱気も最高潮に達する。

ベトナムの正月・テトは旧暦に基づいているため、毎年その日にちが変わる。我々が訪れた2018年は2月16日がテトの元日で、その日に近い日曜日である18日が南和寺の新年祭の開催日だった。今年2019年は2月5日が元日で、既に3日に開催された後のようだ。したがって、南和寺のテトが見たいという方、来年2020年の開催を待て。

また南和寺は交通便の悪い場所にあり、公共交通機関の場合は越谷駅からバスで来る事になる。殆どの来場者は自家用車で乗り付け、近隣のしらこばと水上公園の駐車場に停めるなりしている。一応ながらここ南和寺と近隣の鉄道駅を往復する送迎のワゴン車もあったが、これもベトナム語の案内しかなく、日本人が事前に知った上で利用するのもなかなか困難だろう。

そんなベトナム新年祭で盛り上がる中、隣接する公園には「コバトンの森」なる大型遊具が整備された広場が設けられていた。昔は無かったですよねこれ。現地の親子連れに加えてベトナム人の親子の姿もあった。東京に近いのに死ぬほど土地が余っていてしかも安い、そんな埼玉は外国人にとっても夢と希望あふれるフロンティア、紛れもなく埼玉こそが我が国における多国籍社会の最前線である(空港ないけど)。


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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