東京タワーに程近い港区麻布台の住宅街のど真ん中に、圧倒的に巨大な建築物がある。
宗教法人霊友会の本部施設「霊友会釈迦殿」だ。
1975年に建設された建物は東京タワーと同じく竹中工務店が担当している。幾重にも重なる屋根状の構造物が威圧感を漂わせる。周りが普通の住宅地なのでひときわ異様に映るのだ。
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航空写真で見ると、まるでピラミッドみたいな形状をしているが、ピラミッドの先端が大きく後ろに反り返ったような形になっているのが見える。東京タワーの上からもよく見える建物なので、あれは一体何の建物なのかと気になった人も多いかも知れない。
実際に、イギリスのロックバンド・デュラン・デュランが「あの建物は何やねん」と竹中工務店を訪れたというエピソードもあるとか。
正面から眺めると巨大な階段がそのまま建物内部に続いている。巨大な建物に反して、信者を含めて人通りは殆ど無く、不気味なくらい静けさに包まれている。
建物の横に行くと教団の掲げる広告がある。
伝えよう「教え」を、誘おう「弥勒山」へ、とあるが、伊豆山中に教団施設を抱えており、青年部などが泊り込みで修行に行ったりしているそうな。ちなみに伊豆には他にも新興宗教団体の施設がわんさかある。
霊友会の場合、弥勒山の他にも山梨県身延町の七面山に教団施設があり、信者を対象に登山修行を行っている。
他にも随分立派な「御水処」も用意されているが相変わらず人っ子一人居ない。
霊友会釈迦殿の目の前には「雁木坂(がんぎざか)」がある。ここは教団施設ではなく、地元民が使う道だ。階段が据え付けられており、その先の住宅街へと続いている。
雁木坂の階段を登ると、霊友会釈迦殿の真横に道が続いている。この道沿いに建物の目の前まで迫ることができる。
目の前にやってくると、改めて建物の巨大さを実感することができるだろう。既に建てられて30年以上が経っているが、その年月が建物全体により重厚感を引き出している。
霊友会に限らず信仰拠点である宗教団体の総本山というのは、まさに信者が心の拠り所とする中心になる場所である。言い換えればパワースポットだったりメッカであったり。それゆえにとんでもない珍建築が完成しちゃったりとネタに事欠かない。そういう意味で霊友会釈迦殿の建物は立派であり賞賛に値する。
霊友会釈迦殿の横を通り過ぎて、そのまま左に折れると「三年坂」がある。坂の上から六本木方面を見下ろす形になるため、六本木ヒルズや東京ミッドタウンなどが見える。坂の街東京を実感できる場所だ。