雑司が谷散策 (3) 雑司ヶ谷霊園

この広い大都会東京には歴史的建築物や様々な発祥の地など、思わず萌えてしまう物件が数多くある。人の手垢に塗れた街の痕跡を見つける事が街歩きにおける至上の楽しみである。逆に何も感じずに素通りしてしまうだけでは、街に住んでいる事の喜びなど感じることもないだろう。それは非常につまらないものだ。
街歩きにおいて変なものを見つけて楽しむという喜びを得るには、貴方の心の中に秘めたる「萌えアンテナ」を伸ばす事を是非とも欠かしてはならない。
だがその「萌えアンテナ」は今生きている街並みや人の姿だけではなく、既に死んでしまった存在、例えば廃墟や墓地などにも容赦なく反応するのが東京DEEP案内取材班のアンテナなのだ。
ということで、都内にある著名な墓地や寺の境内にある墓場などはたいてい訪れた訳だが、墓巡りシリーズの一環として、池袋という大繁華街に程近い「雑司ヶ谷霊園」をレポートしよう。
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雑司ヶ谷霊園へは都電雑司ヶ谷駅が最寄りとなるが、徒歩でも池袋駅からも20分程度、有楽町線東池袋駅からも10分程度で来る事ができる。
訪れてみるとそこはただひたすら広大な墓地だ。


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永井荷風、小泉八雲、竹久夢二、夏目漱石、ジョン万次郎、それに東京軍事裁判で近くの巣鴨プリズンで処刑された東条英機など、そうそうたる著名人が一同に眠っている。(→雑司ヶ谷霊園に眠る著名人
霊園の案内図はあっても、どこに著名人の墓があるまでは書かれていない。
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しかし気になったのが「法務省納骨堂」と書かれている一画。なぜ法務省なのか…と想像する以前に、これは死刑囚の遺骨を納めるための場所であることに気が付く。
東京拘置所で死刑執行された後の遺体で、身寄りのないもの、もしくは遺族が引き取りを拒んだものは、まとめてこの納骨堂に収められる。
ちなみに死刑囚の多くは「献体」を望むと言われており火葬になる遺体は少ないらしい。
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広大な墓地だけあって、墓の種類も豊富であり、遺族の宗派も様々であることが伺える。
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墓地の一角には夏目漱石の墓が一段と立派に置かれている。日本の教科書を読んで育った人間なら知らない名前はないほどの有名人。以前は千円札の人物でもあったが、野口英世にバトンタッチしてから久しい。
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そんな夏目漱石を偲んでかは知らぬがやたらと野良猫が住み着いている雑司ヶ谷霊園。
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我輩は猫である。名前はまだ無い。」
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なぜか手持ちの東京下町観光ガイドには載っていなかった東条英機の墓。政治的な思惑があれど日本の歴史に深く関わった人物には違いない。
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墓地の裏手から「南池袋斎場」へ入る道がある。豊島区の公営斎場だ。周辺には寺も多いが、すぐ目の前には民家も並んでいる。思えば凄いロケーションだ。
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外側からも納骨堂が入る建物が見えるが、その向かいではうなぎ専門店もあり、人を焼いている横でうなぎも焼いているという状態でなかなか香ばしい。
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目の前が斎場でも住民にとっては慣れっこであり住めば都ということか。

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