花街の痕跡・西新宿「角筈十二社」 (3) ボロアパート街

料亭街の痕跡を僅かに留める西新宿四丁目「十二社」の街並み。しかしかつての花街の面影を残す旅館は一軒を除いて皆姿を消してしまっている。
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既に営業休止になってしまった「ホテルニュー寿」の先は一見すると行き止まりで通り抜け出来無いかと思うようで、裏に続く道がこっそり隠れていたりする。通れそうだと思って実際に通ってみると、迂闊にも蜘蛛の巣に引っかかってしまった。
ワイルド過ぎる裏道、本当にここの住所が西新宿だなんて疑わしくなってくる。


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そこを抜けると横手からボロアパートが現れる。意外に西新宿にも昔ながらのアパートというのは多い。ここだと新宿駅まで徒歩で通える訳で寿司詰め通勤電車とも無縁になるはずだが、家賃相場もそれなりに高い。
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裏道をそのまま真っ直ぐ進むと引き続き容赦なくボロアパートが連なっていてびっくりしてしまった。花街の歴史を持つ十二社は現在、西新宿副都心に最も近い住宅街になっているのだ。
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あまりに年季が入りすぎて2階の木造ベランダが完全崩壊している民家があったりと恐ろしくカオスだ。
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外壁もボロボロに崩れ落ちて中身が見えているような建物でもまだまだ現役で人が暮らしている。東京都庁の目と鼻の先でこんな風景が残っているのは奇跡的である。
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細い路地が入り組んだ十二社の住宅街。もしこれで火事でもあったらどこに消防車を止めればいいのだろう。アパートはどれも独身向けの風呂なし物件が多いようで家族連れが住んでいるような雰囲気は皆無。
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重厚なコンクリート塀の残る民家の前の坂道には古い居酒屋が一軒残っている。そのまま真っ直ぐ進めば一直旅館、途中の十字路を左に折れるとホテルニュー寿、右には先程のボロアパート群が連なっている。
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まさに「隠れ家的」に存在する、古い住宅を改装して営業している居酒屋「品川亭」。この建物も元々は十二社池の前に建つ一軒の置屋だったそうだ。
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車も通れないような細い道なのをいいことに野良猫達がマイペースに昼寝している。この付近は猫人口がやたら多く、道の至る所でこうして猫が寝転んでいる光景を目にする。
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もっとも猫にとっても安らげる場所がこの界隈くらいしかない事も西新宿ならではの事情だろうか。周りはオフィスビルだらけだし。
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十二社通りに面したビルの裏手、飲食店の厨房がある裏口付近も猫だらけ。この辺だと残飯にありつけて飯にも困らないし猫にとっては願ったり叶ったりだろうか。隣の新宿中央公園がホームレスの楽園なら十二社界隈は猫の楽園なのだ。
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しかしこの猫が寝転んでるのがこんな場所だったりするのだ。ここなら誰にも邪魔されることがない。天下無敵である。
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十二社通りの裏側にも細い路地が並行して走っているが、この通り沿いにもびっくりする程オンボロアパートが密集している。特に手前の家は2階バルコニーが崩落してしまっている。とにかくこの付近の建物は強烈だ。
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ボロアパート密集地帯から坂を降りると右側に「まるえい」という小さなスーパーがある。オフィス街という場所柄、スーパーの店員が総出で弁当を販売している。そろそろ花街だった住宅街を離れて周辺を練り歩く事にしよう。

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