東京の北の玄関口であり巨大DEEPゾーンである「上野」の象徴と言えばやはり上野恩賜公園だ。公園内には上野動物園をはじめとして、国立西洋美術館、東京国立博物館など、日本を代表する数多くの文教施設を擁する。
京成上野駅の横手の階段から上野公園へ向かうと途中の階段には沢山の似顔絵職人と、たまに謎のスピリチュアルカウンセラーも現れる。10年前なら偽造テレカを売るイラン人が大勢いたそうだが今はその痕跡はない。
階段を登った先には言わずと知れた西郷隆盛像が鎮座している。この西郷像の真下には鹿児島名物のさつま揚げやら何やらをごっちゃにぶち込んだ「西郷丼」を出す元祖ファミレスとも言われた「レストラン聚楽台」があったが2008年4月で閉店してしまった。
隣には西郷像の由来が書かれたプレートがある。なぜ上野公園に西郷隆盛像が?という疑問についてはこのへんでも参照すると良い。
ただ「上野の西郷さん」があまりにも有名なのは承知の通りだが、その西郷像の周りはホームレスの楽園であるということはあまり知られていないだろう。観光客が多い土日ではなく平日の昼間に上野公園を訪れてみると、いかにホームレスの数が多いかがわかるはずだ。
そのうちの一画は完全にホームレス村と化しておりむしろ人の家の敷地のような状態になっている。公園を訪れる観光客も意識的に避けているため、「住人」はいたって平穏無事にアウトドアライフを満喫しているように見える。
上野公園の西郷像前は「上野百貨店」の建物の屋上にもなっており、その前からは上野駅前の風景を眺める事ができる。少し古い写真だが、現在では手前の工事現場にヨドバシカメラが出来ている。
目の前にあるベンチも殆どがホームレスのオッサンと見られる地味な服装の中年男性ばかりが占領しまくっていて、とてもデート気分にはなれない。やはり、目的もなくただボケーっと座り続けたり、どこかで拾ってきた漫画本を読みふけたりと様々。
さらに上野公園の中に入っていくと、通行人もなく静まり返っている通りがある。とある一画だけが空白になっているかのように、誰もいない。
その奥に入ると案の定ホームレス村があった。工事用の鉄柵に囲われてそれぞれの「民家」が数軒連なっている。公園からまるごとホームレスを排除した天王寺公園とは違い、えらい立派な待遇に思える。
上野公園周辺には、一箇所に集まる場所としては東京でも最大級の200人余りが居ると言われる。中には女性ホームレスの姿もあって驚くのだが、これだけ多くの「住民」がいる公園なので、普通の近所づきあいと同じく「生活」のルール作りを決めたり自治会のような集まりもあるという。
上野公園を訪れる、暖かい家庭や親戚に囲まれる「リア充」な人々が通るすぐそばで、同じ公園の利用者ながら別世界を生きている人々もいるわけで。
参考サイト
夕刊フジBLOG:”ホームレス初心者”には敷居が高い上野公園
「仁義なし」で冷戦?新顔のホームレス急増、古参イライラ : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)