古今東西、日本列島はいま「パワースポットブーム」沸騰中。神社から自然に至るまで様々な心安らぎそうなものを挙げて”パワースポット“などと呼ぶ動きは2~3年前くらいから活発になってきた。本屋に行くとありとあらゆるパワースポット本。ページを開いてみると「女子力アップ!」だなんて浮かれた文言がピンク色のフォントで書かれていたりして食傷気味。
そして東京・浅草にもパワースポットブームに乗じて婚活女子に注目度急上昇(笑)の神社があるというので訪れた。今戸神社である。言い伝えによると康平6(1063)年に京都の石清水八幡宮を勧進したのが始まりという千年以上の歴史がある由緒ある神社なのだが、それが今ではすっかり婚活女子軍団が集まる開運テーマパークと化してしまっている。
浅草雷門からとぼとぼ歩いて15分くらいの場所にある今戸神社の境内までの道のりは少々分かりづらい。よく見ると観光バスとかで乗り付けて来る客もいるらしく何やら雰囲気が変。
「招き猫発祥の地」「沖田総司終焉の地」など境内入口の鳥居前には神社の由緒を物語る文言の数々が書かれた看板もあるにはあるが、必死な婚活女子にとってはあまり興味の対象となっていない模様。
早速境内の様子をのぞき見しようと入っていった訳だが、奥の方がオシャレなガーデンカフェ状態になっていて女子向け仕様が目に付く。浅草の観光客用無料巡回バスであるパンダバスもこの今戸神社まで走っているらしい。よほど参拝者が多いようだ。
もう既に神社の境内とは思えないテンションに脱力。どこぞの表参道あたりのガーデンカフェかと見紛うようなオシャレなオープンテラス席は祈願を終えた、もしくはこれから願いを託そうとする女子軍団が陣取っており、それ以外の参拝客はどことなく居心地悪そうにこの状況を眺めている。
招き猫発祥の神社ということもあるので大量の招き猫の置物もあるにはあるのだが、それ以上にハーブや花が植えられた鉢植えが拝殿前を占拠している。少なくともここが神社の境内であるという雰囲気はない。
あまつさえ浦安鼠園に生息する世界一版権の高いネズミのカップルがラブラブポーズの銅像まで置かれている。もう完全に狙ってるよな。
さらに拝殿の真ん前にも招き猫がペアになった石像まで…とことん縁結びにこだわった神社である。その上の掲示板には「幸せを呼ぶパワースポット」の広告が(笑)
あまつさえ招き猫石像の前にはフォトフレーム風の置物があり、ここから招き猫石像を写メに撮って待ち受け画像にすると、良い事があるみたいですよ…と書かれていて笑ってしまった。鰯の頭も信心からではないが浮ついたパワースポットブームにノリノリな神社のテンションの高さに萌え萌えキュン。
招き猫に加えて今戸焼発祥の地の石碑も拝殿前に置かれている。浅草周辺で焼かれていたローカルな焼き物なので発祥の地と書こうが何を書こうが無問題であろう。境内にはこの今戸焼で作られた招き猫も売られている。
拝殿横にあるお守り売り場には婚活女子達が縁起物を求めて行列を作っている姿が見られる。飯田橋の東京大神宮でも見られた風景だ。8割がたはパワースポット(笑)な女子軍団であると思われる。
ただ今戸神社の場合は2008年より定期的に「縁結び会」を行っていて、会員登録すると神社主催のお見合いパーティーなどにも参加出来るんだそうだ。かなり本格的にやっている模様。
そして婚活女子達の信心の厚さを何よりも物語るのが境内に置かれた夥しい数の絵馬だ。ちょっとこの数はハンパねぇぞ。どうなってんだこりゃ?!
この数の多さ、もはや鷲宮らき☆すた神社の痛絵馬すらここでは足元にも及ばないだろう。ここにある絵馬の主はザッと見たところ9割5分女性のものである。これを見て今戸神社はただものではないという事を思い知らされる。