東京都心部の大動脈として、毎日大勢の乗客をぐるぐる運んでいるJR山手線の数ある駅の中でも、かつては鶯谷と肩を並べるアングラっぷりを見せていたはずの街「新大久保」も時代の変化か、昔の陰気臭い街のイメージは“韓流ブーム”とやらに吹き飛ばされてしまい、今となってはJKやら20代の若い娘っ子どもが闊歩するばかりの“原宿状態”となって久しい。
で、またこの街に懲りもせずやってきたわけですが、首都圏のアンダーグラウンド街、我々にとっても数ある定期観察スポットとして、やはり何度来ても飽きる事がない。外国人フレンドリーな街という認知度が高まった事もあってか、ここ数年はあらゆる国籍の外国人が一同に集う「移民街」としての勃興著しく、もはやコリアタウンという一面だけでは語りきれなくなってしまった。
最近では山手線の新大久保駅があまりの混雑っぷりで特に土日祝はまともに利用できなくなる事が多い。駅の設備がキャパオーバーで危険極まりない状態となっている。なので新大久保を訪れる観光客は中央・総武緩行線の黄色い電車で300メートル離れた大久保駅を使うことも多いらしい。どうでもいいけど、大久保駅の駅員が手書きのポスターで“新元号改元”の挨拶をしているのが見られた。なんだか小学生が書いたみたいなポスターだな…
チーズハットグとタピオカドリンク片手に歩道に群がる観光客、まともに通行できません
平成から令和に時代が改められたゴールデンウィークの10連休にこの街を訪れると、既に大久保駅前を通る大久保通り沿いが夥しい通行人と、最近アホみたいに流行っているタピオカミルクティーを買い求める客の行列で埋め尽くされていた。
ちょっと前までは「チーズタッカルビ」を出す韓国料理店がうじゃうじゃ乱立しまくっていたのが記憶に残っていたが、ここ最近は収束気味になっていて、代わりに新大久保エリアでやたら増殖しまくっているのがこうしたタピオカドリンクの専門店。一応台湾発祥という事になっているが…アジアンフードのトレンドは何も韓国一辺倒ばかりではない。
そして今どきの女子軍団がこぞって“インスタ映え”とやらに夢中になっている韓国式ホットドッグ「チーズハットグ」の専門店も新大久保のいたる所に節操なく増殖しまくっておりカオスっぷりがさらに加速している。客があちらこちらでチーズがびろ~んと伸びるホットドッグを食いながら自撮りするのである。
脇道に入ってもこの通りのどぎついメス臭漂う令和元年の新大久保よ。まあなんとも今風の熱気があって傍目から見ると面白い珍現象だと思うのだが、冷静に考えたらただでさえ歩道の狭い大久保の路上に行列するなりそのまんま道端で食ったりしているものだから、元来の土着住民にとっては“邪魔”以外の何者でもなかろう。
韓国式ホットドッグ専門店の発祥らしい「アリランホットドッグ」は2017年9月に新大久保に日本第一号店を出店、現在では都内を中心に10店舗以上を構えている。ホームページを見たら、韓国の本社は首都ソウル郊外、京畿道龍仁市にあるそうですね…そう言えば龍仁市といったら脱北者女性がひっそり売春している「チケット喫茶」という怪しい喫茶店がずらりと並ぶ通りがあって、それを見に行った事があったんですが、そしてアリランと言えば朝鮮半島を代表する民謡でございますわね。
案の定地域住民の悲鳴の声が聞こえるかのように、大久保通りと職安通りの間の住宅街の路上にはこのような警告文が記された垂れ幕があちこちに掲げられている。しかしこんなものは焼け石に水でしかない。食べ残しのチーズハットグなりゴミを家の玄関前に捨てられるなどして毎日ストレスに晒されているようだ。
チーズハットグ屋やタピオカドリンク屋に近い路地裏では年中見られる光景になった「道端で買い食いしている人の群れ」。能天気な民放のバラエティ番組に感化され“インスタ映え”に命を懸ける10代20代の青臭い女子軍団にマナーの概念などあるはずもないが、もはや“そういう街”になってしまったのだから、この光景に顔をしかめるような人種は他所に出ていくしかない。
地域柄、日本のルールやらマナーがワカリマセーンみたいな外国人が多い新大久保の街、以前は外国人に向けて韓国語、中国語、英語併記での注意書きが多かったものが最近はそうでもなくなっている。なんだか街全体が「竹下通り」化を呈していると表現した方が近い気がしてきた。
あと最近になって、イケメン通りと呼ばれていた路地の一本西側、西大久保公園に面した隣の路地にも新しい食い物屋が増殖し始めていて、以前来た時には無かったはずのパッピンス屋の前にも若い女性客の行列が。ちょっと前までは怪しい民泊の立ち並ぶ、人通りも少ない、陰気臭かった裏通りだったんですがね。
特に休日にはどこの韓国料理店も死ぬほど行列しまくっていて“韓流バブル”著しい状態になっているので、一部の韓国料理通の間からは既に新大久保は敬遠されるようになったらしい。こんなに混むのなら赤坂とかに行った方がマシ、ということか。
多国籍ぶりが加速する令和新時代の新大久保、将来は…
大久保通りから脇道に一本入った路地裏にはまだまだこのような怪しげな街並みが残っている。そして決まって一軒や二軒はある、お安い“連れ込み旅館”風情漂う古いホテル。新大久保ならではの昭和レトロの残骸であるが、そのうちこうした路地裏もチーズハットグ屋や外国人向け民泊で埋め尽くされる時が来るのだろうか。
観光客がだらしなく足元に“ジベタリアン”しながらチーズハットグを食っている路地裏を歩くとそこには「歌舞伎町案内人」で有名な実業家・李小牧氏の選挙ポスターが。中国湖南省出身だが、既に来日から30年を過ぎ、日本の政界進出に伴い帰化、そして2014年と2019年にそれぞれ新宿区議選に立候補するも落選している。人口比12.4%、日本一外国人比率の高い新宿区の議会がいずれ“多国籍化”するのも時間の問題だ。
再び大久保通りに戻ると、そこには新元号改元を祝う地元商店街による日の丸をあしらった旗がずらりとはためいていた。完全に外国人がマジョリティと化してしまった感のあるこの街も、こうした光景を見るとまだ辛うじてここが日本であることを実感させられる。
以前はほとんど韓国か中国の店しかなかった大久保通り沿いにも最近はムスリム系住民向けのハラルフード専門店を見かけるようになった。新大久保駅そばの百人町文化通りが「イスラム横丁」と呼ばれるようになって久しいが、ムスリム系住民もどんどん増えているし、最近はベトナム人とネパール人が経営する飲食店もやたらと増えている。
来年は2020年、東京オリンピックが56年ぶりに開催されることになり、いやがうえにも東京が国際的に注目される年になる。広い東京の中で最も「外国人に近い街」であるここ新大久保もさらに熱狂ぶりを増す事であろう。我々も今後は新大久保ネタについてコリアタウン以外のリアル過ぎる多国籍っぷりを余す事なくこの場で伝えられれば幸いである。