しかしこの寂しい街並み…とてもすぐ隣に東京23区があるとは微塵にも思えないんですが、第一村人発見とかそういう事にもマジにならないので、さすがに困ってきた。
…と思ったら町工場があったりしてさすが八潮らしいなあと。簡単な包装作業で女子パートさん募集中です。
そんな退屈な路地を歩いているとそこに唐突に現れた歴史のありそうな神社が。それほど大きな神社ではないが、ここが「垳」地区の鎮守となる垳稲荷神社である。
この「垳」という漢字、土へんに行くと書かれていて「がけ」と読ませるのだが、土が流れていくような脆い土地だからという理由でこの字が付けられたのだろうか詳しくは分からんのだが、垳稲荷神社は江戸時代から垳村の鎮守だったというのだから、相当歴史のある地名なのには違いない。
またこの「垳」という漢字、日本語固有のもので中華圏には存在しない漢字なんだってな。日本国内でもこの漢字を使っているのは唯一この地区かそれを知る人くらいしかない。垳の漢字の由来について調べておられる方の記事があったので興味深く見ていたのだが、漢字の世界は奥深いもんですねえ。
垳地区の外れにある垳川と、埼玉県の垳川排水機場。ここを境に垳川は中川に合流していく。その先は葛飾区水元にも接している。
過去に事故でもあったのか知らんが排水機場付近の垳川には立入禁止の有刺鉄線入りフェンスが立て掛けられていて、子供をカッパが引きずるイラストが古風な警告看板もあり。夜は悪ガキの溜まり場になっていたりするんでしょうかね。
かなり色褪せてしまいまともに読めなくなっている垳川排水機場の案内看板。海抜ゼロメートル地帯には必要なインフラである。ボロいけど。
あと、八潮市垳地区で生産されている「メイドイン垳」な名産品が存在するのですがこれは見逃してはならない、有限会社菊水堂。何の工場かというと、ポテトチップ工場である。
昭和28(1953)年創業という菊水堂の工場。垳川沿いにあるのはポテトチップを生産する時に大量のじゃがいもを洗う水を確保する為だったらしい。現在は技術も向上して川のそばでなくとも良くなったとか。工場見学も受け付けてるらしいですよ。
で、そんな菊水堂のポテトチップはなかなか市販されているのを見たことがないので一体どんなものかと思っていたのだが、秋葉原駅前UDX近くのガード下にある「日本百貨店」にたまたま売られているのを見かけたので買ってきた。包装は古典的なビニール包装で、賞味期限は生産後わずか2週間。できたてをアピールしてます。
製造者の欄を見れば「埼玉県八潮市大字垳」。あらほんとだ、メイドイン「垳」だ。北海道(時期により九州・関東)産のじゃがいもと沖縄の塩で丁寧に作っているそうです。見かけたら買いましょう。大量生産されているものではない素朴な味でした。