千葉県長南町とかいう山の中にある伝説の「アリランラーメン」を求めて

長生郡

千葉県と言えば東京寄りの千葉と、県庁所在地千葉市から先の千葉とでは随分生活文化が違う気がする。まあ平たく言えば都市と田舎の壁みたいなもんだが、千葉の田舎って特にどこの道を走ってもラーメン屋だらけなのにはびっくり。富津市竹岡にルーツを持つ「竹岡式ラーメン」に代表されるご当地ラーメンの存在も東京通勤圏まで出てくるとちとマイナーだが、千葉県房総半島一帯ではあちこちに幅を利かせている。


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そんな中で千葉県のよくわからない山の中まで出向いてどうしても一度食べておきたいラーメンがあった。それは「アリランラーメン」と呼ばれる代物で千葉県内ではもはや伝説的になっている存在、周囲に駅も何もない山の中にぽつんと店があっていつ行っても繁盛していると聞いていた。場所はだいたいこの辺。全く土地勘がありません。どうしよう…

長南町 アリランラーメン八平

だって千葉県自体半島国家だし、チーバくんは赤犬だし、船橋とか千葉栄町とか色々香ばしいお土地柄、そこでラーメンの名前に「アリラン」ですよ。そこはかとない朝鮮臭を感じずには居られないではないか。前々から噂は聞いていたが一体どんなラーメン屋なのか経験したくて、わざわざそれだけの為にアクアラインをぶっ飛ばして房総半島にやってきましたよ。

長南町 アリランラーメン八平

とりあえず車で訪れるのは必須として、店の住所をカーナビに入力するのだが、公道から離れたポイントを指す為に、手前の関係ない脇道に誘導させられそうになる。ナビは全くアテにならないので、最後はネットで下調べした情報を信じるしかない。この写真の場所を右折が正解。場所は「千葉県長生郡長南町山内」。一体どこやねんという感じの場所だが、あえて言うとこりん星…じゃなくて茂原に比較的近い。

長南町 アリランラーメン八平

そもそもここに来るまでに目印になる店舗の看板なんてものもない。最寄りの鉄道駅など存在しないし、だいたい長南町っていう地名自体も初耳だ。アリランラーメンへの道は楽ではないのだ。あえて目印にするなら「山内ダム」の看板の所で脇道に入るという事くらいだ。目の前に広がるのはまさしく田舎の里山的風景。もう腹ペコでしょうがないのだが、こんな所に本当にラーメン屋なんてあるのか?

長南町 アリランラーメン八平

すると、そのへんの電柱にテキトーな感じに作られた手書きの看板が現れた。ヘタクソな字で「→ラーメン」とだけ書かれている。脱力してしまいそうになる。アバウト過ぎないかこれ。確かにラーメン屋がこの近くにあるらしい。しかも連日客で賑わってるとか言われてもまだ全然実感が湧かないんですけど。

長南町 アリランラーメン八平

テキトー極まりない「ラーメン→」の看板は付近にもう一つ据え付けられている。この下手すぎて逆にアート感漂わせている看板を見よ。矢印が指し示す方向にラーメン屋があると思ったら甘いのだ。

長南町 アリランラーメン八平

…看板の先には畑しか見当たらない…しかもこれ、まるっきり道を挟んで反対側の脇道に入った所にあって全く案内の役目も果たしていない。この看板を信じて畑の中に突撃する人達とか年に数人くらい居たりしないのだろうか。全くもって意図するところが分からず、アリランラーメンの謎具合に拍車を掛けている。

長南町 アリランラーメン八平

しかし運命は我々に味方をしてくれた。何度も間違った道に入ったり戻ったりしながら、ようやくこの瓦葺きの渋い佇まいの店を発見する事ができた。古民家をラーメン屋に改築しているのだ。まあなんともオツな事である。アリランラーメンだけに天下大将軍だの何だの書いた朝鮮っぽいトーテムポールとか立ってたらどうしようとか想像していたので。

長南町 アリランラーメン八平

平屋建ての家屋が2軒並んでいて右側の建物はこの日使われていなかったが、客の多い休日とかに稼働するのだろうか。焼き餃子やビールなどのお品書きが書かれてますな。正式名称は「ラーメン八平(はちべえ)」。あと長柄町と市原市にも親族が経営する系列店があるとの事。ド平日だったが10台くらい車が止まってて、本当に客が多い。まあ千葉・習志野・袖ヶ浦など、県内ナンバーばっかりでしたけどね。

長南町の店舗はマスターの婆さんと孫娘の2人で切り盛りしている。調理や注文は厨房にいる婆さんが全部仕切っていて、店に来た客は「自分から注文してはならない」「前の客がオーダーしたものと同じものを頼む」といったローカルルールが存在する。しかもメニューには色々種類があるけど「アリランラーメン」「アリランチャーシュー」の2種類しか出ず他のメニューはダメ、など色々と注意点がある。

長南町 アリランラーメン八平

座席に着いて婆さんが注文を受け付けるまで10分、そこからラーメンがやってくるまでさらに10分、ようやくやってきた「アリランラーメン」は玉葱とにんにくがてんこ盛りのスタミナ系。自家製で作っているという麺は中太で腰があり食感も良い。一見辛そうに見えるけどそれほどでもない。アリランチャーシューが950円なので田舎のラーメン屋としては少し高級品かも知れない。しかしこの豪快なラーメンは確かに他では食えなさそう。千葉の山奥までわざわざ来た甲斐はあったでしょうかね。

なお「アリランラーメン」の名称は公式HPによればこうある。

その昔、韓国に「アリラン峠」という峠があり、その峠にまつわる物語の歌があったそうです。そこで、当店の場所も峠であり、「昔の峠越えというのは非常に困難で元気を出さなければ越えられなかったはず」
そんなときに体力のつくものを・・・というイメージで考案されました。

…という訳でアリランだからと言って朝鮮とか別に関係なさそうな感じでした。さあ、東京に帰るか…



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