【千葉市】千葉幸町団地の超絶レトロ空間「三桜ショッピングセンター」

千葉市

千葉市美浜区と言えば、幕張新都心をはじめとした埋立地の開発で勃興したエリアだが、同時に“千葉都民”のベッドタウンとして、東京都心に京葉線で通うサラリーマンの寝床にもなっている。幕張ベイタウンのようなシャレオツ仕様で高給取りが住むようなエリアもあれば、中国人だらけになっている古臭い団地が立ち並ぶエリアもあり、ピンキリな感じですけども…

で、今回やってきたのは千葉市美浜区の中にある「幸町二丁目」という地域。ここも昭和40年代までに埋立地を造成した一帯で、JR京葉線の千葉みなと駅・稲毛海岸駅の間に広がっている団地だらけタウンである。まあ直線距離的にはZOZOの前澤社長の豪邸(なかなか完成しない)が絶賛建設中の京成千葉線「みどり台駅」や総武線の西千葉駅あたりが近いんですが…

千葉幸町団地という場所にやってきましたが…

こちら幸町二丁目には「千葉幸町団地」なるUR都市機構の管理するドでかい団地がある。昭和44(1969)年に街開きした4,287戸を有する旧公団住宅から成る住宅地で、人口は1万1千人超というのでかなりのものだ。ちなみにここの賃貸物件は3K、45㎡前後で4~5万円台。築年数の古さもあってか、かなり割安だ。

同じ美浜区に属する団地としては稲毛海岸駅最寄りの高洲第一団地だとか高浜(北・南)団地だとかいったものの延長線上に位置する。これらの団地が整備される前と後とで千葉市の人口を見比べると倍以上違っているので、「美浜区の団地」というものが千葉市の発展においてさぞかし重要な役割を果たしてきたのだろう。千葉幸町団地には幸町二丁目の8、10、11、13~16、18番地にかけて百棟以上の中層棟がズラリと並ぶ。なかなか圧巻だ。

団地の端から端まで歩くと相当骨が折れるんですが…しかしこの千葉幸町団地も今年で“築50年”と本格的に老朽化し始めている。一部ではリニューアル工事もされているらしいが、他の団地同様に住民の高齢化が進んでいるわけである。広々とした団地の中にある公園も、さっぱり遊んでいる子供の姿がない。

そして、稲毛海岸の団地と同じように巨大なパラボラアンテナをベランダに置いたお宅をチラホラ見かける事ができるのである。これに関して当方は度々同じ説明をしているので改めて言うまでもない。この界隈の団地は千葉市における一大チャイナタウンなのだ。

幸町団地住民のお買い物広場にそびえる超絶昭和レトロ空間

やたらとだだっ広い千葉幸町団地のほぼ中央付近、国道357号(湾岸道路)に面した一角に団地住民向けのちょっとしたお買い物広場的空間がある。フツーにスーパーマルエツなんぞがあるんですが、その隣にあった建物に思わず目が釘付けになってしまった。

その建物の名は「三桜ショッピングセンター」である。マルエツの駐車場に面した側にでかでかと看板が掛かっているので名前がすぐに分かったんですが、何やら書かれている項目がやたらと渋い。「自転車・米・本・文具・酒」くらいなら普通なんですが、それに加えて「カラオケ・パブ・ヤキトリ」と急激にオッサン臭くなる。

さらに「ラーメン・理容・カラオケ友の会・スポーツ用品・クリーニング」ときたもんだ。カラオケが二回入ってますよ?ここの利用者はよほどカラオケが大好きらしい。

湾岸道路をかっ飛ばしていても視界に飛び込んでくる、このやれた佇まいの商業施設、見た感じでは千葉幸町団地の造成当時からあったものと思われる。計画的に開発された団地の敷地からは外れた一帯で、ガソリンスタンドやらファミレスやら“洋服の青山”やら、典型的なロードサイド店舗が連なる中にこれがある。三階建てだが、商業施設は一・二階部分のみである。

その建物を団地側から見ると、団地の商店街の一部として組み込まれた格好になっていて、随分と雰囲気が溶け込んでしまっている。湾岸道路を挟んだすぐ向かいの黒砂・緑町や隣接する登戸あたりまではZOZO前澤社長の豪邸が建つほどの千葉市内では指折りの“高級住宅街”らしいんですが、ちょうど湾岸道路のところで崖っぷちになっていて、生活圏が連続していない。恐らく団地住民以外は来ないだろう。

「サンオーショッピング」と書かれた看板の下にある入口から建物内に入る。一階には米屋やババ服屋や処方箋薬局、それに整骨院なんかが並んでいる。“ゆいまーる薬局”だなんて、よもや沖縄出身者の経営でしょうか?

なんだか那覇のマチグヮーの一角にも似た、古臭いコンクリート建築の空間。杉並区の和泉明店街よろしく沖縄居酒屋でもやれば流行るのではなかろうか。ここに地べたに野菜や果物を陳列する八百屋とか、油臭い食堂なんぞが揃えばもっと雰囲気が出そうなものだが、そこまでは栄えていない。

しかしよく見りゃ移転して無くなってしまったラーメン屋の残骸があったりなどして、じわじわ廃れ始めている模様だ。場所柄タクシーやトラックの運ちゃんとか現場作業員がサクっと寄り付けそうなロケーションだが、駐車場スペースは少なく、マルエツ側のコインパーキングは精算機の操作が必要だし、ちょっと面倒臭さが付きまとう。

三桜ショッピングセンター二階の「歌える店ライトピア」が気になる

三桜ショッピングセンターにはさらに二階部分がある。二階に上がるための階段も見ての通り、そこはかとなくレトロ風情極まっている。さあさあ登ってきて下さいと言わんばかりだ。ああ、それなら登ってやるよ。

二階への階段は二手から始まり途中から合流するT字状。手すりの湾曲部は滑らかなアールが施されていて、まるで歳を重ねて凛とした面持ちで構える老淑女のような気品を感じなくもない。これで頭上にシャンデリアの一つでもあれば「レトロ萌え女子」とやらが顎をガタガタ震わせ身体をビックンビックン痙攣しまくる素敵な昭和空間になるのだろうが…

ふと見上げるとそこにはホコリを被った薄汚い照明がぶら下がっているだけなのであった。ここは千葉の中でも場末もいいところだし、まあ、しょうがない…

で、そんなところにこの看板があるんだもんな。「広いフロア~で 飲んで歌って踊れる店」だそうです。完全に団地のご老人達の溜まり場として機能していそうな予感がします、「歌える店 ライトピア」。

階段を上りきった先の二階部分でたった一軒のみ営業している「ライトピア」という店、三桜ショッピングセンターでは唯一の飲食店ということになるか。建物の表の看板にあった「カラオケ友の会」というのは、どうもこの店のことを指すらしい。

団地住民向けのカラオケパブ喫茶であることは入店するまでもなく察する事は容易なのだが、どうもここは昼間からランチ営業をしていて、店の玄関口に気を利かせたカラー写真付きのメニュー表を大量に掲げている。酒呑み向けのおつまみ一品料理に加え、カキフライ定食やらカレーやラーメンといった軽食類、さらには…

“フレッシュ バナナジュウス”といったものまで幅広く取り扱っている。昼酒仰いでカラオケで熱唱する地元の酔っ払いジジイとたまたま飯を食いに来ただけの勤め人が同じ空間にいるわけだ。カオスだな…総武線平井駅北口にある「スナック太平」のような感じに近い展開が待っていそうだ。

…だが生憎ながら当方の胃袋は既に一杯になってしまっており入店はかなわなかった。さて、ライトピアとはどんな店なのであろうか、いつかは再訪を果たしたいものだが、千葉市なんぞなかなか気軽に行ける距離ではないので、これを見た近隣住みの読者の方からの報告も待ちたい。ところでガラス窓に剥がれかかった字で「エレガンスショップ」とあるのは、何なんですかね?もはやエレガンスもへったくれもありませんけれども。

ライトピア以外にも何かめぼしいものはないかと二階を歩き回ったが、特に他は何もなかったので退散…千葉市にもなかなか強力な“隠し玉”があるもんですね…皆様ご近所に寄られた際は昼飯ついでに如何でしょうか。


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